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PwC財団はこれまでに14団体と助成事業を行ってきました。現在は人間拡張、地方医療、地球環境、食料システムの分野の助成事業に力を入れています。公募は春と秋の年2回で、1団体(1事業)あたり1000万円の助成金を交付しています。
今回の発表会では、PwC財団代表理事・選考委員の安井正樹氏が最初に登壇。「設立より成果を重ねて、運営も安定してきたこのタイミングで、当財団としてのユニークネスを活用し、何を目指すかを可視化・公表することで認知度向上とインパクトの拡大を狙いたいと考えました。また、サステナブルな財団の成長を実現するためには、運営体制の整備が必要だと実感しています。このインパクトレポート発刊をきっかけとして、同じ志を持つ仲間や協力者が増えることも狙いの1つです」と今回の「インパクトレポート」発刊に対するきっかけを明かしてくれました。
ここで気になるのが、安井代表理事の言うPwC財団のユニークネスではないでしょうか。公益財団法人が行う助成事業としては異例なことに株式会社にも助成しているのです。その理由について、PwC財団事務局長の日向昭人氏は「私たちは株式会社への助成も重視しています。社会を変えうるようなインパクトを生み出すには、助成対象に株式会社も含めることが必然だと考えるためです。株式会社は営利企業である以上、利益を生み出す必要がありますが、そのことに捉われてしまうと、本来取り組みたいことから徐々に離れていき、悪循環に陥る恐れがあります。そのため私たちでは、申請事業が非営利目的であり、解くべき課題テーマの解決に寄与するなら、法人格の種類を問わず、株式会社であっても助成しています。昨今サステナビリティへの意識が高まり、インパクトファーストが必要な場面もある中、経営の根幹にインパクトを持たせることに繋がると考えています」と話してくれました。
続いて、日向氏はPwC財団の今後の展望についても「解くべき社会課題テーマの設定を行い、課題の全体像を俯瞰した上でレバレッジポイントを明確にしていきたいと考えています。このタスクに向き合うことでプログラムオフィサー(助成事業担当)自身が大きく成長する姿が想像できるため、人材育成という意味でもここにリソースを投資することには意味があると考えます。理想を実現できる能力がある人に関わっていただき、具体的な議論を続けていきたいです」とまとめました。
発表会の最後には助成事業2024年度春期公募テーマの紹介が行われました。今回のテーマは「ウェルビーイング(孤独・孤立の予知・予防)」、「人間拡張(介護支援)」、「地方医療(がん発生予測モデル構築)」の3つです。3月11日〜4月30日が公募期間で、6月下旬には採択先が発表される予定になっています。