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6月15日に、福岡県糸島市役所にて「サイエンスヴィレッジ(SVI)まちづくり構想」の紹介を兼ねた「第3回未来フェスいとしま」が開催されました。
今回で3回目の開催となる「未来フェスいとしま」は“興味があることや、自分がどんな人なのかを語っているうちに何かが生まれる”というコンセプトで、糸島サイエンスヴィレッジ(SVI)に関わる多様な方々が登壇し、それぞれが自分の活動や糸島の未来などについての想い語るという会。
「サイエンスヴィレッジ(SVI)まちづくり構想」とは、九州大学の裏手にある広大な未活用地に最先端の技術を使用した新しい街を、ゼロから作る計画のこと。
まちづくりの取り組みの中で生まれる様々な課題を研究&追求しながら、“より善いまち”を皆で作り上げ、将来的には地方創生のロールモデルになるように繋げていくという、福岡県糸島市で実際に動き出している計画です。
▲糸島サイエンスヴィレッジ(SVI)のプレゼンテーションを担ったのは「リ・レウォン」さん。
もともと東京に住んでいたレウォンさんは、サイエンスヴィレッジ(SVI)を主導している株式会社メタコードの代表取締役である平野友康さんからまち創りの話を聞いて、漠然と「なんかすごい!」と感動し、実際に糸島で日常を過ごしてみるうちに惚れ込んでしまったそう。現在は東京を飛び出し、糸島の住民として半年ほど生活しています。
糸島すてきなヴィレッジ!(YouTube)
▲サイエンスヴィレッジ(SVI)の全容はレウォンさんが作成した動画で詳細に語られています。ぜひご覧ください。
会の中では、糸島への熱い想いを持った人たちが、5分間という制限時間の中で“糸島”をテーマにトークを展開。
その中でも特に印象に残った話をいくつかご紹介します。
「糸島では毎週同じことを繰り返すということが起こらない」と語るのは、平野友康さん。
サイエンスヴィレッジ(SVI)まちづくり構想を主導しているメタコード社の代表取締役でもある平野さんは、糸島での生活を1~2週間を一つの季節だと捉え、常に変化がある生活にとても魅力を感じているそう。
糸島の四季折々の風景を眺めたり、常に新しい出来事が起きる日々が幸せであり、自身の創造力の大きな助けになっていると語りました。
「寂しさや孤独を抱えた人たちを癒したい、その方法を見つけたい」と語るのは松尾慎一さん。
とある理由から、1人で糸島市に暮らすことになった松尾さん。移住当初は夜になると寂しくて仕方なく、後悔からのスタートだったそう。
しかし、糸島での生活を通じて多くの仲間と出会い、自分と同じような寂しさに悩む人たちを救うヒントがここにあると感じ、その方法を見つけていきたいと語りました。
「そこの人たちが使っている生活用品を自分で使ってみたり、その土地の水を飲んでみることを重要と考える」と語るのは島尾かの子さん。
富山大学で地方創生講義をしている島尾さんの目線から糸島を見ると、低い山が点在するメリハリがある地形、文化の形成がしやすい土地だなと感じたそう。
自分自身が土地の空気や文化に触れ、生活と自然が一体となるような街を作ることが重要なのではと語りました。
「もしかしたら次は“戻ってきました”と言えるかもしれない」と語るのは國友尚さん。
旅が好きな國友さんは、始めて糸島に滞在した時に糸島のおしゃれな最先端スポットを沢山訪れましたが、訪れたスポットの全てが代替可能な存在であり、糸島の本当の魅力を全然わかっていなかったと後になって気がついたそう。
そのせいか、2度目の滞在となる今回は「糸島に戻ってきました」とは言えず、3度目に糸島に訪れた時に「戻ってきました」と心から言えるよう、今回は地場の人とのコミュニケーションを積極的に取りながら、糸島の本当の魅力を全身で感じたいと語りました。
「アナログの価値を高めるためのデジタルの使い方もある」と語るのは西村拡さん。
企業向けAI推進の仕事をしている西村さんの趣味はボードゲーム。しかし、コロナ渦をきっかけにオンラインでボードゲームを遊んでみたところ、全く面白くなかったという不思議な体験をきっかけに、その場で同じ空気を共有しているという部分がボードゲームの価値であり、アナログのコミュニケーションの重要性に気がついたそう。
まちづくりは、挨拶や普段の会話などのアナログのコミュニケーションが重要となるので、そこをもっと活かせるようなデジタルのアプローチを考えたいと語りました。
「フィンランドの森を糸島に作りたい」と語るのは熊本耕作さん。
糸島市出身で糸島市で医療機器を作る会社に勤める熊本さんは、元々社内で引きこもって仕事をしていたそうですが、色々な地域会社と交流をしていくうちに、閉じた世界ではなく外に出る重要性を感じたとのこと。
普段触れることのない“異質”に触れることで、つながりが生まれ、明日からの暮らしがどんどんと良くなっていくのではと語りました。
そんな熊本さんの夢は糸島に大好きなフィンランドの森を作ること。異文化に触れ、良き部分を取り入れながら地域として回していくことは、SVIを成功させるうえでも重要であり、その先にも繋がっていくのではと締めくくりました。
「精神的基盤があるからこそできることがある」と語るのは竹中直純さん。
冒頭でも登場した平野さんと共同でメタコード社を運営している竹中さんは、登壇の中でフランスではごく普通に行われる“ビアジェ制度※”について語り、精神的基盤があるからこそ可能なまちづくりの方法を紹介しました。
例えば「糸島でビアジェができますよ」となれば、長い時間をかけて新しい生活様式が根付き、それらが住民の精神的基盤となり、それこそがまちづくりであると長期的な目線から語り、メタコードのまちづくりでは、技術者が社会の仕組みを考え、可能なもの、やりたいものを選び、より良いまちづくりを目指していくと締めくくりました。
※ビアジェ制度とは:
簡単に説明すると、高齢者が自宅を売却し、購入者は一括前払い金と定期支払いを行います。売主は生涯その家に住み続け、売主が亡くなると購入者が完全な所有権を取得するという制度のこと。
この制度により、売主は定期的な収入と住み続けられる住居を得られるため、引退後も安心して暮らし続けることが可能、購入者は低価格で物件を購入できたり、将来的な居住地や投資物件を確保できたりと、お互いにメリットのある仕組みとなっています。
▲5分間トークタイムの後は交流会。同じ場で老若男女が壁無しで語り合うという空間。
「糸島のあれが旨いんだよ」という話から「まちづくりとは~」といった話まで、興味深いトークが各グループ内で繰り広げられていました。作ろうと思ってもなかなか作れない言論空間が自然と出来上がってしまうのが“未来フェス”のすごいところ。
現在、メタコード社では糸島の映画を作る計画が進行中。未来フェスの会場内では、その映画の予告編を参加者皆で視聴するという場面も。
▲撮影や編集を担うのは、中村祥一さん。
▲それぞれの思いを巡らせながら映像を見る参加者たち。
完成したら糸島のどこかで上映会をするそうなので、お近くの方はぜひご参加ください!
2024年8月11日(日)14時~17時30分まで、「第4回未来フェスいとしま」が開催されます。
▲概要はこちら。
参加費は無料なので、少しでも糸島やまちづくりにご興味のある方は是非ご参加ください。 もちろん、飛び入りでの登壇も大歓迎ですよ!
Photo by 中村 祥一
(執筆者: edamame/えだまめ)