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9月20日から22日の3日間にわたり幕張メッセで開催されたX Games Chiba2024スケートボード・パーク種目(決勝は大会3日目)で男子はパリオリンピック銀メダリスト、アメリカのトム・シャー(25歳)が優勝。
トム・シャーは前日に行われたバート種目で銅メダルを獲得しており、今大会で2個目のメダルとなった。2位はオーストラリアのキーラン・ウリー(20歳)、3位にアメリカのギャビン・ボッガー(17歳)がそれぞれ表彰台入りした。
日本勢では唯一の出場となった永原悠路(19歳)は、予選3位で決勝に駒を進めたが、決勝ではフルメイク(一度もミスせずに滑りきること)のランを見せることができず、8位に終わった。
女子はパリオリンピック金メダリスト、オーストラリアのアリサ・トルー(14歳)が優勝し、2023年カリフォルニア大会、2024年ベンチュラ大会に続いてX Gamesパーク種目で3連覇を果たした。
2位は東京五輪&パリ五輪の銅メダリスト、イギリスのスカイ・ブラウン(16歳)、3位はX Gamesデビュー戦となるフィンランドのヘイリ・シルビオ(13歳)となり、日本勢では唯一の決勝進出を果たした四十住さくら(22歳)は4位に入賞した。
東京五輪&パリ五輪の銀メダリスト、開心那は怪我のため欠場。今大会はローマで開催されている、ワールドスケートゲームズ2024イタリア大会のパーク種目と完全に日程が被っており、有力選手が半々に別れてしまっている感があった。
ちなみにアリサ・トルーはワールドスケートゲームズ2024イタリア大会のバート種目で優勝しており、バート種目での現世界女王。
X Gamesパーク種目は40秒のランを3本行い、そのうちのベストランで順位を競う。
注目は何と言ってもパリオリンピック金メダリストのキーガン・パルマー、銀メダリストのトム・シャー、そして日本の永原悠路。
今大会は、決勝進出者のうち4人がパリオリンピック決勝進出者(キーガン・パルマー、トム・シャー、テイト・キャロウ、アレックス・ソルジェンテ)と同じメンツになった。
最初に会場を沸かせたのは、イタリアのアレックス・ソルジェンテだった。
ラン1本目で、ジャンプボックス脇のボルケーノレッジで50-50グラインドや、レインボーレールでフロントサイドスミスグラインド、屋根の縁でフェイキースミスストールから270アウトなど、コース全体を上手く使った滑りを見せ、83.00点を獲得する。
続いて、1本目でフルメイクのランを見せたのが予選トップ通過のトム・シャー。
ヒールフリップインディ、ジャンプボックスでフロントサイド360ステイルフィッシュ。
テールグラブ540、ジャンプボックスでキックフリップインディ。
オーリーアップからフロントサイドリップスライド、フロントサイドノーズグラインド。
キックフリップインディフェイキー、キャバレリアルディザスターなどを決めるフルメイクの滑りで88.33点を獲得し、アレックスを抜いて全体トップで1本目のランを終える。
2本目のランで最初にフルメイクの滑りを見せたのは、アメリカのテイト・キャロウだった。
ボディバリアル540、ハードフリップインディ、ヒールフリップインディ。
ジャンプボックスでキックフリップインディ、フロントサイドハリケーングラインドなどを決めると、最後には屋根のセクションでフロントサイドテールストールをメイクし、88..33点で2位につける。
直後、ギャビン・ボッガーのラン2本目
ウェドル(ミュート)540、ジャンプボックスでバックサイド360、キックフリップフロントサイドエア。
ジュードー360からジャンプボックスで、スイッチフロントサイド180キックフリップ。
ファストプラントディザスター、アーリーウープフロントサイドエア。
ボルケーノでバックサイドボンレスリバートなど、多彩なトリックレパートリーを見せると86.33点を獲得し、2位に浮上。
その後、キーラン・ウリーが2本目のランで85.33点を獲得し3位につける。
暫定首位で迎えたトム・シャーのラン2本目。
1本目で行なったオーリーアップからのフロントサイドリップスライドをフロントサイドノーズグラインドに難易度を上げ、さらにアーリーウープキックフリップインディなどを決めるフルメイクの滑りで、90.66点を獲得。さらにポイントを加算する。
最終滑走となるラン3本目
いまだフルメイクを見せていない、キーガン・パルマーだったが、3本目のランでも惜しくもラストトリックのジャンプボックスでの、バックサイド180キックフリップインディを決めきれずに今大会を終える。
同じくフルメイクのない、永原の3本目。
こちらもキックフリップボディバリアル540を惜しくも外してしまい、今大会を8位で終えた。
直後のキーラン・ウリーのラン3本目。
ラン直前まで永原の滑りを健闘し肩を組んでいたかと思いきや、自分の滑走順だと知るや否や、そこからいきなり盆栽越えからのオーリーインでコースに入ると、ジャンプボックスでテールグラブ360、キックフリップインディ。
アーリーウープフェイキー5-0グラインド、トランスファーフロントサイドオーリー、レインボーレールを当て込んでオーリーするレイリー。
ボルケーノレッジでフロントサイドノーズグラインドなどを次々とフルメイク!「精神統一の時間など必要ないのか!?」と聞きたくなるような、さすがの滑りで88.33点を獲得し、2位にランクアップして今大会をフィニッシュ。
そしてこの瞬間に暫定首位、トム・シャーの優勝が確定した。
女子パークは予選を終えた時点で、決勝進出者のうち4人がパリオリンピック決勝進出者(アリサ・トルー、スカイ・ブラウン、ヘイリ・シルビオ、ブライス・ウェットスタイン)で、奇しくも男子と同じ比率となった。
注目は予選トップ通過、パリオリンピック金メダリストで、現時点トランジション最強女子のアリサ・トルー。そして、パリオリンピックに出発する前日に左肩を脱臼するも、銅メダルを獲得した宮崎県出身のスカイ・ブラウン。
ちなみに彼女はパリオリンピック後、すぐに肩の手術を受ける予定だったが、X Games Chiba大会のために手術を延期してまで参加してくれたとのこと。
そして今大会、日本勢では唯一の予選突破となった四十住さくらに注目が集まった。
ラン1本目、まず高得点を出してきたのはパリオリンピック5位の実力者、ヘイリ・シルビオだった。
1発目にジャンプボックスをフロントサイド360で飛び越えると、マックツイスト、クレイルスライド、オーリーアップからのフロントサイドリップスライドなどをメイク。
最後はジャンプボックスをフロントサイド180エアで飛び越えてフルメイクのランを見せると、80.00点を獲得して暫定首位に。
直後の四十住のラン1本目。
1発目にレインボーレールでバックサイドボードスライドを決めると、その後はヒールフリップインディを決め小さくガッツポーズ。
続けてコーナーをフロントサイドスミスグラインド、フロントサイドクレイルスライド。
バックサイドディザスター、バックサイドテールスライド、オーリーアップからのフロントサイドリップスライド。
ボルケーノでファストプラント、フロントサイドブラント、最後はジャンプボックスをバックサイド180エアで締めくくると、76.00点を獲得して暫定2位につける。
四十住の滑走直後、スカイ・ブラウンのラン1本目。
マドンナからジャンプボックスでスタイルの入ったフロントサイド360、バックサイドテールスライド、アーリーウープフロントサイドエア。
ボルケーノでインバート、コーナーでのバックサイドリップスライドなどを決めると、ラストはジャンプボックスをキックフリップインディで越えて、四十住に続きフルメイク。
85.66点でヘイリを抜いて暫定トップにつける。
続くアリサ・トルーはラン中盤でミス。
迎えたラン2本目。
暫定2位のヘイリ・シルビオはさらにスコアを伸ばすべくラストトリックでジャンプボックス越えのキックフリップインディを狙うも失敗。
四十住もラン2本目は序盤でミスがあり、フルメイクならず。
続く暫定トップのスカイ・ブラウンはフルメイクの滑りで1本目の得点を1点上回る、86.66点を獲得しスコアを少し伸ばす。
アリサ・トルーのラン2本目。
マドンナ、フロントサイドノーズグラインドフェイキー、スイッチのメロンエアでジャンプボックスを超え、ボルケーノでウェドル540などを決め、最後は着地が少しブレてしまったが、インディグラブのバックサイド360を決めるフルメイクの滑りを見せ、83.33点を獲得し2位につける。
この時点で四十住が4位に後退。
最終滑走となるラン3本目。
暫定3位のヘイリ・シルビオは2本目と同じく、ラストにジャンプボックス越えのキックフリップインディにトライするが、惜しくも着地で失敗。
暫定4位の四十住はグラブをせずに1回転半回る、オーリー540に挑戦するもこちらも残念ながら成功できずに終わり、この時点でヘイリ・シルビオの3位が確定。
暫定首位のスカイ・ブラウンはラストトリックにジャンプボックス越えの360キックフリップにトライするがこちらも失敗に終わる。
最終滑走者となる、暫定2位のアリサ・トルーによる3本目のラン。
バックサイドエア、ボディバリアル540、コーナーでのフロントサイドスミスグラインド、ジャンプボックスをメロングラブで飛び越え、フロントサイドノーズグラインドフェイキーアウトから、続けざまにジャンプボックスをスイッチエアで飛び越える。
そこからキャバレリアル、キックフリップインディ、オーリーアップからのフロントサイドリップスライド。
ボルケーノでウェドル540、ウェドルエア、インディグラブのバックサイド360、ボルケーノでスイッチバックサイドエアをフルメイク。
これまでと表情と雰囲気が変わり、いきなりスイッチが入ったかのようなランに会場も大盛り上がり。
得点を91.66点と大幅に更新して見事に逆転優勝を飾った。
1位 トム・シャー(アメリカ)–90.66
2位 キーラン・ウリー(オーストラリア)–88.33
3位 ギャビン・ボッガー(アメリカ)–86.33
4位 テイト・キャロウ(アメリカ)–84.33
5位 アレックス・ソルジェンテ(イタリア)–84.00
6位 キーガン・パルマー(オーストラリア)–77.66
7位 リアム・ペース(アメリカ)–72.00
8位 永原 悠路–51.66
1位 アリサ・トルー(オーストラリア)–91.66
2位 スカイ・ブラウン(イギリス)–86.66
3位 ヘイリ・シルビオ(フィンランド)–80.00
4位 四十住 さくら–76.00
5位 リリー・エリクソン(アメリカ)–73.33
6位 ブライス・ウェットスタイン(アメリカ)–72.00
7位 ミナ・ステス(アメリカ)–71.33
8位 ルビー・トルー(オーストラリア)–60.00
写真・文 小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家。
10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。