社会問題として懸念されている「うつ病」「自律神経失調症」「キレやすさ」「ADHD(注意欠陥多動性障害)」「統合失調症」 「PTSD」等々、脳機能に関する情報がメディアでも紹介され気になっている方も多いはず。

こうした脳機能に起因する障害の予防が期待できる食品が、近年は「ブレインフード」と呼ばれ注目を集めています。

機能性表示食品として販売されている製品も多く、DHA、イチョウ葉エキス、イミダゾールジペプチド、カテキン類などが脳機能の低下予防が期待できる成分とされています。

こうしたブレインフードの一種として、更に期待が高まっているのが、「ムードフード(情緒改善食品)」です。

今回、このムードフードによるリラックス効果を研究されている早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門 (部門長)の矢澤一良(やざわ かずなが)先生にお話を伺いました。

ムードフードとは、ブレインフードの中でもストレス軽減などのリラックス効果をより期待できる食品のこと。

例えば、ポリフェノール、カロテノイド、大豆イソフラボンなどの成分を含有する食品が有名かと思います。

ストレスなどのメンタルの不具合は、脳によって発現するため、ブレインフードの中の特定の成分がムードフードとして機能するとのことで、こころの健康の改善だけでなく、認知機能改善やうつ・認知症との関連性が報告されている「BDNF(脳由来神経栄養因子)」の増加、女性のホルモンバランス急変によるPMS(月経前症候群)の情緒不安定状況や更年期障害によるメンタル面での変動の改善なども期待できるとのこと。

実は私たちの生活の中で、とくに仕事や勉強中にムードフードを意識して食べていたりします。

まもなく受験シーズンですが、例えば、勉強の合間や、試験直前に高カカオチョコレートを食べた方が良いと聞いたことはありませんか。

実はこれ、高カカオチョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」を摂取することで、脳細胞の増加に必要とされているBDNFが(脳由来神経栄養因子)増加する為。

このBDNFは記憶の形成にかかわる物質であり、活性化させることで学習効果の向上につながるというのが理由のひとつ。

さらに、食べるタイミングに気を付ければ、もう一ついいことがあります。夜勉強しているとお腹が空いて、ラーメンやカレーなど夜食を摂っていませんか。白米などで食後血糖値が急激に上がると、その後下がるのも急で、集中力が続かなくなってしまいます。高カカオチョコレートは、実は食べた後の血糖値上昇が緩やかになる為、おすすめ。

最近になって、注目されているムードフードですが、実は昔から食べているものばかり。

ストレスを溜めないことが一番ですが、難しいときはぜひムードフードを意識して食べてみてはいかがでしょうか。…ただし、食べ過ぎには要注意です!

取材協力 矢澤一良 先生

【プロフィール】

早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門(部門長)。湘南予防医科学研究所所長。日本機能性食品医用学会理事。NPO法人健康食品フォーラム理事。1972年京都大学工学部工業化学科卒業。株式会社ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生体研究室勤務。その後、(財)相模中央化学研究所に入所、東京大学より農学博士号を授与される。2000年湘南予防医科学研究所設立、2002年4月東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院)水産学研究科ヘルスフード科学(中島董一郎記念)寄附講座客員教授、その後東京海洋大学「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト特任教授を経て、2014年4月より早稲田大学ナノ理工研究機構規範科学総合研究所ヘルスフード科学部研究院教授、2019年早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構、部門長。予防医学、ヘルスフード科学、脂質栄養学、海洋微生物学、食品薬理学を専門とする

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 受験生にも知ってほしい「ムードフード」とは