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12日から始まった『ブギウギ』第20週が終わった。スズ子(趣里)というヒロインを通して、女性の生き方について考えさせられた週だったように思う。
芸能記者・ 鮫島(みのすけ)から、有楽町界隈にいた街娼、通称「パンパンガール」について聞かれたスズ子は「生きるためにしていることを他人がとやかく言えまへん!」と答える。これが歪曲されて雑誌に掲載されると、見下されたと考えたパンパンガールの親玉だという“ラクチョウのおミネ”(田中麗奈)が血相を変えて乗り込んでくる。
そして「アタイらはそうまでしなきゃ生きられなかったんだ」と身の上を語るも、スズ子も「ワテかて死に物狂いや!」と啖呵を切り反論。母や弟、最愛の人を亡くした辛さを訴え、最後はおミネと和解するのだった。
ネットでは、
・おミネ達もスズ子も必死でしんどい毎日 ぶつかってお互いを認め合えたけど その状況は変わらない でも生きる糧になる
・スズ子もおミネもみんな戦争という時代を必死に生き抜いてきた者どうしだということがわかる
・今回のおミネさんとスズ子の会話は、とても心に響いた。 おミネさんの事情も、これからわかっていくのかな
といった声が寄せられた。もちろん、境遇に違いはある。身を売らないと生きていけない人もいれば、かろうじて歌で生活できている人もいる。だが差こそあれ、みなやはり戦争が暗い影を落としたことで変わってしまった運命なのだ。
もう1人、日向を歩くスズ子にコンプレックスを抱いていたのが、スズ子の幼なじみタイ子(藤間爽子)。息子で靴磨きの少年である達彦(蒼昴)が『東京ブギウギ』を口ずさむと、「やめて!」と制し、スズ子と直接久しぶりの再会を果たしても「どなたさんでしょう」と他人のふり。幼少時代は同じスタートラインに立っていたのが、今や片やスター、片や病人と雲泥の差。スズ子がいることによって、さらに自分のつらさが体をえぐってくるのだろう。
この後、スズ子はおミネに協力してもらい、達彦の靴磨きに他の仲間を並ばせることで、タイ子の病院代を捻出しようと考えた。そしてスズ子はタイ子に「一人で達彦くんをこんな立派に育てたんやろ?」と励まし、「達彦くんのためにも病気治さなあかん」と鼓舞。タイ子は涙ながらにスズ子と抱擁する。
ネットは、
・ブギウギ、ずっとスズ子とタイ子ちゃんの友情物語やってほしい
・タイ子ちゃんとスズ子が抱きしめるシーン、素直に泣いた
・タイ子ちゃんと和解できて良かったわ。 スズ子のお節介さはブレないね
と評判の声が。
そんな波乱の人生を送って来たおミネ、タイ子を、スズ子はワンマンショーに招待した。披露するのは『ジャングル・ブギー』。ヒョウ柄の衣装で、妖しくワイルドに歌い上げるスズ子に、おミネ、タイ子も拍手喝采だ。この歌がどこか、戦後の混乱期を力強く進む女性への賛歌としても聴こえてくる。
いずれにしても『東京ブギウギ』でスズ子の人気も最高潮に達した。この後、残り1か月、どんな物語が待っているのだろうか。
(執筆者: 田中周作)