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ビートたけしによる原作小説を、主演に日本を代表する実力派俳優・二宮和也、ヒロインに話題作への出演が続く波瑠を迎え映像化する映画『アナログ』(10/6全国公開)。二宮和也演じる主人公の悟と、波瑠演じる携帯を持たない謎めいた女性・みゆき。喫茶店で出会ったふたりが交わした、たったひとつの大切な約束。「毎週木曜日に、この場所で会いましょう」。携帯電話で気軽に連絡が取れる現代に、あえて連絡先を交換せずに、週に一度だけ“会うこと”を大切にしてゆっくりと関係を紡いでいく…。2人の恋愛を通じて描かれ、コロナ禍を経た今だからこそ実感する“会うこと”の大切さ。いつの時代も変わらない愛の原点=〈大切な人にただ会える喜び〉を描いた、この秋一番の感動作です。
喫茶店で出会ったみゆきと運命の恋に落ちた悟。幼馴染で親友の高木(桐谷健太)と山下(浜野謙太)は、そんな悟を茶化しつつも見守る重要なキャラクターだ。高木と山下は携帯を持たないミステリアスなみゆきとの恋に思い悩み、微笑ましいデートを重ねたり壁にぶつかったりする悟を、幼馴染ならではの気取らない空気で支える。誰もが自分の友人を思い出してしまうような自然なやり取りは、キャスト3人のアドリブが作り出したもの。初めて顔を揃えた3人は、初日の撮影とは思えないほど息はぴったりだったが、監督はなんと台本にない余白の芝居に10分以上カメラを回し続けた。
入院している母のためにマメにお見舞いに行き献身的なサポートを続ける悟。そんな悟に、みゆきとの出会いという素晴らしい出来事があったことを知った母・玲子(高橋惠子)は、「悟、幸せになりな」と優しく、そして力強く伝える。思わず照れてしまう悟だったが、玲子は母として、人生の先輩として真っすぐな言葉を贈る。 撮影の合間は本当の親子のように仲良く談笑していたという二宮と高橋。監督はそんな2人を見て、リアルな会話で生まれる間(ま)があった方がいいと判断し、微妙な間をあえて残した。穏やかで何気ない場面にも、悟と母・玲子が過ごしてきた人生が垣間見えるような、行間を想像させる奥深いシーンは、観る者の感傷を誘う。
手作りの模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟が、携帯を持たない謎めいた女性・みゆきと恋に落ち、連絡先を交換せずに週に一度の約束だけで仲を深めていく本作。詳しいプロフィールや素性もわからないみゆきだったが、悟は目の前にいる等身大の彼女をそのまま理解し、みゆきも悟に歩み寄りながら少しずつ愛を深めていく。二宮と波瑠は、監督の指示の中で長回しのアドリブシーンを撮影し、まるで悟とみゆきそのもののように自然体な姿をスクリーンで見せている。
大どんでん返しや、凝りに凝ったストーリーに求められがちな昨今の映画作品たち。本作『アナログ』はとてもシンプルに観客の心を揺さぶる物語となっています。俳優陣のお芝居を邪魔しない丁寧な演出、登場人物のキャラクターを引き立てる優しい演出は、疲れがたまった現代人こそ観たい一作。とにかく映像が美しく、その映像美を楽しんでいるだけで涙腺がゆるんでしまう人もいるはずです。
愛の原点=〈大切な人にただ会える喜び〉を描いた、涙なしでは見られない、この秋一番の感動作『アナログ』は、大ヒット公開中。
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