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『THE BATMAN−ザ・バットマン−』、『ジョーカー』など数々の大ヒット作を生み出してきた DC。その最新作にして、DC だけでなく全てのヒーロー作品のゲームチェンジャーであり、既に“最高傑作”と謳われる超速タイムループ・アドベンチャー超大作『ザ・フラッシュ』が6月16日より公開中です。
時空を超えて現在・過去2人のバリー/フラッシュの日本語吹き替え版を演じた細谷佳正さんと、マイケル・キートン演じるバットマン役の山寺宏一さんにお話を伺いました!
──本作とても楽しく拝見させていただきました!まずは、お2人がフラッシュというヒーローをどうとらえられているのか、印象をお聞きしたいです。
細谷:僕がフラッシュを知ったのが『ジャスティス・リーグ』(2017)からなので、その時の印象になるんですけど、アニメのキャラクターの様な印象で、それをエズラ・ミラーさんが自分のパフォーマンスでやろうとしているんだろうなと。『ジャスティス・リーグ』の時は今回の『ザ・フラッシュ』の様なカッコ良いスーツじゃ無かったので、みんなカッコ良いのになんでフラッシュだけこの衣装なんだろう、とは思っていました(笑)。
山寺:こうして映画の『ザ・フラッシュ』があって、ドラマの『THE FLASH/フラッシュ』もあってという印象だと思うのですが、その前に『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ』という作品が1990年から1991年にかけて放送されていて、実はそこでフラッシュ役の日本語吹き替えをやっているんですよ!
細谷:そうなんですか。
山寺:そうなの。なかなか誰も知らないと思うんだけど。江原正士さんがナレーションをやっていて、バリー・アレン役が僕だったんですよ。
──では、今2人のバリーが並んでいるわけですね…!
細谷:めちゃくちゃ嬉しいですね。
山寺:今が細谷くんで、ドラマ『THE FLASH/フラッシュ』は福山(潤)くんでしょ、その前に僕がバリーをやっていたんですよ! 『ジャスティス・リーグ』は僕が出ていないので、ちゃんと観れていないんですよ。悔しいから。でも、こんな超高速で動くヒーローって面白いじゃない? だから、今回僕が昔バリーをやっていたことと、マイケル・キートン版バットマンの合わせ技で呼んでいただいたのかと思ったのですが、フラッシュのことは誰も知らなかった(笑)。
細谷:観たい。これを機に劇場で放映すればいいのに。
──本作でついにフラッシュ単体の映画ということで、細谷さんのお気持ちはいかがですか?
細谷:『ジャスティス・リーグ』をやった時に『アクアマン』の映画が出来るということはもう決まっていて、その時に音響監督を務めてくださった三好慶一郎さんと、「フラッシュもあるかもね」と話していたんです。でも、あまりにも時間が空いたから、不安に思ってて。今回やっと公開されるということで本当に嬉しいです。
──改めてバリー/フラッシュを演じる上で何か準備はされましたか?
細谷:収録に入る前に、三好音響監督に映画を観ておいた方がいいと言われたので試写室で観たことくらいですかね。ヒーロー映画って大味なパフォーマンスという印象があったんですけど、エズラ・ミラーさんがやっているお芝居が単館映画のアート作品の様な細かいパフォーマンスで。今回こんな感じでやりたいんだなということがわかって、僕もそこにフォーカスしながらやっていこうと思いました。
──本作は、異なるバースのバリー2人を演じるということで、さらにお芝居が難しそうですよね。
細谷:本国の制作陣が、海外でいろんな言語に吹き替えられることに対してナーバスになっているということを聞いたんですね。今回、エズラ・ミラーさんのパフォーマンスが本当に素晴らしくて、2人が違う人にみえるようなパフォーマンスをしているから、それに吹き替えることによってクオリティーが保てるのかということを懸念していたと思うんですよ。
主人公のバリーをバリーA、マルチバースのバリーをバリーBとすると、バリーAを全部録ってからBに臨みたかったんですけど、本国的には「AとBが絡んでいるシーンを聞いて精査したい」ということで、対象のシーンのAを録って、Bを録って、という繰り返しをやったので結構大変でした。アフレコが終わったのが夜の12時くらいで、結局1日では全て終わらなかったです。
山寺:それは大変だ。でも、ほぼ一人でやっている様なもんだもんね!ずーっと出ていて、主役2人を1人でやるわけですから。僕は、海外の俳優さんが何役もやっているので、自分も何役もやる、ということはありましたけれど、こうやって自分と向き合うというのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』くらいかな。でもあの時は「過去や未来の自分と会ってはいけない」というルールがあったけれど、今回はガンガン会ってますからね。同じシーンにいる2人を演じるというのは本当に大変だったと思う。でも、細谷くんなら出来る!
細谷:山寺さんは僕が声優を目指すきっかけになった方ですから。
山寺:その話は……絶対にして!
一同:笑い。
細谷:ご一緒するまで23年かかりました。山寺さんがやってた『機動戦艦ナデシコ』の北辰というキャラクターがワープしたシーンを観て、声優を志しました。僕はあまり声優に詳しく無かったんですけど、山寺さんのことは知っていて、他にも加持リョウジとか、スパイク・スピーゲルとか好きで。『カウボーイビバップ』は、男1とかでもいいから出たいというくらいだったんです。先輩が「今日会った」とか言うんですけど、山寺さんってそんな簡単に会える人なのかなって感じでした。
──そんな山寺さんは、今回渋くてカッコ良いバットマンを演じられていますね。
山寺:マイケル・キートンは僕のちょうど10個上なんです。なので、以前キートン版のバットマンをやらせていただい時も、俺がやるんだという気持ちもあって。吹き替えって役柄よりも年齢が上の人がやったほうが合うと言われていたりするんですよね。欧米の方の声が渋いということもあって。今回は引退したバットマンということで、このバットマンが作品の中でどういう意味を持っているかということを探って、読み取って演じようということですね。マイケル・キートンは、ナチュラルな演技をする方ですから、そういう所をきめ細やかに吹き替え出来たら良いなと思っていました。
──改めて映画の見どころを皆さんにお願いします!
細谷:バリーが2人出てくるとか、往年のバットマンが出てくるとか、スーパーガールが出てくるとか、予告編だけみても見どころがいっぱいです。僕は、派手な“側”をしてるんですけど、寛容さみたいなものを伝えようとしていると感じました。今、著名人が良くないことをしてしまうと、復帰が難しくなってしまう状況じゃないですか。バリーは、母親への愛が理由で決して弄ってはいけない過去を変えようとしてしまう。それをやってしまうと、世界が崩壊するかもしれない。ある視点から見ると美しいけど、違う視点から見ると大罪なわけですよね。だけど、それを許そうとする。バットマンからかけてもらった言葉もそうです。見どころと言ったら少し違うかもしれないけど、万人が受け入れやすいエンターテインメントを使って「やり直しがきく」というメッセージを伝えたいのかなと思いました。
山寺:バリーが別世界に行って、交流が無かったバットマン、突然登場したスーパーガールと、どう共闘していくのか、どう乗り越えていくのか、というのが見どころだと思うんですね。何より、別の自分同士が分かりあわないといけない。その過程が良いですよね。家族との愛や人間が大切にしているものが描かれていて、それをあんなにすごいアクションで盛り上げるという。すごいですよね。昔のフラッシュとは違うなあ!って(笑)。たくさんの要素がつまっている所が魅力だなと思います
──今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
『ザ・フラッシュ』大ヒット公開中!
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