全世界シリーズ累計3,500万部を超え、その美しく緻密に描かれた世界観と多彩なキャラクターで世界中のファンを魅了し続ける『黒執事』。アニメ6作目となる『黒執事 -寄宿学校編-』のテレビ放送が最終回を迎え、現在各配信サイトでも展開中です。

シリーズを通して、セバスチャン・ミカエリスを演じている小野大輔さんと、シエル・ファントムハイヴを演じる坂本真綾さんにお話を伺いました。

――ファン待望の新シリーズとなりました。「寄宿学校編」のおすすめポイントは?

小野:イケメンな新キャラクターがたくさん出てきます。これまでの「黒執事」の良さが盛り込まれつつも、明るい雰囲気があるんですよね。クスッと笑ったりするシーンもありながら、奥底にある暗さ、そしてその奥底に眠る人間の熱量をしっかり感じられるようなすごく魅力的なシリーズになっています。

坂本:第一話の登場でシエルがビスケット咥えながら走っていく可愛らしいシーンから始まって、そこから今までのシエルよりもたくさんの表情を見せてくれますし、「P4(プリーフェクト・フォー)」をはじめキャラクターたちも個性的で、ポップに描かれていて、これまで『黒執事』の世界に触れたことがない人が今作から見ても楽しめる作品になっているんじゃないかなと思います。楽しい部分があるからこそ、物語がどんどん核心に近づいていき、闇に触れた時にゾクっとしちゃうようなところもあって。やっぱりこれは『黒執事』の世界だったんだと引き戻されます。その振り幅がすごく面白いと思っています。

――『黒執事」ならではの映像美も素晴らしいですよね!

小野:『黒執事』という作品においてビジュアルの美しさは外してはいけない重要な要素だと思います。ここまですごいのか!と驚くほどの美麗な映像や演出が施されていて、色彩の鮮やかさと、それに対しての闇の深さが際立っていると思います。『黒執事』が根本に持っている暗さというものも、光があるからこそ色濃く描かれていて、本当に見事だなと思いました。ディテールの部分で印象に残っているのが、一話のラストでのセバスチャンのおくれ毛が落ちる一瞬の描写があまりにも細かくて美して。新しい『黒執事』を作ろう!というスタッフさん達の気概を感じました。

坂本:「寄宿学校編」を描くにあたり、原作を描く時点で色々取材や研究をされていると思うのですが、映像になったときの建物の質感、重厚な鐘の鳴り響く様子、ティーカップの質感や紅茶が注がれるときの透明感など、人の表情や動きだけじゃなくて細かい部分まで描かれていて、美意識の高さを感じました。枢先生が描いた世界を映像でも崩さないぞという気概を感じました。

――ご一緒に収録されたそうですね。

小野:一緒に収録できたということはとても大きかったです。別々だったらちゃんとセバスチャンを演じられたかな?と不安に思います。それぐらい信頼感があるし、掛け合いってそういうことだなと思いました。今は分散収録のご時世になっていて、一緒に撮れない現場もたくさんあるんですよ。やっぱり一緒に録れるのは良いなあと思いました。

坂本:一話を撮っているときに、シエルのセリフが今まで以上に多くて、ナレーションやモノローグなどがずっと続き、やっとセバスチャンが一声喋った時にすごくほっとした気持ちになりました。やっぱりセバスチャンを軸に、みんなが自分のキャラクターがどうあるかというのを考えているのだなと改めて感じました。

――前回のTVシリーズから10年ほどの時を経て本シリーズの企画を聞いた時はどの様なお気持ちでしたか?

小野:前作の劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」の時に、『黒執事』を演じ切ったという感覚がありました。なので、また演じさせていただけるということは驚きでもありましたが、何よりもご褒美という感覚がありとても嬉しかったです。“もっと演じていいよ”と温かい声をかけていただいているような、また、ファンの皆さんも“見たい”と思ってくれているのかなという期待もすごく感じました。もっと良いものを見せなきゃなという気合いも入りました。前作である種、燃え尽きたという一面もあったので、またここから新しい『黒執事』を見せなきゃいけないということの気合いが入ったという感覚でした。

坂本:前作で一段落したような気持ちがあって、ずいぶん年月も経ったので、最初に聞いた時は驚きました。原作は続いていて、しかもずっと人気があることは知っていたので、ゆくゆくは何か映像作品になることもあるのかなと思っていたのですが、こういった形での新シリーズ制作は想像していなかったです。また既存キャストをそのままに作ることになったのは本当に嬉しいと思いましたし、キャリアを重ねた今シエルを演じる意味として、他で経験を積んできたことをフィードバックできればいいなと思いました。
再び映像化されることがあったらいいなと思いつつ、記念イヤーの展覧会の際にも音声ガイドをやらせていただいたり、節目に携わってきて十分楽しませていただいたという気持ちもありました。それをまた毎週アフレコする形のシリーズとして再開できるというのは予想外でしたが、小野さんと同じく気合いが入ったという感じがあります。

――久しぶりにセバスチャンとシエルを演じることに緊張感はありましたか?

小野:自分はまたあの頃と同じようにセバスチャンを演じられるのだろうかという一抹の不安は正直ありました。だけど、真綾ちゃんの隣で一緒に収録させていただいて、シエルの声を聞いた時に、セバスチャンになれたという感覚がありました。役というものは自分の声で紡ぐものではあるのですが、エンタメは決してひとりで作っているものではなく、人と一緒に作っているものなのだと原点回帰した感覚がありました。シエルがいてくれるからこそセバスチャンになれました。

坂本:シエルを演じるのはいまだに緊張します。最初にシエルを演じたときに自分の中で苦戦した思い出がまだ残っていて、だからこそ、この役に取り組むときはより良いシエルになりたいという思いが強くなります。今回もあまり過去作を見直したりせず、今の制作陣のなかで描かれるシエルを見て、今の私がどのように演じるのかということだけを考えようと思いました。そういう意味では、プレッシャーを感じるところは今でもあります。小野さんとは、お互い役に向き合って苦労したり、悩んたりした時期を横目で見ながら一緒の作品を作ってきたという時間の流れの中で、この作品に向き合う時の小野さんと私というのは、いつの間にかバディとしてお互い信頼する部分が育まれていきました。セバスチャンとシエルもビジネスパートナーとして最初は緊張感のある関係でしたが、今回の「寄宿学校編」は割とお互いに頼りにしている場面や気を許しているような雰囲気も感じられました。ビジネスパートナーとしてだけではなく信頼関係もある二人というのが、偶然にも私たちとシンクロしている部分もあるのかなと感じています。

――セバスチャンとシエルはたくさんの人に愛されているキャラクターですが、本シリーズで感じた新たな魅力はありましたか?

小野:「寄宿学校編」におけるセバスチャンは寮監という役割を演じていて、演じること自体を楽しんでいる節がありますよね。また、同じく寮生を演じることになってしまったシエルの戸惑いや不安をいじって遊んでいるようなシーンが多く、茶目っ気やイラズラ好きな部分など、そういう所で悪魔的ないやらしさが出てきていると感じます。それはある種、慇懃無礼な態度とかも含めてセバスチャンの魅力でもあると思うんですよね。そういう部分が今作では色濃く描かれていて、『黒執事』のいいところってこういう所でもあるなと思いました。そういう意味では明るい雰囲気で少しギャク要素もあるので、僕自身も楽しんでシエルをいじっています。

坂本:もともと私が思ってきたシエルは、すごくクールで頭が良くてかっこいい一面と、年相応の男の子のような無邪気さを表に出せない境遇、暗い過去を背負っているような憂いというものがありました。影の部分も魅力といえば魅力ですし、だけど背負っているものの大きさに、見ていて胸が苦しくなるような部分があったのですが、今作の「寄宿学校編」に関しては、シエルが寮生活のなかで、自分ではないもうひとりのシエル・ファントムハイヴをイキイキと演じているように感じています。爽やかな普通の少年として先輩と過ごしてみたり、同室の男の子とベッドでひそひそと喋ったり、クリケットの試合に夢中になったり。今までのシエルには見られなかった喜怒哀楽をいっぱい見せてくれました。今作で改めて好きになったというか、普通の少年として生きていられたらシエルはこういう学生生活を送れていたのかなと想像できたりして、よりシエルの魅力をたくさん見つけられるシリーズだと思います。

――素敵なお話をどうもありがとうございました!

■アニメ『黑執事 -寄宿学校編-』

【STAFF】
原作:枢やな(掲載 月刊「G ファンタジー」スクウェア・エニックス刊)/監督:岡田堅二朗/シリーズ構成:吉野弘幸/キャラクターデザイン:清水祐実/サブキャラクターデザイン:髙田 晃/総作画監督:清水祐実・髙田 晃・清水裕輔・猪口美緒/色彩設計:横田明日香/美術設定:伊良波理沙(KUSANAGI)/美術監督:根本邦明(KUSANAGI)/テクニカルディレクター:佐久間悠也/撮影監督:金森つばさ/CG 監督:宮地克明/編集:小口理菜/音楽:川﨑 龍/音響監督:明田川 仁/制作:CloverWorks

【CAST】
セバスチャン・ミカエリス:小野大輔/シエル・ファントムハイヴ:坂本真綾/エドガー・レドモンド:渡部俊樹/ロレンス・ブルーアー:榎木淳弥/ハーマン・グリーンヒル:武内駿輔/グレゴリー・バイオレット:橘 龍丸

【イントロダクション】
全世界シリーズ累計 3,500 万部を超え、その美しく緻密に描かれた世界観と多彩なキャラクターで世界中のファンを魅了し続ける『黑執事』。アニメ化6作目となる本作では、監督に『3月のライオン』で繊細な世界観を映像に落とし込んだ岡田堅二朗、シリーズ構成に『黑執事』1作目から脚本を執筆してきた吉野弘幸、キャラクターデザインは『ホリミヤ』で総作画監督を務める清水祐実、音楽は『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』の川﨑龍、制作会社は『ホリミヤ』『SPY×FAMILY』を手掛ける CloverWorks が担当。継承と一新、実力派スタッフが映像を彩ります。

【寄宿学校編 STORY】
19世紀英国――名門貴族ファントムハイヴ家の執事セバスチャン・ミカエリスは13歳の主人シエル・ファントムハイヴとともに“女王の番犬”として裏社会の汚れ仕事を請け負っていた。
ある日、シエルの元に女王から、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通う親族・デリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届く。かくしてセバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入する。事件の真相とは…?

【公式サイト&X】
公式サイト:https://www.kuroshitsuji.tv/
公式 X(旧 Twitter):https://twitter.com/kuroshitsuji_pr

(C)Yana Toboso/SQUARE ENIX,Project Black Butler

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 小野大輔&黒執事が語るアニメ『黒執事 -寄宿学校編-』の魅力「悪魔的ないやらしさのあるセバスチャン」「感情豊かなシエル」