- 週間ランキング
11月4日に茨城県笠間市にある「ムラサキパークかさま」で第6回マイナビ日本スケートボード選手権大会パーク種目の決勝が開催され、男子は笹岡建介(24歳)が優勝。
準優勝は天野太陽(15歳)、志治群青(12歳)が3位でそれぞれ表彰台入りした。
女子は草木ひなの(15歳)が優勝。
準優勝は長谷川瑞穂(13歳)、貝原あさひ(17)が3位でそれぞれ表彰台入り。
笹岡はこれで日本選手権通算3度目の優勝となり、草木は大会3連覇の偉業を成し遂げた。
今大会はワールドスケートジャパン2024強化選手および特定育成対応選手の選考を兼ねており、強化選手は2024年1月にUAEにて開催予定のパリオリンピック予選大会に派遣されるため、来年8月に迫ったパリオリンピックを目指すスケーターにとって重要な大会となる。
パーク種目は45秒のランを3本行い、一番得点の高かったスコアで順位が決まる。
笠間にルーツを持つスケーターとして、これは行かないわけにはいかないということで(筆者は笠間に祖母の家がある)
日本最高峰のスケーター達が繰り出す45秒間を目撃するために、ムラサキパークかさまに足を運んだ。
昨年の日本選手権王者であり、今年10月に行われた世界選手権で日本勢初の決勝進出を果たした永原悠路が今大会不参加のため、優勝候補の最筆頭として注目を集めた笹岡建介。
準決勝ではボルケーノ(山の形をしたセクション)越えのキックフリップインディをミスしてしまい、フルメイク(ノーミスで滑りきること)することができなかったが、それにも関わらず高いエアと完成度の高いグラインド技などで準決勝7位で決勝に進むと、さらに難易度を上げたランを決勝1本目でフルメイクする。
2本目と3本目では途中ミスしてしまったが、1本目のラン79.28点を誰も上回ることができなかったため、見事3度目の日本王者に輝いた。
大会後のインタビューでは
「来年1月に開催されるドバイの大会でいい結果を残して、第2シーズンのオリンピック選考会に行けるようにしたいし、今後の大会でもいい結果を残していきたいなと思います」とパリオリンピック予選に向けた意気込みを話した。
※2024年1月にUAEで開催される大会までがパリオリンピック予選大会におけるフェーズ1となり、ストリート・パークともに各種目44人(最大国枠、オリンピック選考基準などもあるので一概にオリンピックランキング上位44人とはならない)が2024年5月に上海、6月にブタペストで開催されるフェーズ2の予選大会に出場することができる。
準決勝2位で決勝に進んだ天野太陽は、決勝1本目でフルメイクのランを見せると3本目のランではテールグラブの540とバックサイド540といった2種類の540に加えキックフリップインディなど、さらに難易度を上げたランを見せ76.23点を獲得し、準優勝に輝いた。
表彰後のインタビューでは
「来年1月にドバイ(オリンピック予選大会)があるので今回の2位で調子に乗らず、自分の出したい技を出し切って結果につながればいいと思います」と話してくれた。
3位で表彰台に上がったのは12歳の志治群青。
2本目のランではフロントサイド側から1回転半回るロデオ540や、高いジュードーエア(空中で前足をデッキから外して魅せる技)、ウェドル540など高難度のトリックを決める素晴らしいランを見せ、75.05点を獲得した。
表彰式後のインタビューでは
「今までの日本オープンや日本選手権は準決勝で落ちていたけど、今大会で3位を取れて嬉しいです。
自分のパークが1年前くらいにできたんですけど、そこで猛特訓してドバイでいい結果を残せたらと思います」と来年に向けた意気込みを話してくれた。
先月ローマで行われた世界選手権で準優勝を飾った草木ひなの。
今大会準決勝では1本目のランから危なげない滑りを見せると、63.42点を獲得しそのままトップで決勝へ進出。
Vaundyの「怪獣の花唄」を聞いてテンションを上げていたという、決勝のラン1本目では、ボルケーノと呼ばれる中央付近の山の形をしたセクションでサランラップ360(空中で1回転しながら、前足をデッキから離して板を巻くように戻す技)を決めると、キックフリップインディ(空中でデッキを縦に1回転させる技)やバックサイド540(空中で1回転半回る技)など準決勝のトリックからかなり難易度を上げたトリックをフルメイク。
今大会、男女合わせて唯一の80点台となる80.53点を叩き出すと、その後は誰もこの得点に追いつくことができず、日本選手権3連覇を成し遂げた。
優勝後のインタビューでは
「3連覇がかかった大会で優勝できたのは嬉しいというのはあるんですけど、決勝では1本目しか乗れなかった(1本しかフルメイクできなかった)というのが悔しいです。
3本目でやりたかった技はボディバリアル540という技で、体は1回転半して板は360度しか回さない技なんですけど、最近乗れるようになったので今回出してみようかなと思ったんですが、それを出せなかったのが悔しい。
今後の目標は、パリ予選があと3大会あるのでそこをしっかり1つ1つ勝ち上がって、パリオリンピックに出たいです」と話し、トリックについて聞かれると、
「サランラップ360が今回練習で1回も乗れてなくて、1本目危ないなと感じたんですが、しっかり着地まで綺麗にできたのが、すごく良かったなぁと思うのと、世界選手権で出さなかったフリップインディが今回は出せたので、やりたいことが出来たなというのと、高さのある540を出来たのが良かったと思います」と話した。
他の選手の滑りや得点について聞かれると、
「以前は人の滑りに左右されたり、プレッシャーを感じてしまう部分があったので、1本目は自分のランに集中しようと思うようになり、イヤホンで音楽を聴いて自分のテンションを上げて(他の選手の)点数やランを見ていない状況で1本目に挑みました。楽しむことを大事に考えて滑りました」と話してくれた。
今年4月に行われた日本オープンを制し、7月にカリフォルニアで行われたX gamesではシルバーメダルを獲得した長谷川瑞穂。
今大会でも540など高難度のトリックを決めきる実力を見せ、準優勝の活躍を見せた。
表彰式後のインタビューでは
「準決勝と予選が全然ダメダメでルーティン乗れなかったので、それが決勝では2本とも乗れて嬉しかったです。
今回お母さんがいてくれて、メンタルのリカバリーができたから良かったけど、1人でもできるようになりたい。
お母さんからかけられた言葉とかはいっぱいあったんですけど、1番助かったのはそばにいてくれたことです」と話し、支えてくれるお母さんへの感謝の言葉を口にしていた姿が印象的だった。
長い手足から繰り出されるスタイリッシュなトリックで会場を沸かせた貝原あさひが3位で表彰台入り。
表彰式を見ても他の2人と比べて、そこまで背が高いわけではないにも関わらずスケートをしている時は大きく見え、トリックのチョイスを含めてカッコいい滑りを見せていたのが印象的だった。
表彰式後のインタビューでは
「好きな技と乗りたい技が乗れたので嬉しいけど、3本ともフルメイクできなかったのが悔しいです。
(今後は)いろんな世界の大会に出て、いろんな人と一緒に滑りたいです」と話してくれた。
今大会、見ていてとても驚いたスケーターが佐竹晃選手だった。
10歳にしてノーズグラインドやキックフリップインディの他、540など世界トップクラスのスケーターが繰り出すトリックを次々とメイク。
近い将来、海外でも大活躍してくれそうな可能性を存分に見せつけてくれた。
1位 笹岡 建介 –79.28
2位 天野 太陽 –76.23
3位 志治 群青 –75.05
4位 櫻井 壱世 –72.67
5位 栗林 錬平 –70.08
6位 溝手 寿麻 –65.76
7位 坂本 輝月 –61.46
8位 猪又 湊哉 –33.07
1位 草木 ひなの –80.53
2位 長谷川 瑞穂 –74.05
3位 貝原 あさひ –62.93
4位 菅原 芽依 –59.40
5位 佐竹 晃 –59.27
6位 千田 小陽 –56.30
7位 菅原 琉衣 –51.49
8位 溝手 優月 –24.51
写真・文 小嶋勝美
スケートボードに関する情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。
10年間のお笑い芸人生活を経たのち、放送作家をしています。