秦 基博さんの楽曲「イカロス」にインスピレーションを受け制作された3本の作品を束ねたオムニバス映画『イカロス 片羽の街』が、U-NEXTにて現在独占配信中です。児山 隆監督の「トイレのハナコ」、枝 優花監督の「豚知気人生」、中川 龍太郎監督の「十年と永遠」と、それぞれがそれぞれの表現で、さまざまな形の喪失と再生を描いています。

秦 基博さん、「トイレのハナコ」編の児山 隆監督にお話を聞きました。

■公式サイト:https://www.video.unext.jp/po/icarus [リンク]

●今回のプロジェクトは、ご自身の楽曲が映画になり、ほかの方がテーマを受け継いで作品化するものでしたが、まずはその感想をお願いします。

秦基博:実際にどういう映画、物語が生まれてくるのか、僕自身とてもわくわくしていましたし、「イカロス」という曲の世界から、今回3人の監督がまったく違う世界・物語を生み出してくれたので、そのことにまず驚いて、とても感動しました。

●監督は、今回完全オリジナル作品を作ると決まった時、最初はどういう気持ちになりましたか?

児山隆監督:これは意外とあまりないアプローチなので、「できるのかな?」とは思いました。それに秦さん、有名な方でしたし(笑)。「え? 秦基博?」と素人みたない反応をしましたかね。そんな感じでした。

しかも完全オリジナルで、とのことだったので、何も思い浮かばなかったらどうしようかと。でも、最初に曲を聴かせていただいた時にとても素晴らしい曲だったので、「これはやらないとな」と思いました。

●担当された「トイレのハナコ」は、どう作り上げたのですか?

児山監督:最初は本当にノープランでしたが、楽曲を聴きながら街を歩いていたら、物語、それこそ風景みたいなものがよぎったんです。僕が撮った「トイレのハナコ」は、ふたりの女の子がトイレで出会うみたいな話なのですが、そのワンカットがよぎったんです。そこから逆算して話を作っていった感じです。

●秦さん、完成した作品の感想はいかがでしたか?

秦:今もお話をうかがっていて、場面が浮かぶ、描かけるということが、僕からするととても不思議です(笑)。ホテルのシーンの、あの1枚絵がカタチになっていることがすごいなって思います。そういう物語の中にある切り取られた景色にも、グッと来るものがありましたね。

監督:いろいろなラッキーがありました。まず今回は、横浜が舞台という縛りだけがあったんです。最初はみなとみらいみたいなきれいな繁華街を見ていましたが、あんまりピンと来なくて…。そこで制作部の方に野毛という街を案内してもらって、そこのラブホテルにロケハンさせてもらったんです。ラブホって窓がないものなのですが、あそこは最上階に光りが入っていたんです。

なので秦さんの歌から始まり、横浜縛りがあり、自分がいろいろとロケーションを見ていくなか、さまざまな出会いもあったりしていくなかで、企画も脚本もあったけれど、物語の輪郭が強まっていくプロセスが、制作の過程でもあったという感じですかね。その窓のシーンは最初はなかったのですが、「イカロス」という題材にも重なって来るんです。そういう景色がだんだんと積み上がっていくことが楽しかったですね。

●こういうプロジェクトに関わった得た経験は、今後の創作活動にどのような影響を与えそうですが?

秦:僕自身は楽曲を作る上で大事にしているポイントとして、聴く人の中でいかにイメージが広がっていくか、いろいろなことを想起できる、そのきっかけにその曲がなれればいいなと思っていて、それが今回明確に形にしていただけたと思うんですよね。それがとても大きかったです。

音楽が持つ作用のひとつとして、非日常を感じる、そこに没入できるというものがあると思うのですが、そういう曲が僕自身好きだし、今後も作っていきたいなと思いました。

●楽曲から想起されるものが必ずしも映像でなくてもいいわけですね。

秦:今回映画監督のみなさんにお願いしたので、具体的な映像作品になったと思うのですが、楽曲が持つものを起点にそれを聴く人にたくさんの景色やイメージが広がっていくような、そういう曲を作りたいなと思っています。

監督:僕は面白いものを作りたい、本当にそれだけです。ただ、映画はビジネスの側面も多分にあり、独りよがりなものを作っていても仕方がないと思っていますが、分かりやすく作ることも違うような気がするんです。なので、ずっとわかってほしい、という思いで作るとは思います。必要な情報や要素が作品の中に絶対的にあるが、それが過剰に説明され過ぎていないというか、どこかで分かってもらいたいと。ただ、今回の作品については、自分の青臭いところが出ているので、それは驚きでした(笑)。

●今日はありがとうございました。最後にメッセージをお願いします!

監督:面白いと思うので観てほしいですし、面白いと思ってもらえたらうれしいです。あと、「イカロス」のミュージックビデオも僕が監督しているのですが、本編の映像も使いながら、映画と対になっているような作品になっているんです。作品を観た後にミュージックビデオを観ていただけると、より奥行きが出るようになっている。それは今回の企画ならではかなと思います。

秦:自分の「イカロス」という曲から、これだけ多様な物語が生まれてきてくれたことはすごく自分もうれしいですし、その作品たち、3本の映画を通して見える景色もあると思うんです。そうやって新たに観てくださる方の中に芽生えてくる感情や景色、そういうものを楽しんでもらえたらうれしいなと思っています。

■ストーリー

―映画『イカロス 片羽の街』―

秦 基博「イカロス」からインスピレーションを受けた喪失と再生を描く物語を3人の映画監督の完全オリジナル脚本によって映画化。秦 基博の出身地でもある横浜を舞台に、様々な形の喪失と再生を描く。

「トイレのハナコ」
監督:児山 隆
出演者:
小川 未祐
菊地 姫奈
細川 洋平
村上 寿子
片山 友希

県内でも有数の進学校である女子高に通っている主人公の季美は、学校での成績、家庭内の不和など、ありきたりだが重大な思春期の悩みに押しつぶされそうになっていた。
そんな日常から逃げ出すようにたどり着いた横浜の街で家出少女ハナコと出会う―。
偶然出会った二人の刹那的な青春の物語。

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映画『イカロス 片羽の街』U-NEXTで独占配信中!

U-NEXT 秦 基博特集ページ
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(C) 2023「イカロス 片羽の街」フィルムパートナーズ

(執筆者: ときたたかし)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 秦 基博&児山 隆監督 映画『イカロス 片羽の街』インタビュー「観てくださる方の中に芽生えてくる感情や景色、そういうものを楽しんでもらえたら」