AI技術により、人間の声質・癖・歌い方・話し方を高精度に再現する新世代の音声創作ソフトウェア「CeVIO AI」。その技術を利用したソングボイス『Ci flower(シィ フラワー)』のダウンロード版が3月​10​日に、パッケージ版が3月31日に発売となります。

これまでのflowerのロックに特化した部分は継承しつつ、新しくなった『Ci flower』。ソフト上で楽譜を打ち込んで再生ボタンを押すだけで人間らしい歌声が出力できます。また、「しゃくりあげ」や「ビブラート」といった自然体な歌唱表現も自動的に付き、細かく調整も可能です。

このソフトの魅力について、前作『V flower』を使って1,000万再生を超える人気楽曲を制作してきた、VOCALOIDクリエイターの煮ル果実さんにお話を伺いました!楽曲のインスピレーションについてなど、制作についてもお聞きしています。

【煮ル果実】作詞・作曲・編曲家。主にVOCALOID楽曲のコンポーザーとして活動。ロックミュージックをベースに多種多様なジャンルを縦横無尽に行き来し、謎が散りばめられた中毒性が高い映像との相乗効果で、独特な世界観の作品を手掛ける。ずっと真夜中でいいのに。ナナヲアカリ、Sou等のメジャーアーティストにも精力的に編曲参加・楽曲提供を行っている。

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――煮ル果実さんは数々の素晴らしい楽曲を『flower』で制作されていますが、このソフトの特徴はどんな所にありますか?

他のVOCALOIDと比べて、声の輪郭が尖っていて、どんな曲と合わせてもきちんと出力してくれる所、パワーのある声が気に入っています。僕の伝えたいメッセージというのが、強い言葉を使うことが多かったりするのですが、それを刺さるように代弁してくれる声というか力がflowerにはあります。それが使い続けている理由です。

使い続けていると、クセもだんだんわかってきて、「この域だと苦しそうなボーカルになったりするだろうな」というのも分かってきて、それをわざと残すこともあります。僕は、完全に人間に近づけるということはしていなくて。flowerのロボット感を残して、必死に歌っている感じを残したくて研究しています。

――ロボットっぽい声質が、煮ルさんによる、人間くさいというか、もがいている歌詞に融合している点も魅力的ですよね。

ありがとうございます。出来るだけ多くの人に曲が届いて欲しいので、聴きやすく研究して調整しながらも、自分らしさは残しています。

――曲によっても違うとは思うのですが、一曲の制作にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?

本当に長いものとかは、歌詞に半年くらいかけたこともあります。あと、思いついたアイデアを形にするまで何年もかかったこともあるのですが、それを無しとしたら、1,2ヶ月で終わることが多いかな。本当に1,2週間で終わることもあって、今回の楽曲はそれでした。最速記録に近いと思います。

――そうだったのですね! 曲を作る時、どの部分に一番時間をかけていますか?

楽曲を打ち込んで、パラメーターを調整するときですかね。ビブラートを多用することが多いのですが、それを入れる/入れないという調整に時間がかかるかなと思います。僕は調整はかなりシンプルにやっているタイプで、聴きやすさは意識しながらもできる限りシンプルにしようとしています。

――曲作りをしている中で、どの過程が一番楽しいですか?

ハモリを作っている時ですね。ハモリも、コピー&ペーストした時とまた違うパラメーターを加えて調整していくのですが、とてもうまくいった時は嬉しいです。実は、大昔の曲はハモリはほぼ入れていなくて、ハモリのやり方が分からなかったんですよね(笑)。ハモリではない音を重ねただけというか。オクターブ上の音を重ねただけで、ハーモニーというものを全く理解していませんでした。最近はもちろん理解して作っていますけれど、そういった事が分かっていなくても、みんなが聴いてくれる完成度の曲を作れることは、『flower』のすごいところだと思います。

――『C flower』を実際に触って見て、どの様な進化を感じましたか?

発音が進化したと思います。『V flower』の時には舌足らず立った部分が、今回は聴こえやすくアップデートされています。今回、最初に作らせてもらった曲はすごく早口なパートがあるわけではないので、今後そういった曲を作った時にどうなるのかが楽しみです。
あとは、『V flower』は尖っている音の印象があったのですが、今回は抑えられている感じで、丸みがあるというか、温かみのある音を感じました。人間の女性の歌唱の雰囲気にきちんとあっているというか。女性ボーカルの音域に合っているなという印象を受けました。自分が今まで得意だった音域とは違う音域で表現することが出来るというか、また違った雰囲気の曲を作れることが楽しみです。

――今回制作された楽曲の聴きどころを教えてください!

今までは、言葉をたくさん詰めた曲が多かったと思うのですが、今回はそれを一気に削ぎ落としていって。でも、その中には自分の伝えたいことをしっかりと詰められたと思いますし、C flowerの特徴をいかした音域に。みんなに伝えたいメッセージ、変わらない部分はありつつも、これまでに無い曲になっていると思います。
これまでの曲を聴いてもらった上で、この曲に触れるとさらにメッセージの意味も深まると思っていて、そんなところにも注目していただけたら嬉しいです。この曲から僕のことを知ってくれた方がいたとして、過去の作品を掘ってもらえたら「全然違うじゃん!」と驚くかもしれないですね。

――様々なカラーの曲を作っていらっしゃいますが、どういうところからインスピレーションを得ていますか?

色々な作品を広く見ていることは間違いなくあります。漫画、アニメ、映画、舞台、なんでも苦手意識を持たずにたくさんのジャンルを見ます。全部刺激になるし、全部活きてくるなと思っているので、とにかくたくさんの作品に触れています。
言葉は、ニュースや散歩しているときに見かけた街の看板でも「この言葉なんだろう」と思って調べたりメモすることがあります。

――とても面白い言葉が出てくるなと思っていたのですが、普段から言葉には敏感になっているのですね。

メモをめちゃめちゃとっています。感覚的なのですが、自分がひっかかる言葉は見逃さないように。よくも悪くも違和感を感じる言葉を集めていたりします。作詞をするときは、メモを見返して、伝えたい言葉を紡いでいく感じです。そうすると他には無い歌詞が生まれると思っているので。

――最近好きだったり、面白かったなと感じた作品はありましたか?

最近Netflixに追加されていたので『ハリー・ポッター』を全部見返しました。もともと全部観ていたのですが、改めて見ると面白くて。全世界の方が知っていると思うのですが(笑)、本当に面白いんですよね! 人の心情を抉り取っている様なアングラなものも好きなのですが、メジャーで多くの人々が楽しんでいるエンターテイメントにも心の闇を描いている部分があって。そういう部分を掘り出していく作業、他の皆が見ていない所を見つけることが好きですね。それをまた自分で解釈して、作品作りに活かしていくことがあります。

――これまでに影響を受けた作品などもお聞きしたいです。

音楽だと、山田亮一さんという方の作品がすごく好きで、作詞に一番影響を受けています。山田さんの音楽を聴いた時の気持ちや、その時のマインドが今にとても活きています。文学的な歌詞、文豪的な感覚で作詞を作られていると感じていて、自分の惨めさだったりする負の感情を別のエネルギーに変化させて楽曲にしている所が素晴らしくて。すごく尊敬しています。

――煮ル果実さんの楽曲といえば、歌詞の言葉たちがとても印象的ですが、フレーズはふっと降りてくるものなのでしょうか?それとも熟考するタイプですか?

お風呂で考えることが多くて、スマホ触りながら思いついたフレーズをメモしていって。全く乗らない時は…最近なんですが(笑)。歌詞は書けないと本当に楽しく無いですね。なので色々な作品を見ていたりして。でもそうやってインプットを繰り返しているうちに、スッと書ける瞬間が来たりするので、「書けない、書けない」みたいに悩むことは無いですね。

――ファンの方が歌詞の考察を繰り広げていますよね。

「ここまで分かってるんだ!」と驚くこともありますし、「これは一個もバレてないな」と思うことも。そういうことを仕込んでいる時は楽しいですね。でも気付いては欲しいんです。コメントやメッセージで言われてすごく嬉しいのは「この曲で心が軽くなった」という言葉です。自分もそういう経験があるし、たくさんの曲、作品に救われているので、
今、自分が言葉を届ける側になれていること、曲を通して多くの方と関われていることが嬉しいです。

――本当に素晴らしい事ですね…! 煮ルさんの様なクリエイターさんになりたい方、初心者で『Ci flower』​を使ってみたいという方に、何かアドバイスをするならどんな言葉を贈りたいですか?

メロディーって、その人にしか無いものが絶対あるはずなんですよ。それはやっていくうちに分かって行くので、最初の方に見出さなくても良いと思っています。歌詞を一番大事にして欲しくて、「この歌詞は自分にしか絶対書けない」というものを自信を持って書いていくこと。自分の信じた言葉が書けたのなら、メロディーやアレンジがそこまで上手じゃなくても、良い作品が作れると思います。誰かが絶対その歌詞が良いと言ってくれる、見つけてくれると思います。歌詞を妥協せずに作れたら、それをボーカロイドが歌ってくれて世の中に出ていく。そして、だんだん慣れてくると「この繋ぎはもっとスムーズにしよう」「もう少し声を震わせてみよう」とやりたいことも増えてきます。そうやって曲が広がって行くことは、とても楽しいことなのでぜひ体験してして欲しいです。

――とても素晴らしい言葉をありがとうございます!最後に、煮ル果実さんが今年やって見たいことを教えてください。

曲をたくさん作って、アルバムをリリースすることです。今はネットに作品をあげていますが、今後は違う流れで楽しんでもらうことも目標です。その一環で、4月にライブがあるのですがすごく楽しみにしています。煮ル果実の作る音楽をネット上だけではなくて、色々な場所で発展させていくことを今年出来たらと思っています。

プライベート的なところでは料理が上手くなりたいです。自分のつくるものが一番美味いなと思えるくらい上達したいです。あとお酒、カクテルを作りたいです。

――煮ルさんの楽曲のイメージカクテルとかぜひ飲んでみたいです!

僕もそういったイベントとかコラボが好きなので、ぜひ時間を見つけてチャレンジしてみたいですし、そうやって音楽以外でも楽しんでもらえたら良いなと思っています。

――今日はお時間をいただき、本当にありがとうございました!

※4.23(日)【東京】Spotify O-WESTの前売りは予定枚数が終了しています。

「Ci flower」製品情報

◆Ci flower限定グッズ付スターターパッケージ3月31日(金)発売

<商品内容>
インストール用 Disc (ソングエディタ+Ci flowerソングボイス)
キャラクターアクリルスタンド
三方背ボックス
<価格>
21,780円(税込)
※在庫が無くなり次第、「Ci flowerソングスターターパッケージ」に切り替わります。
Ci flowerソングスターターパッケージ
<商品内容>
インストール用 Disc (ソングエディタ+Ci flowerソングボイス)
<価格>
21,780円(税込)

◆Ci flowerソングスターターパック DL版 3月10日(金)発売

<商品内容>
CeVIO AI ソングエディタ+Ci flowerソングボイス
<価格>
20,900円(税込)

◆Ci flowerソングボイス DL版 3月10日(金)発売

<商品内容>
Ci flowerソングボイスのみ
<価格>
10,780円(税込)

◆Ci flower 公式サイト
https://ciflower.jp

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 独創的な歌詞、メロディーが大人気! VOCALOIDクリエイター・煮ル果実さんインタビュー 新ソングボイス『Ci flower(シィ フラワー)』の魅力も