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「日本ホラー映画大賞」の大賞受賞作品を長編化した下津優太監督作『みなに幸あれ』が公開中。絶望的なシーンを切り取った本編映像が解禁されている。
“誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている”というテーマを持つ一作。この世界の特異な成り立ちに疑問を持ち、行動を起こしたことで追い込まれていく主人公(古川琴音)を描いている。
祖父母の住む田舎へとやってきた主人公。家族水入らずの穏やかな時間を過ごしていたはずだったが、家のなかにいる“何か”の存在に気付き、家族の異常さと世界の残酷な法則を知ることになる。
映像は、主人公が家族に疑問を投げかけるシーンを切り取ったもの。みんなが食卓を囲むなか、何かを見て取り乱したらしい主人公が「絶対におかしいって!」「目を覚ましてよ!」と必死に訴えかける。しかし両親はまったく耳を貸さず、「目を覚ますのはあなたの方よ」と笑いながら軽くあしらい、何事もなかったかのように食事をしだす。この場にいることに耐えられず、荷物をまとめながら「狂ってるよ! 人が死んでんだよ!」と怒りをぶつけるが、母親は「あなたにはあれが“人”に見えたのね」と驚くべき返事をする。すると突如祖父が血を噴き出し、家族たちは「始まったのね」「まずいな、早く見つけないと」「お姉ちゃんがきっと治してくれるから」「あなたのせいでこうなったんだから、早く次を見つけてきなさい」と、あくまで平常心で口々に言うのだった。彼らの言葉が意味するのは、主人公が気付いていなかった“幸せ”を取り巻く残酷な法則。狂っているのはこの世界か、それとも主人公なのだろうか?
『みなに幸あれ』公開中