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スマートフォンの位置情報を駆使したゲームってたくさんありますよね。『ポケモンGO』や『イングレス』、『ドラゴンクエストウォーク』、『ピクミンブルーム』もそうですよね。
そんな位置情報を駆使したゲームのひとつに『テクテクライフ』というゲームがあるのですが、これを開発した人、凄まじく凄い人なのですよ。
麻野一哉さん(59歳)。筆者はゲーム開発の神と呼んでいるのですが、『テクテクライフ』を開発するまでに無数に伝説級のゲームを開発し続けてきたカリスマ的ゲーム開発者。たとえば以下のようなゲームを開発してきました。
<麻野一哉さんが開発してきたゲームの一部>
ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…
ドラゴンクエスト4 導かれし者たち
ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
弟切草
トルネコの大冒険 不思議のダンジョン
トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン
かまいたちの夜
街 ~運命の交差点~
かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄
テクテクライフ
……ほか多数
見た感じ、普通のおじさんなのですが、堀井雄二さんや坂口博信さんと並んでも良いほどカリスマ的開発者なのですよ。見た感じ、普通のおじさんなのですが。
見た感じ普通のおじさんの麻野一哉さんに同行。『テクテクライフ』とコラボレーションしている関が原に行って『テクテクライフ』の取材をしたのですよ。同行しながらいろいろ話を伺うのが目的の取材です。
ちょうど『大関ケ原祭2022』が開催されていて、『テクテクライフ』と関が原を取材するにはバッチリなタイミングでした。
しかし、最初に謝罪しなければなりません。あまりにも麻野一哉さんが神すぎて、あまりにも作ってきたゲームが神すぎて、『テクテクライフ』の話をするのを忘れてしまい、ドラクエのドラクエの開発秘話ばかりになってしまったことを謝ります。つまり、『テクテクライフ』の取材企画、失敗です。ごめんなさい。私利私欲で取材してしまいました……。
せめて、『テクテクライフ』をしながら関が原と『大関ケ原祭2022』を巡った写真を交えながら、麻野一哉さんから聞いたドラクエの開発秘話を話していきたいと思います。
──ドラクエ4も担当なさったんですよね。
麻野一哉さん(以下 麻野):そうですね。おもしろい話というか、こういう出来事がありました。ドラクエのキャラで「あらくれ」って知ってますか?
──ツノが生えているマスクしている筋肉質なキャラですよね。
麻野:あれ、ドラクエ3まではいたのですが、ドラクエ4では突然消えたんですよ。
──そうでしたっけ。まったく気にしないポイントでした。言われてみれば……。でもどうして消えたのですか?
麻野:ドラクエ4のデザイナーがあらくれが嫌いだからです。
──どうして麻野さんが弟切草のメインスタッフになったのですか?
麻野:もともとドラクエとシムシティとポピュラスみたいなゲームを作ろうって流れがあったのです。企画会議で。略して「ドラシポ」。でもまとまらなかった。いろいろ考えているうちにスクウェアから『アクトレイザー』が出て、「それを作りたかったんだよ俺たちは」みたいな話になりました。
──ドラシポやりたかった。
麻野:そんなとき中村光一さんから「スーパーファミコンの表現力は凄いよ」みたいな話を聞いて、小説を読みながらシーンに合わせた音楽を流せる弟切草を考えました。当初、映像的な演出はなかったのですが、あとからつけた感じです。
──弟切草の開発秘話はありますか?
麻野:弟切草の開発中、家のほうが集中しやすいと理由をつけて自宅勤務していたのですが、かつてチュンソフトで働いていた女子を家に呼んで、ふたりでシムシティをして遊んでいたのですよ。そしたらピンポーンってチャイムが鳴って、出てみるとチュンソフトの中村光一さん中西一彦さんがいて、「サプライズだよーん」だか「家庭訪問だよーん」だか言うわけですよ。このタイミングで来る? みたいな。そのあとどうなったかは……。
──それは開発秘話でしょうか。
麻野:さっきの話だけど、一緒にシムシティで遊んでた元チュンソフトの女子が、弟切草のヒロイン・奈美のモデルになったといっても過言ではない。……かもしれない。
──ということは主人公は麻野さんがモデル?
麻野:そうと言えるかもしれない。
──続きは明日また聞かせてください。
麻野:出張したらひとり部屋にいると寂しいので、クドウさんの部屋で飲みませんか?
──なんと!
──ドラクエの思い出で、すぎやまこういち先生との交流もあったと聞きましたが。
麻野:すぎやま先生が会社に来るのは画面が出来上がってからが多いです。たとえば「ラーミアが飛んでいるシーンです」って画面を見せると、すぎやま先生は「なるほど」と言って、私がいるその場で作曲するんです。もちろん帰って作曲するときもあるだろうけど。
──レジェンドが横で作曲。しかもラーミアの曲なんて伝説級ですよ。
麻野:あまりにもスラスラと作曲するので「すぎやま先生は作曲にどれくらい時間かかるのですか?」と聞くと、「55年と2時間」って返事が返ってくる。すぎやま先生の有名なセリフですね。
──ドラクエの演出に関するエピソードはありますか?
麻野:そういえばこんなこともありました。ルーラを唱えたとき、ピョーンと飛んでいく描写にしたら? ってメインプログラマーに言ったのですよ。冗談で。そうしたら、あとから「麻野さん見て見て!」っていうから見てみたら、ピョーンって飛んでいくだけじゃなくて、天井に頭ガーンってぶつけてて、ゲラゲラ笑った。そしてそれが採用されまして。
──あの演出、麻野さん発案だったのですね。
麻野:のちにドラクエ8とか9の開発チームと飲むことがあって、頭をぶつける演出の影響で「それに対応したシナリオに書き直さなきゃいけないから大変」と言われたんですよ。だから「ルーラの演出やめてしまえばいいじゃん」って言ったら「伝統ですから!!」って言われて、俺が冗談で言っただけの演出なのに伝統になったんだなと(笑)。
『テクテクライフ』の取材なのに、まったく『テクテクライフ』について取材しなかった取材旅行だったが、大満足している。関が原には期間限定で複数のチェックポイントが出現しており、その多くにチェックインできたから、大満足している。
『テクテクライフ』やってない人には何を言っているのかよくわからないかもしれないが、歩いて地図を塗りつぶしつつ、チェックポイントにチェックインをする楽しいゲームなので、麻野さんの新作ゲーム『テクテクライフ』で遊んでみてはいかがだろうか。
参考: テクテクライフ ( https://www.tekutekulife.com )
(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)