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草柳徹哉代表取締役社長は、「12月という1年の終わりのタイミングなので、いろんな番付が出てまいりますが、我々の場合は漢方薬の処方の動きや市場の動きから、1年を振り返って何かお伝えできることがあればと思っている」と挨拶。続けて「漢方薬は、一般用、医療用ともに着実に金額・数量ベースで伸長しております。特に、一般用漢方薬においては、今年の見通しで730億円の市場規模となっており、過去最高値です。風邪に効く『葛根湯』がアフターコロナの動きにより、大きな押し上げを受けて、マーケットが拡大している状況」と、漢方市場の概況を説明した。
2023年の漢方トレンドのひとつは”のどの異常”
ヘルスケア事業部マーケティング部の砂橋久瑠実氏が、2023年に売れた漢方薬ランキングを発表した。1位は風邪に広く用いられる「葛根湯」、2位は肥満改善に用いられる「防風通聖散」、そして3位は足のつりの改善に効く「芍薬甘草湯」という結果。上位2つに変動がなかった中で「芍薬甘草湯」が3位にランクインした背景として、「4位に位置している夜間尿対策の『八味地黄丸』と同様、高齢化社会を背景に直近市場規模を拡大している」と解説した。
また、2023年度の漢方薬トレンドの振り返りでは、キーワードの1つに「のどの異常」が挙げられた。というのも、大きく伸長した処方のうち約3分の1が喉や鼻の呼吸器に関連する処方だったからだ。砂橋氏は、要因を「コロナの初期症状であるのどの痛みや咳の症状に対する意識が高まったことが考えられます。さらに今年の春先にはコロナ5類移行という大きな社会の変化もありました。そのような変化を受けて、コロナの代表的な症状である咳へのセルフメディケーションの意識が高まったことが推察される」と分析した。
働く女性の4割が不調を抱えながら仕事を フェムケア課題解決のカギは”漢方”
20代から60代の働く女性を対象とした調査では、41%が月に1回以上体調不良を感じながら勤務し、そのうち64%が仕事に支障が出ているという結果が明らかになった。それを踏まえ、砂橋氏は「漢方は、いわゆる痛みなどの表層的な症状だけでなく、併発する周辺症状も同時に治療することができるため、女性特有の多種多様な悩みとの親和性が高いです。漢方薬の特徴として、副作用がおこりづらいこと、西洋薬では今現在対応できていないストレスに関連する疾患の症状もカバーできること、体のバランスを整えること、周辺症状まで網羅的に改善できることなどのメリットが挙げられます。」と、働く女性の不調と漢方薬の相性が良いことを説明。
具体的には、月経不順や月経痛には、「当帰芍薬散」や「桂枝茯苓丸」が、妊娠出産時の体調の変化には「芎帰膠艾湯」や「抑肝散加陳皮半夏」が、そして更年期症状には「加味逍遥散」や「知柏地黄丸」が効果的とのことだ。
来年度以降のフェムケア商品について尋ねられると、砂橋氏は「働く女性を応援できるような商品やサービスを考えています」と回答。フェムケア対策としての漢方認知を広める活動に注力していく方針を示した。