東京・田町にある「ひろこデンタルクリニック plus Beauty」の笹淵博子院長は、美容内科・美容外科・皮膚科の医師や看護師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士といった多様なスタッフを取りまとめ、エンパワーメントする“総監督”。患者の健康寿命ファーストを念頭に置いた治療方針で、「チームひろこ」に一体感を醸成している。根底に横たわるのは、内なる美と外なる美の両立を貫いたことで患者に感謝された体験だ。

内なる美・外なる美の両立とコントロールを目指して

幼い頃から歯や口腔内のトラブルが多く、入れ歯以外のあらゆる先端医療を受ける機会がありました。それで自然と興味を持つようになり、歯科医師の道へ進みました。専門性を探る中で、審美歯科の先生から「患者さんの人生をよい方向に変えられるのが審美治療のやりがい」と教わったんです。歯並びや噛み合わせにコンプレックスを抱え、いつも自信がなさそうに下向き加減でお話ししていた患者さんが、治療を経て私の目をまっすぐ見ながら明るい笑顔で挨拶してくださるようになった。それがうれしくて、私も審美歯科を志しました。

とはいえ、現在は見た目の美しさだけでなく「内なる美や健康」も追求しなければなりません。外側だけキレイにしても、体の内側にトラブルを抱えていてはダメ。特に口腔は内臓への入り口で、病気を抱えていると将来的に全身疾患につながる危険性があるのです。例えば、歯周病菌が血液の中に入るとドロドロになり、その状態が長く続くことで動脈硬化の原因になります。心筋梗塞や糖尿病に発展してしまうんです。逆もしかり。内臓に疾患があると口臭が発生する、といえば想像しやすいでしょうか。

口腔内と内臓は、車の両輪。内なる美と外なる美を両立させ、コントロールできるようになれば、結果的に「健康寿命」へ向かって前進できます。よく噛んで飲み込むと、人はよく食べるようになります。食欲が旺盛になって生活の質が上がることで健康寿命が延び、元気な人が増えるといえるでしょう。

ご高齢の患者さんから頂戴した「健康寿命が延びた」という言葉がうれしかった

その最たる例として、私が出会った患者さんで後期高齢者の女性がいらっしゃるのですが、彼女は入れ歯でなく、すべてご自分の歯で日常を過ごしている「デンタル優良人」。その自覚があったようで、ご本人も「よく噛める」とおっしゃっていました。しかし、食事中に咳き込むなど食べ物をうまく飲み込めず、誤嚥性肺炎の一歩手前で来院されたのです。

口腔内を診ると、噛み合わせが悪いだけでなく、長年の摩耗によって歯の表面にあるギザギザ(以下:凹凸)がほとんどない状態でした。人間は歯の凹凸と噛む力で食べ物を小さく砕き潰すのですが、 彼女のフラットな歯と弱まった顎(あご)の筋力では難しい。食べ物を小さくできず、大きいまま飲み込んだところ胃や腸に負担がかかり、消化不良に陥って口臭を放っていることもわかりました。診断結果を伝えた直後は、「あと何年生きられるかわからないし…」と保険適用外の高額治療に踏み切れないご様子でした。しかし半年後に、「うまく飲み込めないのがストレスになってきた」と再度ご来院いただき、「たとえ寿命がわずかだったとしても健康に過ごしたい」と治療を受けることに。結果、よく噛んで飲み込めるようになり、便通と口臭も改善されました。何より「博子先生、健康寿命が延びたわ!」と喜んでくださったのがうれしかったですね。

多様な診療科医が加わる新生「チームひろこ」で健康促進を

口腔内と内臓の状態を整え、患者さんの健康寿命を延ばしたい──。このビジョンを実現するため、ひろこデンタルクリニックは屋号に「plus Beauty」を冠し、2024年夏にバージョンアップいたします。従来の歯科にプラスして美容内科、美容外科、皮膚科の医師に加わってもらい、さらに美と健康を追求することにしたのです。

美容内科は、もともと呼吸器系のガン専門医で、人の脂肪や臍帯血から採れる幹細胞を用いた再生医療に注目されている先生。美容外科は、形成外科や救急の経験がある先生がいらっしゃいます。いずれも美容だけでなく、患者さんの「健康」を視野に入れながら診断し、過剰に不必要な治療をしないことで知られる信頼できる方々です。このチームに、全身疾患を診ることができる看護師も参加してもらいます。

患者さんの健康促進を「家づくり」に例えるなら、医師は設計者。看護師は建築の現場監督で、歯科衛生士や歯科助手は質の高い家を建てるために地面を耕す土木作業員でしょうか。歯科技工士は、よい材料をつくる建具職人といえます。それぞれ対等な立場で100%の力を発揮し、三位一体となって同じゴールを目指さないと実現できない境地。私は「チームひろこ」の総監督として、スタッフの皆さんをエンパワーメントしながら、これからも患者さんの健康寿命を延ばす取り組みにまい進していきます。

ひろこデンタルクリニックplus Beauty
https://www.dentist-hiroko.com/

院長
笹淵 博子(ささぶち ひろこ)

■略歴

1991年に歯科医師免許取得。

3年間北海道医療大学保存修復学インストラクターを経て東京・日比谷の帝国ホテル内歯科医院を経営。その後、現在のひろこデンタルクリニックを開業。

2024年ひろこデンタルクリニックplus Beautyを開業。

歯科治療におけるヒアルロン酸注入・ボツリヌストキシン製剤注入・点滴治療・再生治療・脂肪溶解治療・デンタルエステ等の講師として10年以上全国でセミナーを行う。また、義歯材料メーカーの講師として海外で日本の技術の講演等も行う。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 審美歯科から内外の美を、チームワークで実現する健康寿命の延伸