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ASUS JAPANが6月2日から予約受付を開始した、ディスプレイとコントローラー一体型でWindows 11が動作する携帯ゲーム機「ROG Ally(アールオージー エイライ)」のレビューをお届けします。
7インチ フルHD、リフレッシュレート120Hzのタッチディスプレイに、左右のLEDライト付きアナログスティック、方向ボタン、A/B/X/Yボタン、LB/LTとRB/RTボタン、背面にはカスタマイズ可能な左右マクロボタンを搭載し、重量は約608gと持ち運びに便利な携帯ゲーム機。
A/B/X/Yボタンの隣にはメニューボタンとプリインストールされた独自アプリケーションの「Armoury Crate SE」を起動するArmoury Crateボタンを搭載。左スティックの隣にはビューボタンとゲームのプレイ中に呼び出せるメニュー「コマンドセンター」を開くコマンドセンターボタンを搭載します。
本体前面の左右端は14°の傾斜をつけた形状で、両手持ちして手になじみやすいのが特徴。背面のグリップ部にはシボ加工が施され、しっかりと保持することができます。そのままでも良好な操作感ですが、アナログスティックとトリガーは遊びの範囲を細かく調整でき、“ASUSこだわりのコントローラー”といった仕上がりです。
現在予約受付中で6月14日に出荷を開始する上位モデルは、Zen 4アーキテクチャーのRyzen Z1 Extreme プロセッサー、LPDDR5-6400 16GB RAM、512GB SSDを搭載。AMD Radeon グラフィックスとの組み合わせにより、コンソールゲーム機に匹敵する8.6TFLOPS(浮動小数点演算)のパフォーマンスを実現しています。
「Forza Horizon 5」のベンチマーク結果は、72fpsを達成するというパワフルぶり。電源はつないだ状態、解像度1920×1080、リフレッシュレート120Hzの設定でCPUをターボモードにして実行しています。
ベンチマークを回して驚くのが、動作の静かさと熱の少なさ。デュアルファンを搭載し、内部温度に応じて最適な冷却状態を保つ「ROG インテリジェントクーリングシステム」、毛細管力を向上してさまざまな姿勢でも冷却を可能にする「アンチグラビティヒートパイプ」により、効率よく静音性の高い冷却を実現しています。
ここまでを見ると、PCゲームに特化したパワフルなUMPCという印象ですが、ASUSの狙いはもっと汎用性の高い、“1台ですべてのゲームが遊べる環境”にあるようです。
―――『ROG Ally』解禁。#すべてのゲームを手のひらに
—ROG Japan (@ASUSROGJP) May 29, 2023
「すべてのゲームを手のひらに」と打ち出しているように、PCゲームではSteam、Xbox Game Pass、Epic Games、GOGと複数のPCゲームプラットフォームに対応しつつ、クラウドゲーミングやエミュレータを介したAndroidゲームなど、あらゆるゲームを1台で遊べるマルチプラットフォーム対応というのがROG Allyのコンセプト。そのコンセプトは、本体起動後に立ち上がるホーム画面に表れています。
Windowsの初期設定後は、本体起動時にArmoury Crate SEが自動で立ち上がり、ホーム画面として機能します。ゲームプラットフォームのアプリケーションやそれぞれのプラットフォームからインストールしたゲームがタイル状のインタフェースに表示され、タイルを選んで起動できます。ホーム画面はWindowsを意識せずに、スティックとボタン、もしくは画面のタッチで操作が可能。
Steam/Xbox/Epic Gamesといった主要なPCゲームプラットフォームのアプリは、ホーム画面に用意されたショートカットからインストールできるようになっています。
サインインなど文字入力が必要な際には、ソフトウェアキーボードを使用。慣れないうちは入力に手間どったのですが、「本体の背面ボタン」+「方向キーの上」でソフトウェアキーボードを表示するショートカットが用意されているに気づいてから、入力はラクになりました。
CPUの動作モード、LEDライトといった本体の設定や、ゲーム単位で設定できるキーマッピングなど、各種カスタマイズが可能。
ゲームのプレイ中に各種設定を呼び出すクイックメニュー“コマンドセンター”は、コマンドセンターボタンを押してすばやく操作ができます。
ホーム画面の表示中にArmoury Crateボタンを押すと、通常のWindowsデスクトップを表示します。ここでは、右スティックでカーソル、RBボタンで左クリック、RTボタンで右クリックの操作が可能。ブラウザを表示したり、ゲーム以外のアプリケーションを使うWindows PCとして利用できます。
続いて、PCゲーム、クラウドゲーミング、Androidアプリを実際に遊んでみましょう。
Steamを起動すると、Valveの携帯ゲーム機「Steam Deck」と同様のユーザーインタフェースでゲームの起動や管理が可能。7インチの画面で見やすく、コントローラーだけで快適に操作できる携帯ゲーム機環境が実現します。
Epic Gamesは若干PC寄りのユーザーインタフェースになりますが、所有しているライブラリからゲームをインストールして快適にプレイ可能。スマホ版はアプリストアから締め出されてしまった人気ゲーム「フォートナイト」も、PC版なら開発元のプラットフォームから正規に入手して遊ぶことができます。
Xboxアプリケーションからは、サブスクサービスの「Xbox Game Pass」に入会していれば対象アプリをインストールして遊んだり、Microsoft Storeで購入したゲームを遊ぶことが可能。
さらに、「Xbox Game Pass Ultimate」に加入していればクラウドゲーミングサービス「Xbox Cloud Gaming」が利用可能に。microSDカードで拡張可能とはいえ512GBの本体ストレージを圧迫せず、インストール不要で大型ゲームをプレイできるのは大きな魅力です。本体を購入すると、Xbox Game Pass Ultimateの3か月の無料利用権が付属しています。
Xbox Series S|Xのユーザーなら、XboxアプリケーションからXbox本体のリモートプレイも可能。Steam DeckではXbox Cloud Gamingはサポートされているものの、リモートプレイができるXboxアプリケーションは正式サポートされていなかったので、Xboxユーザーには魅力的なサブ機になるのではないでしょうか。
Androidアプリについては、最近Windows上でAndroidアプリを実行できる正規のエミュレーターが利用できるようになっています。ひとつは、Googleがベータ版の提供を開始した「Google Play Games」。専用アプリケーションをPCにインストールすると、対応する一部のAndroidゲームアプリがPC上でインストールおよび実行できる、というもの。
「アスファルト9:Legends」をインストールしてプレイしてみましたが、PC版のGoogle Play Games自体がゲームコントローラーをサポートしていないため、画面タッチでプレイすることしかできませんでした。アスファルト9のアプリはゲームコントローラーをサポートしているのに、これでは魅力半減です。こちらはROG Allyの問題ではなくGoogle Play Gamesの問題なので、早くゲームコントローラーをサポートして強力な連携を実現してほしいものです。
もうひとつ、Windows上でMicrosoft Storeからインストールできる「Amazonアプリストア」を使う方法があります。こちらは、Fireタブレット向けに公開されているAmazonアプリストア上のアプリから一部をWindowsでインストール・実行可能にするもの。ROG AllyにAmazonアプリストアをインストールして実行してみたところ、BIOS上で仮想マシンを有効にする設定が必要なため、今回は試すことができませんでした。
通常のWindows PCとして使えることは既に触れましたが、外部機器と接続することで多様な使い方にも対応します。
本体の外部インタフェースは、USB 3.2 Gen2 Type-C/DisplayPort 1.4/DC入力ポートと、外付けGPUユニット接続用のインタフェース、ヘッドホン/ヘッドセット/マイクジャック。USBポートは65Wの急速充電に対応し、約30%で50%の充電が可能。バッテリーはヘビーなゲームで最長2時間、クラウドゲーミングなどカジュアルなゲームなら最長約6.8時間動作します。
USB-Cケーブル1本で接続できるモバイルディスプレイにつなげば、大きな画面でゲームのプレイが可能に。もちろん、Bluetoothでゲームコントローラーを接続して使うこともできます。
本体にはキックスタンドがありませんが、パッケージに付属する簡易スタンドを使って立てておくことが可能。
ディスプレイとワイヤレスマウス、ワイヤレスキーボードを接続すれば、デスクトップPCライクな作業環境に。文書作成や表計算、プレゼンテーション資料の作成も問題なくこなせます。
別売りの外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」を接続すると、内蔵するNVIDIA GeForce RTX 4090のGPPUパワーを利用してより高パフォーマンスなプレイが可能に。HDMIケーブルで外部ディスプレイにも接続できます。2023年夏に発売する別売りアクセサリー「ROG Gaming Charger Dock」を使うと、USB-Cポートから65Wで給電しながらHDMIポートで外部ディスプレイに画面を出力したり、USB-Aポートへマウスやキーボードを接続することも可能。こうした純正アクセサリーで拡張性を確保している点は、ASUSならではの特徴と言えそうです。
正確に言えばNintendo SwitchやMacOS/iOSのプラットフォームは除外されますが、幅広いプラットフォームのゲームをコンパクトな1台でカバーするROG Ally。それほどPCに詳しくない人からサブマシンでも遊びたいヘビーゲーマーまで、幅広い層に魅力ある製品なのではないでしょうか。
今回レビューしたRyzen Z1 Extreme プロセッサー搭載の上位モデル「RC71L-Z1E512」は、6月14日の出荷予定で現在予約を受付中。価格は10万9800円(税込)です。2023年夏にはRyzen Z1 プロセッサー搭載で最大2.8TFLOPS動作の廉価版モデル「RC71L-Z1512」を発売予定。こちらの価格は8万9800円(税込)です。
本日、6月2日(金)の20時からお届けするライブ配信番組「ガジェット通信LIVE」では、ROG Allyの実機を手にとって、その魅力をたっぷりご紹介します。アーカイブ視聴も可能なので、気になる方は是非チェックしてみてください。
5月の話題を振り返ろう! / ガジェット通信LIVE #114(YouTube)
https://www.youtube.com/live/TYvKb6j_Nl0