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2023年11月29日、日本一のカクテルを選出する「マリオットジャパン カクテルコンペティション2023」決勝大会が「JWマリオット・ホテル奈良」で開催された。
同イベントは、国内に展開するマリオットグループのホテルに勤務する、バーテンダー・ミクソロジストが考案したオリジナルカクテルのコンテスト。2022年に続き、2回目の開催となった。テーマの「グローバル・コネクターズ」に沿って、約100名のなかから勝ち進んだ10名が決勝ステージでパフォーマンスを披露した。
審査員には、マリオット・インターナショナル日本&グアム担当エリアディレクターのセバスチャン・クレンズマン氏、Drink Planet代表の辻美奈子氏、佐多宗次商店代表の佐多宗公氏、そしてゲスト審査員としてサプライズでモデルのSHIHO氏が登壇し、味わい、コンセプト、ネーミング、再現性、ビジュアルの5項目で評価した。
優勝したのは「名古屋マリオットアソシアホテル」の田口司氏が考案した「Wonder “N”」。カクテルのモチーフは織田信長だという。
「彼は西洋文化を日本で積極的に取り入れたことでも知られる、日本を代表するグローバルコネクター。現代のバー・シーンで織田信長がお客様にカクテルを振る舞うなら、どういったものを作るのか考えました」と告げ、パフォーマンスが始まると、名古屋めしには欠かせないご当地食材の「八丁味噌」や「三河みりん」が登場した。
八丁味噌の発祥地である愛知県岡崎市では、クラフトビールやアイスクリームに味噌を使った例もあるという。強いうま味と酸味、そして程よい苦味がカクテルに一体感をもたらすようだ。
「みりんは料理酒に使われるイメージが強いですが、江戸時代には、現代のカクテルのように焼酎と同量で割って飲まれていました。深いコクとうま味が、八丁味噌とカクテルのつなぎのような役割をします」と、田口氏のストーリーは続く。プレゼンテーションを通して新たな発見が止まらず、それと同時に歴史の世界にどんどん引き込まれていく。
生クリームを加えると、一瞬で和風のデザートカクテルに大変身。紫芋のシロップで色味と甘みを整え、最後には信長らしい豪華絢爛な金箔があしらわれた。
カクテル名の「Wonder “N”」は、驚きや意外性を意味する「ワンダー」に、ニュー(New)、信長、名古屋の頭文字から「N」をとったトリプル・ミーニング。県外や海外から訪れたゲストに、愛知県の食文化を知ってほしいという気持ちが込められている。
審査員のセバスチャン・クレンズマン氏は「素晴らしいカクテルでした。自信にあふれたパフォーマンスも良く、材料のチョイスも面白い。クリーミーさを感じられる味がとても印象的でした」と評価した。
パフォーマンス後に田口氏は「緊張しましたが楽しんでできました。信長はみたらし団子のたれをそのまま飲んでいたというくらい甘党だったそうなので、甘じょっぱい和風のスイートポテトのような味わいを表現しました」とほっとした表情で話した。
ジン部門では、「W大阪」後藤健伍氏が考案した月がテーマの「子望月-Komochizuki-」が選ばれた。満月前夜の月「子望月」の、未完成ながらも美しい様子を表現。パフォーマンス中に消灯し、暗いステージで鈴虫の鳴き声を響かせる演出に個性が光った。
一方、焼酎部門では「ザ・リッツ・カールトン京都」竹下健一氏の「Which WHITE?」が選出された。健康志向の増加により甘味のあるお酒が避けられがちになるなか、白ワインのように甘味を抑えた飲み疲れないカクテルを考案した。
特別賞は「セントレジスホテル大阪」大濵雅彦氏のジャパニーズカクテル「Linking Cloud」が受賞した。豆乳やパイナップルジュース、蜂蜜などを使用し、シルキーでふんわりとしたカクテルだ。桝に注いでオリーブオイルを垂らし、アブサンをスプレーするなどこだわりの演出を見せた。
最優秀カクテルの「Wonder “N”」は2024年1月より1年間、レストラン&バーを有した全国のマリオット系列ホテルで商品化され、さまざまな場所で味わうことができる。ハイレベルな戦いを勝ち抜いた個性あるオリジナルカクテルを楽しんでみては。