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あの『テッド』のユニバーサル・スタジオが贈る最新作『スラムドッグス』が公開中。犬が主役の映画といえば、感動的なストーリーが王道。しかしそんな定説を大きく裏切る、<愛犬家は鑑賞注意!>のオトナ向けペットコメディがついに日本に上陸です!
クソ飼い主に捨てられたワンちゃんたちが闇堕ち・・・飼い主に<仁義なき復讐>を果たすまでのドタバタ珍道中を爽快に描く本作。本作を手掛けた敏“ワン”プロデューサーには、『スパイダーマン:スパイダーバース』や『LEGO® ムービー』シリーズのフィル・ロード&クリストファー・ミラー。また、本作の主人公となるワンちゃんたちのボイスキャストには、『俺たち』シリーズのウィル・フェレル、アカデミー賞®俳優であり『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のジェイミー・フォックス、『グランド・イリュージョン』のアイラ・フィッシャー、『アントマン』シリーズのランドール・パークら、一流俳優たちが務めています。
本作のメガホンをとったジョシュ・グリーンバウム監督にオンラインインタビューを敢行! 作品愛にあふれた監督のお言葉に刮目せよ!
◆かなり攻めた内容の作品になっていますが、「ここまではやっちゃだめ!」と周りに怒られた部分はありますか?
ジョシュ・グリーンバウム監督:コメディ映画ではいつも「どこで一線を引くのか」を考えるよ。その一線は色々あって、コメディでの一線なのか、暴力、まあ暴力はそれほどないけど、登場人物であるダグの「意地悪さ」の一線とか。脚本の段階でそれについてはたくさん話をしたし、撮影の段階でも編集の段階でも同じだ。どの段階でも、自分に色々な選択肢を与えたいし、映画制作者としてアーティストとして、その線ギリギリまで攻めたい。いろんな意味でね。
例えば、ダグを演じたウィル・フォーテはこの役をやることを喜んで電話してきて、最初に言ったのが、「ジョシュ、こいつってかなりイヤなヤツとして演じるべきだよね?」。僕は「そうだね」と答えた(笑)。
レジーが酷い扱いを受けていた、というこのプロットがうまく機能するためには、観客はダグを嫌って、レジーの味方にならなくちゃいけない。最悪なのは観客が、「レジー、そんなことしちゃダメだよ、ダグはそれほど悪くないよ」と思うことだ。映画が成り立たなくなるからね。ウィルはダグをイヤなヤツとして演じなくちゃいけない。
でも、一線はあるよね。それは一人一人違う。自分の中で、チームの中で、また観客に見せて、「これはやりすぎか?もっと攻めたほうがいいか?」と考えなくちゃいけない。例えば撮影現場で、ウィルにいろんなレベルで演じてもらう。レベル10の、ものすごく怖い演技をしてもらって、「次はレベル7にしよう」と、多少ジョークを入れて怖さを和らげる。ウィル・フォーテは天才だから、それができるんだ。そういうことをできる人ってなかなかいないよ。怖いけど、本当はそれほど怖くないと思わせるヴィラン(悪役)を演じるわけだから。
それが一つの例だ。あとはコメディの方で言うと、一般的に「やりすぎか?まだやれるか?」という疑問だよね。素晴らしいのは、観客がすぐに答えてくれることだ。コメディがうまく通じているか通じてないか、は観客の反応を見ればすぐにわかる。
◆犬への愛がつまった作品になっていますが、監督ご自身犬好き、愛好家なのでしょうか?また、犬に対して「可愛いな」「カッコいいな」「好きだな」と思ったエピソードがあれば教えてください。
ジョシュ・グリーンバウム監督:うん、僕は大の犬好きだよ。犬愛好家っていいね。犬愛好家ですってロゴを入れたTシャツ着ようかな(笑)。
うん、生まれた時からずっと犬がそばにいたんだ、1匹だけでなく2匹の時もあったね。赤ん坊の僕と犬が一緒の家族写真もあるよ。ここのところずっと2匹だ。映画の中に出ている犬を飼ったんだ。映画の最初に出てくる、段ボール箱から顔を出している子犬レジーのシーン覚えてる?あの犬には飼い主がいなくて、映画が終わる頃、家に電話したら、妻も子供も「絶対うちに連れてきて!」と言うから、家に連れていったんだ。というわけで我が家にはウィル・フェレルが住んでる(笑)。この映画を見て、変な考えを持つといけないから、見せないようにしてる(笑)。
僕は犬が大好きだ。この映画を作る楽しみの一つとして・・・犬の飼い主として、この映画を作ったわけだけど、僕にとってはこの映画は犬映画ではなくて、有害な恋愛関係や友人関係、友達に助けてもらうこと、自分の価値を感じることなどの隠喩になっている。それが僕が本当に描きたかったことだ。犬映画というジャンルを、狼が着る羊の皮として使ったから、このジャンルのパロディもやりたかった。ところどころにナレーション犬を登場させたり。
あとは、犬の飼い主、あるいは犬愛好家ならわかると思うけど、「犬っぽい瞬間」ってあるよね。そこに犬自身の声を与えたかった。寝るために横たわろうとして、グルグル歩くとかね、一体何をやってるんだろうって思う瞬間あるよね?そこに犬の声を与える、それも大人のR指定の声を与えることができたのが楽しかったよ。きっと犬も眠れなくてイラついてるかもしれないし、「ファック、考えが止まらない」みたいなこと言ってるかもしれない。犬がちゃんと眠れる正しい体勢を探ろうと、色々と考えて、他の犬がアドバイスしてるって、笑えるよね。いろんな「犬っぽい瞬間」入れて、なぜそれをするのか、というシーンを入れたかったんだ。犬はチョコレートのこと、どう思うんだろう?とか、人間が犬のフンを拾うのをどう思ってるんだろう、とかね。そういうことを考えるのは楽しかったよ!
◆犬のCGがすごく自然だったと思いますが、どの様な技術を取り入れましたか?
ジョシュ・グリーンバウム監督:これはVFXを多用してる映画なんだ。犬の口(鼻面)をたくさん動かして、そのためにいろんな映画を参考にしたけど、一番参考にしたのは30年以上前の映画「ベイブ」だ。僕が大好きな映画だ。とても自然な動きを使ってるからね。他の参考にした映画は子供用のが多くて、かなり大袈裟に眉とか顔を動かすんだよね。漫画っぽくっておかしくて子供は好きだと思うけど、大人にはもっとリアルなものがおかしいし、興醒めしない。映画を見ていて、あれ、違うよねって思って興醒めるのってすごく嫌だよね。
というわけで素晴らしいVFXチームがいた。たまに必要な時に微かに眉を動かしたりしたけど、犬が困惑した時に、人間みたいに眉を顰めるのは嫌で、首を傾げさせたかった。実際、犬って何かわからなくなると首を傾げるしね。まずは、なるべく現場で犬から演技を引き出そうとした。そして編集者が山のようなフッテージを中から、いい演技を見つけ出し、そこからVFXチームが動くんだ。
◆映画「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」をいじるセリフも出てきますが、監督が好きな動物の映画、もしくは反面教師にした映画があれば教えてください!
ジョシュ・グリーンバウム監督:いやあ、これはとんでもない罠だね、ハメようとする質問だな(笑)「ジョシュ・グリーンバウム監督はxxxx(映画名)が嫌い!」と言う見出しにするつもりだな(笑)。分かっているよ(笑)。
いやいや、全く公平な質問だ。ところで、僕はああいった映画が大好きだと公言できるよ。
どのジャンル映画でも、そればっかり作られることがあるよね。ただジャンル映画でも、よくできてるものはよくできてる。ジャンル映画だからと言うだけで、こき下ろすのはいけない。ジャンル映画で出来の悪いものはこき下ろすべきだし、よく起こることでもある。あるジャンルの映画が人気になると、みんなそのジャンルを作りたがる。金儲けのためにね。僕は、よくできている素晴らしいものなら、ジャンル映画も大好きだ。
さっきも言ったけど「ベイブ」が大好きだ。この映画の参考にもしたし。ね「ベイブ」はオーストラリアの素敵な映画だ。「ベイブ2」はジョージ・ミラーが監督したよね。1作目の「ベイブ」には脚本かプロデューサーで参加していたかな。それはさておき、「ベイブ」が大好きだ。この映画にも参考にしたって言ったよね。あと「奇跡の旅」も可愛いよね、あれを見て育ったんだ。病気で学校を休んで家にいる時とかVHSテープをかけて見ていたよ。「子猫物語」も大好きだったな。歳がバレるね、結構年取ってるんだ(笑)。小さい時はそういう映画が好きだった。
「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」も実は好きなんだよ。あのジョークは、悪役がからかってるだけで、僕じゃないよ(笑)。いや、あれは仄めかしのセリフなんだ。僕は見てないけど、あの映画では最後に犬が死ぬのは知ってる。レジーに酷いことをしてやるぞ、と言うことを仄めかすセリフだ。
そういえば、ジョシュ・ガッドに電話して「ナレーター犬やらない?」って聞いたんだ。そんなこと聞くと怒るかな、嫌がるかな、あるいは、彼なら分かってくれて喜ぶかなって思いながら。彼は愉快な人で、もちろんよく分かってくれて「絶対やりたい!」って言ってくれたんだ。そして声優やってくれた。この映画の中で僕が大好きなジョークの一つは、ナレーター犬だね。
映画『スラムドッグス』は現在公開中。ワンちゃんたちの素晴らしい演技をお見逃しなく!
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