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近年は「CX(顧客体験)」の重要性が叫ばれるようになって久しいが、実際には「どの施策が業績に結びつくのかわからない」「現場と経営の視点がズレている」といった課題を抱える企業は少なくない。
そうした現場の“モヤモヤ”に対し、株式会社インテージが新たに発表したのが「i-KPIマップ
今回のインタビューでは、CXコンサルティング部の吉武はるか氏に、開発背景からモデルの特長、活用の可能性までじっくり話を伺った。
――まず、「i-KPIマップ
インテージではCX、つまり顧客体験の向上を軸に活動しているのですが、企業の方とお話しする中で、「何から手をつければ良いかわからない」という声が非常に多かったんです。現場も経営層も両方が頑張っているのに、KPIがうまく機能せず、連携が取れていない。そうした課題を数多く目にしてきました。このような組織の分断を解消し、顧客体験と業績をつなげる道筋を示すことができないか。そんな思いから、従来の支援内容を進化させて体系化したものが「i-KPIマップ
――「i-KPIマップ
“感情”に注目した3層構造でKPIを設計する点です。多くの企業では「クリック率」や「継続率」など、いわゆる“行動の結果”の指標をKPIに設定しがちですが、私たちは「なぜその行動に至ったのか」にある顧客の心理状態まで深掘りしています。
具体的には、2層目の感情パスに「ベース満足」「エンゲージメント」「スイッチングバリア」という3つの感情指標を設定しました。これらは、単に“満足しているか”では測れない、行動の背景にある感情の違いを丁寧に拾い上げるものです。
――3つの感情指標を設定された理由は?
従来の「満足度調査」だけでは、顧客の本当の気持ちは拾いきれないと感じていたからです。例えば、顧客がサービスに満足していても、次回も利用するかどうかはまた別の話ですよね。そこには「好きだから使いたい」という愛着(エンゲージメント)や、「他に乗り換えるのが面倒」というスイッチングバリアなど、さまざまな感情が関係しています。
こうした異なる感情の存在を明確にしておくことで、業界や企業ごとに「どの感情に訴えかけるのが効果的か」を判断しやすくなります。
――実際にどのように使われているのでしょうか?
現時点ではリリース直後ということもあり、具体的な導入事例はこれからになりますが、すでに多くの企業様からポジティブな反応をいただいています。また、「i-KPIマップ
――提供するのは“地図”だけではなく、“伴走”も含まれるのですね。
はい。「i-KPIマップ
とくに調査設計や感情の定量化といった部分は、私たちがマーケティングリサーチ会社として培ってきた強みです。心理状態の定量化や指標の精緻化など、CX施策の裏付けをデータで示せる点は、インテージならではの価値だと考えています。
――活用の先に見据えているものがあれば教えてください。
今後は、CXに加えてEXつまり「従業員体験」の分野にも広げていきたいと考えています。実際、KPIマネジメントサポートを行った企業では、従業員の意識や行動にも変化が生まれているという声をいただくこともあり、CXとEXが表裏一体であることを実感しています。また、このマップがきっかけとなって、企業内の部門横断の連携が進むという副次的な効果もあります。従来は部門ごとに分断されていた取り組みが、「このKPIを上げるために、どの部署が何をすべきか」という共通認識のもとで整理されるようになるんです。
――最後に、「i-KPIマップ
私たちのグループビジョンには、“知る・つなぐ・未来を拓く”という言葉があります。「i-KPIマップ