SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より全国公開となります。

本国でシリーズ累計2千万部を超える超ベストセラーとなり、SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞をアジア人として初受賞し、3月21日よりNetflixドラマシリーズが配信されるSF小説「三体」。その原作者リウ・ツーシンによる同名短編小説を基に、中国映画界が誇る才能を結集して映像化。

精緻な映像美で描かれる練り込まれたストーリーに、ドラマティックに描かれるさまざまな人間模様。さらに圧倒的なスケール感で繰り広げられるパニック描写など、3.2億元(約65億円)の製作費を費やし、ハリウッド大作も圧倒する究極のSFエンタテインメント超大作が誕生。中国本土で初登場第一位に輝き、興収40億2900万元(約815億円)を突破し、歴代興行収入ベストテン入りを果たすメガヒットを記録! さらに、北米でも大ヒットとなり、世界興収は約6億米ドル。すでにシリーズ3作目の製作も決定するなど、社会現象となっています。

本作のプロデューサーで、「三体」著者でもあるリウ・ツーシンさんのインタビューが到着しました!

――『流転の地球』や『三体』など、リウ・ツーシンさん原作の作品が相次いで映像化されておりますが、ご覧になった感想を教えてください。

原作者として、自分の物語が鮮やかで壮観な映像に変わるのを見るのは、とてもエキサイティングで衝撃的です。「三体」と「流浪地球」2つの小説の映画化やテレビ化は大成功を収めました。「流転の地球」は中国初のSF超大作シリーズで、SFコンテンツの特殊効果や映画技術の面で非常に高いレベルに達していますし、「三体」のTVシリーズは、エイリアン文明の侵略という超越的なテーマをリアルなトーンで表現し、原作の内容を的確かつ鮮やかに豊かな映像に変貌させており、劇中のキャラクターも非常に良いなと思いました。

――『流転の地球-太陽系脱出計画-』はエピソードゼロで原作にはないオリジナル脚本となりましたが、リウ・ツーシンさんは内容にどのように関わられたのでしょうか?

『流転の地球-太陽系脱出計画-』のプロットは原作とはかけ離れていますが、とても良い話だと思いますし、小説を書いていた時に、なぜこのようなアイデアを思いつかなかったのだと深く後悔しています。撮影時期がちょうど新型コロナウィルス流行の時期でしたので、脚本を提案するくらいで、撮影自体にはあまり参加しませんでした。なぜなら小説と映画は別物であり、映画には独自のルールや表現方法があるため、映画の制作は制作チームが主体であるべきだと常々から考えているからです。

――ハリウッド大作と比べても全く見劣りしないスケールだったと思います。中国のSF映画及び中国映画の進化についてどのように考えられてますでしょうか?

『流転の地球』に関しては、進化というのではなく、リープフロッグ(新興国で新しいデジタル技術が一気に普及すること)であって、これまでの中国SF映画を遥かに超えたと思います。中国では、これほどの巨額の予算と壮大な物語のSF映画は経験がなく、もし私が事前に知らされずに見ていたとしたら、このような質の高いSF映画が中国で作られているとは信じられなかったでしょう。
しかし、「流転の地球-太陽系脱出計画-」は、中国のSF映画の現状を象徴しているわけではありません。中国映画の長い歴史の中で、SF映画は散発的にしか作られておらず、経験や才能はまだまだ不足しています。SFを作るのに必要なのは、産業システムではなく、創造的な概念と考え方の面だと思います。SF映画には創造性と革新が成功の鍵であるので、これまでのリアリズムを追及してきた中国映画にとって、この分野でのスターの育成と未来への革新的な思考の形成が必要なんだと思います。

――SFはアイデアが何にもまして重要かと思いますが、これまで影響を受けた作家や作品がございましたら教えてください。

SF文学では、アーサー・Ⅽ・クラークやジョージ・オーウェルの影響を受けました。前者からは宇宙の広い視野と現実を超越する魅力を、後者からはSFがリアリズム文学にはない独自の視点で現実を深く反映できることを私に教えてくれました。その他の文学では、レフ・トルストイに深く影響を受けました。私が自分のSF小説で情熱を注いでいた壮大な物語は、おそらく彼から来ています。

――近未来を描くSF作品には、未来や人類への提言などのメッセージが含まれることが多いですが、リウさんの作品には、希望が織り込まれていると思います。それはなぜですか?

私は人類の未来について断固とした楽観主義者で、人類の未来は明るいと信じています。しかし同時に、私は合理的な楽観主義者でもあり、明るい未来への道は危機と罠に満ちていて、文明の衰退や破壊を避けるために人類は常に正しい選択をする必要があると思っています。進歩と開拓の精神を持ち続け、テクノロジーによって地球上の生活がいくら快適になったからといって、宇宙探査をやめないことが大切だと思っています。

――日本の観客へのメッセージをお願いします!

日本の観客の皆さん、こんにちは、春のご挨拶を申し上げるとともに、SF映画が私たちをつなぐ架け橋となり、共通の希望と夢を見い出し、共により良い未来に向かって進んでいくことを願っています。

作品情報

3月22日(金)より全国公開

そう遠くない未来に起こりえる太陽系消滅に備え、地球連合政府による 1 万基に及ぶロケットエンジンを使って、地球を太陽系から離脱させる巨大プロジェクト「移山計画」が始動!人類存亡の危機を目前に、各国の思惑や、内紛、争いが相次ぐ中、自らの危険を顧みず立ち向かった人々がいた。亡き妻への想いを胸に、宇宙へと旅立つ飛行士・リウ(ウー・ジン)。禁断のデジタル技術によって、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学研究者・トゥー(アンディ・ラウ)。そして、大きな決断を迫られる連合政府の中国代表・ジョウ(リー・シュエチェン)。多くの犠牲を払いながら、地球と人類の存亡、そして希望を懸けた最終作戦が始まった!

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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「三体」原作者リウ・ツーシンが語る『流転の地球 -太陽系脱出計画-』「小説を書いていた時に、なぜこのようなアイデアを思いつかなかったのだと深く後悔しています」