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パリオリンピックの代表選考大会、ワールド・スケートボード・ツアー(WST)の第2フェーズとなる、オリンピック予選シリーズ(OQS)のストリート最終戦が6月23日にハンガリー・ブダペストで開催され、男子は堀米雄斗(25歳)が優勝。

小野寺吟雲(14歳)が準優勝、白井空良(22歳)が3位で表彰台に上がり、7位に根附海龍(20歳)が入賞。

これを受けて最終的なオリンピックランキングは、小野寺吟雲(ランキング1位)白井空良(ランキング2位)堀米雄斗(ランキング3位)という形で今大会表彰台入りした3人がパリオリンピック代表の座をつかんだ。

 
 
 
 
 
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女子は吉沢恋(14歳)がWST初優勝、織田夢海(17歳)が準優勝、中山楓奈(19歳)が3位で表彰台に。他にも日本勢は赤間凛音(15歳)が4位、伊藤美優(17歳)が6位でそれぞれ入賞した。

前回の上海大会優勝者のブラジル、ライッサ・レアウはすでにパリオリンピック代表入りを内定させているため、今大会は欠場している。

これによりパリオリンピック代表内定者は、吉沢恋(ランキング1位)赤間凛音(ランキング2位)中山楓奈(ランキング4位)となった。

 
 
 
 
 
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最終的な日本人のオリンピックランキングは以下の通り。
※()内は大会前と大会後の順位

ストリート男子
小野寺吟雲(1位→1位)白井空良(6位→2位)堀米雄斗(11位→3位)根附海龍(5位→5位)佐々木音憧(7位→10位)青木勇貴斗(15位→17位)
※男子ストリートはトップ10に日本勢が5人!

ストリート女子
吉沢恋(3位→1位)赤間凛音(2位→5位)中山楓奈(6位→4位)織田夢海(7位→5位)西矢椛(5位→7位)伊藤美優(10位→9位)
※女子ストリートはトップ10に日本勢が6人!

【男子の最終戦はユウト劇場】

出典:WORLD SKATEホームページより
https://www.worldskate.org/skateboarding/about/regulations/category/554-olympic-qualifying-system.html

男子ストリートは何と言っても、東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗に注目が集まった。
5月に行われた上海大会では予選17位でまさかの予選敗退(準決勝進出は16位まで)を喫し、オリンピックランキング11位、日本勢では5番手となり、自力出場が叶わない展開になってしまう。
堀米は今大会の予選のランでは前回よりも難易度を上げた滑りを見せて準決勝へ進出、準決勝もトップ通過で決勝へと駒を進める。

WSTブダペスト・ストリート2024男子決勝の映像

ここでユウトショーの幕が上がる。

まず代表候補に名乗りを上げた佐々木音憧が残念ながら準決勝で敗退してしまい、決勝に進出した日本勢は小野寺吟雲、根附海龍、白井空良、堀米雄斗の4人に。この時点で小野寺はポイント差でパリ五輪代表が内定。

ちなみに今大会前オリンピックランキング3位のアメリカ、ナイジャ・ヒューストンは予選のランを2本ともフルメイクできず、29位で予選敗退となり、表彰台争いが、より日本勢同士の争いへと発展する。

決勝では堀米が優勝した場合でも、白井、根附は3位以上に入ればオリンピックポイントで堀米より上回ることになり、代表入りが内定する。

迎えた決勝のラン、トップはアルゼンチンのマティアス・デル・オリオの91.92点。堀米が90.26点で2位、小野寺が90.08点で3位、白井が87.11点で5位と好調な滑り出しを見せる中、根附だけがランを2本ともフルメイクすることができず、7位でベストトリックに臨む。

 
 
 
 
 
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ベストトリック1本目

[根附]ノーリーインワードヒールフリップ フロントサイドボードスライドをミス。
[白井]キャバレリアルバックサイドテールスライド ビッグスピンアウトを決め、92.51点を獲得。
[小野寺]フロントサイドブラントスライド ビッグスピンフリップアウトを決め、94.89点を獲得。
[堀米]ノーリーバックサイド180ノーズグラインドを決め、95.65点を獲得し、首位に。

ベストトリック2本目

[根附]ノーリーインワードヒールフリップフロントサイドボードスライドを決め、93.12点を獲得。
[白井]ノーリービッグスピン バックサイドテールスライドを決め90.40点を獲得し、合計得点は270.02点で首位に。
[小野寺]バンクからのギャップtoレールで、バックサイドテールスライド フリップフェイキーアウトをミス。
[堀米]2023年3月のタンパプロで初優勝を決めたトリック、ノーリーバックサイド270ブラントスライドに挑むも着地でミス。

ベストトリック3本目

[根附]ヒールフリップフロントサイドブラントスライドを決め、92.29点を獲得し、合計得点254.72点で4位に。
[首位の白井]バックサイド180スイッチフロントサイドKグラインドをミス。
[小野寺]バンクからのギャップtoレールで、バックサイドテールスライドからフリップフェイキーアウトを決め、91.49点を獲得し、合計得点276.46点で首位に立つ。
[堀米]ノーリーバックサイド270ブラントスライドを完璧に決め、97.10点を獲得し、合計283.01点で暫定トップに立つ。白井が3位、根附は7位に。
この時点でランの得点を伸ばせなかった根附のオリンピック出場は限りなく絶望的な状況になる。
(※仮に堀米で準優勝なら根附が6位になればオリンピックポイントで代表内定が決まるが、この時点で堀米を抑えて優勝を狙えるのが小野寺だが、優勝するには98.05点のトリックが必要なため限りなく厳しい)

ベストトリック4本目

[根附]自身の持つ最高難度のトリック、ヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウトを狙うがミス。
[白井]ソラグラインド(アーリーウープからのフロントサイド180フェイキーバックサイド5-0グラインド)を狙うがミス。
[小野寺]ステアでバックサイドダブルキックフリップにトライするがミス。
[堀米]今年2024年3月のタンパプロで連覇を決めたノーリーレイトフリップ バックサイドボードスライドを狙うがミス。

ベストトリック5本目

[根附]ふたたびヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウトにトライし、これを見事に成功させる。
しかし、おそらくランでも同じセクションでヒールフリップバックサイドテールスライドを決めているため、同系統のトリックと見なされ、得点は92.24点と合計点を伸ばすことができず、7位に終わったが、最後には自身最高のトリックを成功させた。
[3位の白井]ソラグラインド(アーリーウープからのフロントサイド180フェイキーバックサイド5-0グラインド)から180アウトを狙うがミス。
[2位の小野寺]ふたたびバックサイドダブルキックフリップを狙うが、こちらもミス。
[首位の堀米]ウイニングランとなった堀米最後のトリックはノーリーレイトフリップバックサイドボードスライド。
これを決めきることはできなかったが、5月の上海予選大会終了時点ではかなり厳しい状況まで追い込まれた日本のエースの最後まで諦めない姿勢が、パリオリンピック出場の切符をつかんだ。

【信じられない結末になった女子ストリート】

 
 
 
 
 
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ストリート女子でも信じられない結末が待っていた。
まず、東京オリンピック金メダリストの西矢椛が準決勝、ランを2本ともミスしてしまい、前回の上海大会に続き準決勝敗退の危機に。
ベストトリックでは、西矢の持つ最高難度の技となるレッジでのKグラインドからノーリーヒールフリップアウトを狙うも3本続けて外してしまう。
追い込まれた4本目はハンドレールでのサラダグラインドに変更し、これを危なげなく決めるが、最終5本目ではギャップ越えのフロントサイドリップスライドを失敗してしまう。

東京オリンピックでは最終5本目に決めて、金メダルを勝ち取った技と同じ技を今大会の5本目でミスしてしまった瞬間、彼女のパリオリンピックへの道は閉ざされてしまった。
しかし、パリへの道は逃してしまったが誰よりもカッコいいスケートスタイルが消える訳ではない。
これからも、スケーターの本分でもある映像作品(パート映像)や、次のロスオリンピックでも金メダルを目指して欲しいと願っている。

WSTブダペスト・ストリート2024女子決勝の映像

そして迎えた女子ストリート決勝。

オリンピックポイント386,771点の赤間凛音(ランキング2位)、オリンピックポイント299,748点の吉沢恋(ランキング3位)、オリンピックポイント254,036点の中山楓奈(ランキング6位)、そして昨年の世界選手権女王だったが、5月の上海大会で予選敗退を喫し7位にランキングを落としてしまった、オリンピックポイント209,590点の織田夢海、最後に伊藤美優(ランキング10位)と5人の日本人が決勝に駒を進める中、注目は中山と織田の日本勢3番手争いとなった。

ここで仮に中山が決勝最下位の8位となった場合、織田は4位以上なら代表内定が決まる。逆に織田が優勝した場合、中山は2位でも代表入りを逃すという展開に。

長くなってしまうのでラン2本の詳細は割愛させてもらうが、それぞれが攻めきったランをみせ、織田が1位(85.43点)、吉沢恋が2位(84.42点)中山楓奈が3位(83.56点)でベストトリックへ臨む。

ベストトリック1本目
[中山]ハンドレールで得意のフロントサイドKグラインドを決め、83.22点を獲得。
[吉沢]ハンドレールでキックフリップ フロントサイドボードスライドを決め88.16点を獲得。
[織田]ハンドレールでバックサイドノーズグラインドをミスしてしまう。

ベストトリック2本目
[中山]ヒールフリップバックサイドリップスライドで勝負に出るがミス。
[吉沢]フロントサイドハリケーングラインドを決め、89.75点を獲得し、合計得点262.33点で首位へ。
[織田]バックサイドノーズグラインドを決め、87.28点を獲得し、追い上げる。

ベストトリック3本目
[中山]ふたたびヒールフリップバックサイドリップスライドに挑むも、着地で失敗。
[吉沢]超高難度トリック、ビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドにトライするが着地で失敗。
[織田]ここで自身最高難度の技となる、キックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを狙うがミス。

ベストトリック4本目
[中山]三度、ヒールフリップバックサイドリップスライドを狙うが決めきれず、後がなくなる。
[吉沢]ふたたびビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドにトライするがミス。
この直後、赤間がフロントサイド270リップスライドを決め、合計得点262.50で首位に。
[織田]キックフリップフロントサイドフィーブルグラインドを完璧に決め、95.81点を獲得し、合計得点268.52点で首位に立つ。
この時点で合計得点166.78点の中山は自力優勝が消滅(最後の5本目で100点を取っても逆転できない&織田が優勝の場合は2位でもポイント差で日本勢4番手となるため)、運命的なトリックで、織田がオリンピック出場権を手繰り寄せる。

ベストトリック5本目に信じられない展開が待っていた。
[決勝最下位となる8位で迎えた中山]3本続けて外したヒールフリップバックサイドリップスライドを完璧に決め、96.84点を獲得。
合計得点は263.62点となり、2位で他の選手のトリックを見守る。
[吉沢]三度、ビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドにトライすると完璧にメイクし96.12点を獲得、合計得点270.29点で首位に。
[ここで2位に陥落した織田]パリオリンピックに出場するために必要な優勝を勝ち取るには89.06点以上のトリックが必要に。
ここで彼女が選んだトリックは、キックフリップバックサイドリップスライド。
もちろん90点台が狙えるトリックだったが、これを失敗してしまう。

この瞬間、中山の日本人3番手での出場内定が決まった。
最後のトリックを終えた織田は各国の選手とハンドシェイクを交わし、表彰式でも笑顔を見せ、最後の最後まで戦い抜いた姿は本当にカッコ良かった。

【パリオリンピックのルールと日程】

 
 
 
 
 
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2022年7月にローマ大会からスタートし、約2年にわたって繰り広げられてきたパリ五輪ストリート種目の予選大会だが、ようやく長い戦いに決着がついた。

パリオリンピックスケートボードは1種目につき22名(その内ホスト国枠とユニバーサリティ枠が1枠ずつ確保されている)の出場が予定されているが、1ヵ国最大3人までの出場となる。

スケートボードのストリート種目は45秒間自由にコース内を滑るランを2本と、一つのセクションで1発技を行う、ベストトリックを5本行い、ランのベストスコア1本と、ベストトリック上位2本を合わせた合計得点で順位が決まる。
採点は前回の東京五輪では1トライにつき10点満点だったが、パリ五輪では100点満点で採点され、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)。

東京五輪と大きく違う点はラン2本中、どちらか1本は必ず得点にカウントされるため、ランで大きくつまずいてもベストトリックで大逆転、という事はかなり厳しくなった。

オリンピックスケートボーディングならではなのが、大陸枠が確保されているところ。
1つの大陸から、選手がオリンピックランキングの上位に入れず、出場枠を取れなかったとしても、その大陸の代表選手のランキング上位の選手が出場できる。
※この規定により、例えばオーストラリア代表のシェーン・オニールはオリンピックランキング34位だが、オセアニア大陸枠で出場を決めている。

パリオリンピックストリート男子は開会式の翌日となる7月27日に、ストリート女子は7月28日に開催が予定されている(パークは8月6日と8月7日)。

【OQSブダペスト・ストリート2024男子リザルト】

 
 
 
 
 
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1位 堀米 雄斗(日本)-283.01
2位 小野寺 吟雲(日本)-276.46
3位 白井 空良(日本)-270.02
4位 リチャード・ターリー(スロバキア)-266.09
5位 マティアス・デル・オリオ(アルゼンチン)-265.57
6位 ブレイデン・ホーバン(アメリカ)-255.02
7位 根附 海龍(日本)-254.72
8位 ケルビン・ホフラー(ブラジル)-178.62

【OQSブダペスト・ストリート2024女子リザルト】

 
 
 
 
 
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1位 吉沢 恋(日本)-270.29
2位 織田 夢海(日本)-268.52
3位 中山 楓奈(日本)-263.62
4位 赤間 凛音(日本)-262.50
5位 クロエ・コベル(オーストラリア)-261.47
6位 伊藤 美優(日本)-250.73
7位 チェンシー・ツイ(中国)-239.91
8位 ページ・ハイン(アメリカ)-221.15

文・小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 【WST2024ブダペスト・ストリート】ドラマでも見られない展開!オリンピック最終予選を制したのは堀米雄斗&吉沢恋 日本勢が表彰台を独占