Googleが6月20日に発売したタブレット「Pixel Tablet」のレビューをお届けします。スマートフォン「Pixel 7」シリーズと同じ独自開発のシステムオンチップ(SoC)「Google Tensor G2」とセキュリティチップ「Titan M2」を搭載するタブレット本体に、充電ドック兼スピーカーとして利用できる「充電スピーカーホルダー」が標準で付属するのが大きな特徴で、両者の組み合わせにより用途が広がり、使い勝手が向上します。

プレーンなデザインで上質な手触り

10.95インチ(2560×1600)の大画面LCDディスプレイを搭載。4辺はほどよくベゼル幅があり、手に持って操作する際にも指で画面が隠れることがありません。ディスプレイ面はフラット、背面は縁がラウンドした形状と、タブレットではよく見られるプレーンなデザインです。タブレット本体のサイズは258×169×8.1mm、重量は439g。

背面はナノセラミックコーティングを施し、サラっとした触感。手になじみがよく、指紋がつきにくいのが特徴です。メタリックな音量ボタンやロゴ、充電用ポゴピンがアクセントになり、全体に高級感のある印象。音量ボタンの隣にある電源ボタンは指紋センサーを搭載し、複数ユーザーでタブレットを共用する際に指紋認証でユーザーアカウントを切り替えられます。

左右の側面に計4基のスピーカーを搭載し、ディスプレイ面から見て左側面にはUSB Type-C 3.2 Gen 1ポートを搭載します。充電には後述するスピーカーホルダーを主に使うので、USBポートはデータ転送の用途がメインになりそうです。Pixelスマートフォン同様、DP Altの映像出力には対応していません。

背面とディスプレイ面のベゼルには、それぞれ800万画素のカメラを搭載。消しゴムマジック、ボケ補正、長時間露光といったAI撮影機能に対応します。

分割画面やドラッグ&ドロップなどタブレットに適したUIが利用可能に

OSはAndroid 13。標準で、大画面のタブレット向けに最適化された操作やユーザーインタフェース(UI)が用意されています。

ひとつは、分割画面によるマルチタスク処理。アプリアイコンを長押しすると「分割画面」のサブメニューが表示されるので、アプリの実行中に別のアプリを起動して分割画面に並べたり、順番に分割画面で起動して並べることができます。

もう一つ、便利に使えるのがタスクバー。画面の下から引き出すようにスワイプすると表示されます。アプリ一覧をオーバーレイで表示したり、タスクバー上に表示されたアプリをドラッグ&ドロップすることで、簡単に分割画面で表示できます。

ドラッグ&ドロップも、タブレット向けに新たに追加された操作。Word文書やメールにGoogleフォトの写真をドラッグ&ドロップして追加するなど、PCライクな直感的操作が可能になりました。

Chromeブラウザは、ウェブサイトをデスクトップ表示で利用できたりタブが使えるなど、PCライクな使用感。「新しいウィンドウ」メニューをタップすると、画面分割で新しいウィンドウを開く動作になります。

“いつでもすぐ”使えるようにするスピーカーホルダー

スピーカーホルダーは169×94.1×70.3mmと、意外とコンパクトなサイズ。付属のACアダプターをつないでタブレットを充電できるだけでなく、内蔵する43.5mmのフルレンジスピーカーでサウンドを出力できます。

ポゴピン同士を合わせてマグネットで吸着することで、最大15W出力の充電が可能。タブレットは毎日充電する必要がなく、放置していざ使おうというときにバッテリーが切れている、ということがよくありますが、スピーカーホルダーに設置することで常に充電状態を保てます。バッテリー寿命に配慮し、充電状態は90%を上限に抑えているとのこと。

スピーカーホルダーから外せばすぐにタブレットが使える他、設置した状態では「ハブモード」として、スマートディスプレイ「Nest Hub」シリーズのように利用可能。「OK Google」と話しかけて、天気やニュースを確認したり、接続したスマートホーム機器を音声操作することもできます。この状態のスクリーンセーバーは「写真のスライドショー」「アートワーク」「全画面表示の時計」「天気情報」から好きなものを設定可能。写真のスライドショーは、Googleフォトに保存したアルバムを選んだり、家族や友達を設定して表示することもできます。

Google Meetを使ったビデオ会議やビデオ通話も、スピーカーホルダーに設置したまま手軽に利用可能。プライバシー上、カメラやマイクを使用不可にしたい場合は、画面上から下にスワイプして表示されるクイック設定からカメラとマイクをOFFに設定できます。

パワフルなスピーカーが標準で使える

スピーカーホルダーは、タブレットを初めて装着した際、「ハブモードをセットアップ」のプロンプトに従ってセットアップします。これにより、タブレット本体で音楽を再生していても、装着するだけで音楽再生をスピーカーホルダーに引き継ぐことが可能になります。

使ってみるとこれが便利。Bluetoothスピーカーの電源をONにしてペアリングを確認して……といった手順は不要で、ガチャっとスピーカーホルダーに設置すればパワフルなサウンドが楽しめるのは、Pixel Tabletならではのユニークな体験と言えそうです。

タブレット本体にも4基のスピーカーを搭載しているのですが、どうしても低音の迫力は足りない印象に。本体の4倍の大きさで低音を鳴らせるというスピーカーホルダーを組み合わせれば、「タブレットで音楽を聴く」という新しい楽しみ方ができるようになります。

特に楽しめたのがYouTube Musicの利用。画面右側のプレイリストから楽曲を選びながら、動画のある楽曲は動画を表示して……と触っていると、あっという間に時間が溶けてしまいます。

映像コンテンツやゲームがよりリッチに楽しめる

10.95インチの大画面は発色が良く、スピーカーホルダーに装着すると画面が宙に浮いたように見えて、没入感のある視聴体験が可能に。サウンドも迫力があり、映像ストリーミングサービスの利用に最適。「Netflix」「Disney+」といったアプリがPixel Tabletに最適化されています。

Chromecast機能を搭載し、スマホからタブレット画面に映像をキャストして楽しめるのが便利。移動中に観た映画やドラマの続きを、帰宅して自分の部屋のタブレットで観る、といった複数デバイスのシームレスな利用が可能になります。

クラウドゲーミングのプレイ環境としてもオススメです。「Xbox Game Pass」アプリをインストールすれば、「Xbox Cloud Gaming」で公開されている多数のXboxタイトルを大画面と迫力のサウンドで楽しめます。

ちなみに、Androidゲームアプリの一部も、Pixel Tabletに最適化されています。「Asphalt 9: Legends」では、タブレット本体を傾けるステアリング操作でプレイが可能。

Pixel TabletはPorcelainとHazelの2色をラインアップして、Google ストアでの販売価格は128GBモデルが7万9800円(税込)、256GBモデルが9万2800円(税込)。いずれも同色のスピーカーホルダーを同梱します。スピーカーと充電器が付属して、さらに機能を拡張できると考えれば、コスパのよい製品と言ってよさそうです。

スタンドになりそのまま充電もできる別売ケースが秀逸

最後に、別売りのケースについても紹介しておきましょう。ケース背面にはメタル仕上げでリング形状のスタンドを搭載し、任意の角度で横置きにも縦置きにもできるのが特徴。しっかり角度を保持できるので、寝かせてペンタブレットで作業する際にも活躍しそうです。

ハンガー状にして引っ掛けられたり、両手持ちした際に指が引っかかって持ちやすいという特徴も。

スタンドは楕円形なので、たたんだ状態ではそのままスピーカーホルダーに設置できるのが秀逸。ケースは本体と同色をラインアップして、価格は1万2800円(税込)です。

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「Google Pixel Tablet」レビュー 充電スピーカーホルダーとの組み合わせで用途が広がるタブレット