- 週間ランキング
今回のゲストは医療現場の舞台裏を支える「有限会社フロント企画」取締役社長・石鍋公載さんです。
宇賀なつみアナウンサー(以下、宇賀)「フロント企画はどのようなことを行っているところなんですか?」
石鍋公載さん(以下、石鍋)「アルファ薬局板橋店という薬局を経営させて頂いています。処方箋を持って来て頂いて、それに対して薬の調剤とか健康相談をしています。『こんな症状で困っている』と言われたら、市販薬の販売とかお話にのってあげたりとか、適切な診療所、病院の受診を促すとか、そういったことをやっています。」
宇賀「今、特に力を入れている業務は何ですか?」
石鍋「処方箋の監査と服薬指導を特に注力して自分はやっています。」
宇賀「監査というのはどういうことですか?」
石鍋「処方箋の内容がその患者さんにしっかり合っているかどうかっていうのを確認する業務になりますね。」
宇賀「お医者さんの言われた通りにお薬を出すイメージがあったんですけど、実はそうじゃないんですか?」
石鍋「その通りにやったら間違うっていうことが時々あるんです。」
宇賀「例えば具体的にどういうケースがあるんですか?」
石鍋「単純に記載が間違っている場合もあるのですが、喘息の患者さんで、今ではちょっと見たことないくらいの古い処方内容がありました。30年、40年くらい前って喘息が日本人の死亡率のトップテンに入っていて。それくらい致死率が高い病気だった頃の処方内容だったんです。」
宇賀「どうしてそういう事が起きてしまうんだと思いますか?」
石鍋「前に診ていた先生が自分よりも専門性の強い先生だった場合、その先生の処方を変えてしまって何かあったら自分の立場があやしくなってしまうっていうのもあると思います。その治療をずっとやってきた方なので、『俺はこの薬が一番合ってるんだ』っていう方もいるんですけど、『(発作が抑えきれていないので)何か新しい治療法があるならそっちの方がいいです』と言ってくださる方には、先生に相談してもらえると薬を変えてもらえるので、聞いてみたらどうですか、とかそういった話もしていますね。」
宇賀「大事なチェック機関になっているということですね。」
石鍋「ある意味、薬局の方が時間は取りやすいので、そういった説得のような話もしやすいですね。」
宇賀「何か他に力を入れていることってありますか?」
石鍋「これから団塊の世代の方々が後期高齢者になっていくわけですけども、そうなると病院とか診療所に通うのが大変になってしまう。そういった際の在宅訪問薬剤指導という、処方箋をファックスで送ってもらって自宅まで送り届けて、それに対して副作用が出てないかチェックをしてドクターにレポートを送るという事をしていますね。」
宇賀「改めて薬剤師の存在意義とか必要性ってどういうところにあると思いますか?」
石鍋「薬をそのまま処方箋どおりに出すんじゃなくて、患者さんの背景からそれが本当に合っているのか照らし合わせたり、デバッグ作業と言いますか、合致していないところをうまくまとめていく。そういうところが薬剤師の本来の存在意義かなと思います。」
宇賀「では最後に今後の展開を教えてください。」
石鍋「ケアマネさんとか、看護師さんとか、ドクターとか、そういった方が気軽に相談してくれるような、そういった薬局にして行きたいですね。」
宇賀「本当に素直に話せるかっていうのが、すごく大事なことなんだなっていうのを今日は感じました。」
石鍋「全部素直に言ってくれればもう少しうまくいくことも沢山あるんだろうなと思います。」
宇賀「そう考えると親しみやすさって本当に一番大事なことかもしれないですね。」
石鍋「そうですね。大事です。」
宇賀「ありがとうございました。」