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峯村「新卒で就職したのが広告代理店で、40代前半で会社を興すまでずっと営業畑を歩んできました。会社を興してからは資金繰りに追われる日々。7年後にギブアップして経営の才覚はなかったと痛感しましたね。でも、社長業を経験したことが今に活きています。社長が何を求め何に悩みながら生きているのか分かっているつもりです」
そんな峯村氏が再就職先として選んだのが、日本経済新聞社グループのコンテンツや研修商品などを販売する日経メディアプロモーションだ。
峯村「200名ほどの規模の会社ですがメジャーな会社や大企業はすでに営業担当が決まっています。そこで地方の中小企業さんをターゲットに営業活動をはじめました。ところがコロナ禍になり対面営業ができなくなってしまった。そこで考えたのがZoomを活用したオンライン対面営業でした」
ミーティングをすることはあっても営業でWEB会議ツールを活用することは少ない。しかも社長へ直接に営業をするなどかなり珍しいのではないか。
峯村「対面では時間をとってくれなかった社長が「オンラインならば、」と興味を持ってくれるんです。社長というのは常に面白い情報を探しています。良い話なら聞きたい、そう思っている方は大勢いらっしゃる。そんな社長にダイレクトにアプローチできるのがWEB会議ツールなのです」
峯村「まず前提として営業するのは社員数500名以下の企業です。それ以上になってしまうと社長とのオンライン会議には至りません。電話でアポイントメントをお願いするわけですが、「社長は今日おいでですか?」と失礼のない程度にフランクに聞いてしまうのがコツ。意外と取り次いでもらえます。経験上、テレアポから社長ダイレクト営業まで至る割合は10人に1人。この確率は決して低くないと思います」
社長が不在な場合は、あえて携帯番号と社名を残すのみの伝言が有効だそうだ。また、もういちど連絡するときは最初にアポイントメントをお願いした人を指名するのがコツという。
峯村「社長ではなく役員が出てくる場合もあります。でも、それはお断りです。誰かを介在してボトムアップするのは決まらないと思った方がいい。とにかく社長直々にこだわってください」
なかには、社長にアポをとりたいと話しても社長に確認すらしないスタッフや、いきなり怒鳴りつけてくる社員や役員もいる。その会社の電話対応ひとつで社風が分かるという。これもリサーチのひとつとして前向きにとらえている。
峯村「社長にかわってもらえれば、その先はオンライン会議に繋がりやすいです。外部の、しかも初対面の私がオンラインで営業してくるのが物珍しいのか(面白そうだから付き合ってみよう。時間もさほどとられないし)と好意的に受け取る方が多いです。電話で商品の説明をぜんぶしてしまうのはNG。そのかわり招待用のメルアドを伺った際に、こんなサービス必要ですか? などリサーチをしつつ、少し内容を匂わすと興味を喚起して待ってくれています。場合によっては人事部長など担当者を同席させてくれます」
WEB会議ツールを使った営業の何が良いのか。まずタイムパフォーマンスやコストパフォーマンスの良さは想像できる。しかし、それだけではない、と峯村氏は話す。
峯村「時間と交通費をかけて訪ねて行っても社長室でいただける時間は60分です。趣味や自慢話、地域の話題などの余談で終わり肝心の話ができないこともあります。オンライン営業の場合、こういったアイスブレイクの時間が必要ありません。いきなり商品説明でもスムーズです」
つまりバッファ時間がいらない。これがWEB会議ツールを利用した営業の最大の利点なのだ。
峯村「社長室にいるのとは異なり、オンライン営業なら社長も私も営業の話一本に集中できる。社長は画面上で顔と顔を突き合わせて営業の迫力を受け止めるしかないのです。それって凄いことでしょう? 営業からすれば幸せな空間だと思います」
よほど相性が悪いか説明が下手でないかぎりクロージング率は高く、5回に1回くらいの割合で商談成功に繋がっているそうだ。さらにリモート営業ならではの利点があるという。