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近年SNS等で流れてくる動画広告の中でも、とりわけ目を惹き付けて離さない『スクライブビデオ』。日本ではホワイトボードを用いた手書きアニメーションとも呼ばれる技法で、絵や文字の手描き制作をリズムよく見せながら起承転結を語る動画である。2013年にサムペッパー(米/ユーチューバー)が人生を描いた『ドローマイライフ(Draw My Life)』という作品が世界的にバズり、日本でも同手法の動画が散見されるようになった。
そんな中「企業の商品やサービスの認知拡大に、ホワイトボードを用いた手書きアニメーションを活用したい」という希望を次々と適え続けているのがハク ノブアキ氏だ。もともとWEBマーケにも精通していたハク氏は「宣伝したいコンテンツがいかに素晴らしくても、それを信じてもらえなければ売れることはありません。信じてもらうとは、ファンになってもらうこと」だと話し、更には、独自の制作手法の「買ってみたい、行ってみたい、聞いてみたい、誰かに教えたい」という行動促進に着地することを強みとしており、「共感」だけには留まらないとも。
そんなハク氏が自ら練り上げた制作ノウハウ「お絵かきムービー®︎」は、科学的ロジックに裏付けられた一面を持つ。「動画内のペンタッチ速度は8~20倍で瞳孔運動を刺激し、そこに1/1速度のナレーションやBGMが乗ります。描き込んだ一面がサッと消える瞬間は、次に描かれるものを期待させるgood byeアート手法。そのようにアニメーションが人の脳を占めると、最後まで視聴せずにいられない心理トリガーとなります」と解説してくれた。SNS広告において動画は欠かせないコンテンツとなっている昨今、迷える多くの企業に独自の制作手法を提供し続けるハク氏。制作において最も大切なものは「ストーリー」であると語ってくれた。
ある地方都市のトリミングサロンの例がある。決して恵まれているとは言えない商圏でありながら1日4頭限定にこだわるサロンオーナーは、各種SNS宣伝がほとんど揮っていない状況だった。そんな中、オーナー自身の半生を描きながら「なぜ1日4頭限定なのか」を語るお絵かきムービー®︎を発信したところ、1週間で1000再生を超え、集客は例年の8倍にまでに至ったという。
「この成功は、まさにストーリーが伝わったことに起因する例です」とハク氏は話す。1頭1頭の犬に愛情を注ぎ丁寧な施術に専心する背景には、オーナー自身の挫折と再生の物語があり、そのストーリーが視聴者の心に訴えたのだという。「心を揺さぶる物語は、誰かと感動をシェアしたい衝動を刺激して、ビジネス感とは無縁のカタチで拡散する。本物のストーリーとは、純粋に応援したいという気持ちを本能から湧き起こし、ファンを生み出すもの」と話す口ぶりは確信に溢れている。同じ考え方で、新商品のリリースムービーで開発の過程を描きながら開発者のストーリーを語り、リクルーティング用ムービーでは代表の半生を語りながら企業理念を訴求するなど、依頼者の求める着地点へと<ストーリーが秘める力>を導き続けている。
また、一般社団法人国際じぶんストーリー協会では受注・制作のシステムもとても興味深く、クライアントとクリエイターがディレクターを挟まずに直に対峙する仕組みを導入。視聴者の感情に訴えるセンシティブなものづくりだからこそ、つくり手自身がクライアントの「想い」を直接聴き出すのである。「シナリオからイラストレーションに、音入れや編集までも一手に担うクリエイターに、開発秘話や想いをぞんぶんに語って欲しいですね」とハク氏は話してくれた。