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セルジオ・パボン氏(欧州委員会 農業・農村開発総局 国際関係担当官)によると、日本とEU間で経済連携協定(EPA)が締結されてから4年がたち、現在、日本への農産物の輸出は74億ユーロに達しているそうです。その内訳の上位は、豚肉、ワイン、サイダー、ビネガー、チーズなど。パボン氏は「環境に配慮した持続可能な食量生産システムへの取組や動物福祉と保護、食文化の維持や管理、農場から食卓までの効率的なトレースアビリティを実現している証として、GIマークやオーガニックロゴは非常に重要な要素だ」と話します。
EU産の食品や飲料を手に取ると、青や赤のマーク、緑のロゴが目に入ることがあります。これらは「地理的表示保護(青のマーク/以下、PGI)」や原産地呼称保護(赤のマーク/以下、PDO)」、「EUオーガニック認証ラベル(緑のロゴ/以下、ユーロリーフ)」と呼ばれるもので、EUにおける商品の安全性や品質保証になります。
PGI(地理的表示保護)は、生産段階のうち特定の地理的領域と密接に 関連した農産物、食品や飲料が対象。生産・加工・製造のうち少なくとも一段階が当該地域で行われていなければなりません。
PDO(原産地呼称保護)は、特定の地理的領域で受け継がれた製法に従って生産・加工・製造された農産物や食品、飲料が対象。生産・加工・調理のすべてが当該地域内で行われていることを示し、PGIよりも厳しいルールが課せられています。
そして、ユーロリーフはEUの有機食品生産規則に従い生産された証。その過程において、添加物や加工助剤、非有機原材料に触れておらず、さらに遺伝子組み換え作物、ホルモン剤や抗生剤の使用禁止、化学肥料、農薬の使用も制限されています。
日本ではまだまだ馴染みが薄いGI(地理的表示)ですが、WHOのTRIPS協定において知的財産権のひとつとして扱われており、世界100か国を超える国で保護対象となります。ちなみに日本では、2023年1月31日時点で121の生産品が登録されています。
今回開催された「EUパビリオン」では、「ル・コルドン・ブルー日本校」元総料理長であり、和食とフレンチを融合させた“フレンチ割烹”を得意とするシェフのドミニク・コルビー氏によるライブ・クッキングショーも開催され、シェフ特製の「鴨のロースト」が振る舞われました。もちろん、素材はPGIやPDO、ユーロリーフが貼られた厳選食材ばかりです。
例えば、食材のひとつのギリシャ産「フェタチーズ」は、山羊と羊の乳の有機ミルクから作られたチーズで、特定の地域のみで生産されたもの。なんと2,000年前の世界最古といわれる製法でつくられておりPDO対象になっている「BIOフェタチーズ」を使用しています。
さて、新型コロナウィルス感染対策による規制や行動制限が緩和され、3月13日からはマスクの着脱が個人の意思に任せられるようになりました。約3年間のコロナ禍をへて、(やっと自由に思う増分、おいしいものが食べられる!)と期待で胸が膨らんでいる人も多いかも知れません。
ちょっと特別で、珍しい華やかなレシピといえば欧州料理。この機会に、EUの素晴らしい食材や飲料、お菓子をこころゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。衛生的で安心、安全、歴史と物語に彩られたEUの食文化が、新しい季節にふさわしい時間をプレゼントしてくれるかもしれませんね。その際には、ぜひ、品質保証マークやロゴの確認を。