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新日本プロレスが、『50周年特別企画』と銘打って入門希望者を2022年10月21日(金)まで募集しています。
この入門募集は身長・年齢制限はなし。また『G1 CLIMAX 32』覇者のオカダ・カズチカ選手が直接指導し、入門テストまでの模様を2023年にテレビ地上波で放送される予定となっています。
今回、『50周年特別企画』についてオカダ選手にインタビュー。自身が新日本プロレスに移籍した頃について、この企画の志望者に求める事などをお聞きしました。
(取材日:2022年10月7日)
――『G1 CLIMAX』4回目の優勝おめでとうございます。昨年に続く連覇となりました。
オカダ・カズチカ選手(以下、オカダ):ありがとうございます。去年が(対戦相手の飯伏幸太選手の)怪我で優勝というのが、やっぱり不完全燃焼という事がありましたし、今年50周年という中で「G1取りたいな」というのはあったので、そこで優勝できたのは嬉しいですね。
――今年は4ブロック制で、選手数も多かった中で頂点を取れたことに意味があるのでは、と思います。
オカダ:4ブロックにはいろいろなカラーがありましたし、僕たちのAブロックはモンスターだらけ。デカい人ばかりの中でも「プロレスができたな」というのはありますし、僕も大概デカいんですけど、小さい人がデカい人に勝つというとこらが見せられたな、と。いろいろなカラーのブロックを勝ち上がった人たちにはもちろん弱い人はいないですし、そんな中で戦ってきて、そして優勝できたのはよかったですね。
――さて、50周年特別企画として入門希望者を一般募集する事になり、オカダ選手が直接指導するとお聞きしています。これまでの入門審査とどう違うのでしょう?
オカダ:これまでは身長制限があったり、それこそ僕が15歳の時に新日本は身長185cm、体重85kgという制限があって「そんな大きくないから入れないな」と思ったんですね。それで身長や年齢の制限をなくして、なおかつ僕が指導する。それが一番大きいのかなと思いますね。
――身長もさることながら、年齢の縛りがないという事がポイントなのではないかと思います。社会人だけど「プロレスラーになりたい」という人もいるかもしれないですし。
オカダ:そうですね。25歳という人たちもいるかもしれませんし、僕で言えば15歳で(プロレス業界に)入ってますし、逆に高校生でも普通ならば卒業してから入門するというのを、高校に行きながら入門できるというシステムができてもいいですよね。これまでは制限が多かったので、それをなくして、別に25歳から入って凄いプロレスラーになれないわけでもないですし、それこそカネが取れるプロレスラーが生まれてくるかもしれない。どれだけの可能性があるのか見たいとは思います。
――オカダ選手は闘龍門に入門してメキシコでデビューしてから2007年に新日本プロレスに移籍しています。メキシコから新日本に来て驚いたことは?
オカダ:やっぱり「みんな背がデカいな」と。あとレスリングの技術が高いな、と感じました。大学でレスリングの日本一になった人など実績のある先輩が多くて、練習中にはもちろんケチョンケチョンにやられましたから。
――「ケチョンケチョンにされた」というのは誰に?
オカダ:みんな敵わなかったですね。永田(裕志)さんや中西(学)さんがいましたし。中西さんはオリンピック選手ですし(1992年バルセロナ五輪フリースタイル100kg級日本代表)、若造がレスリング経験もないのに勝てるわけないですけど。逆に何も知らなかったので、レスリングの強い人たちにスパーリングで行くだけ行って、返されるみたいな感じでしたね。
――当時、この人から特別に教わったという事はありましたか?
オカダ:教わったというのはないですね。「これが新日本なんだな」と思ったのは、(獣神サンダー・)ライガーさんもそうですし、永田さんだったり。金本(浩二)さんは若手の頃にさんざん(試合を)やらせてもらったので、そういった昔の新日本プロレスを経験している人たちと戦って、見て盗んだという部分が大きいですね。
――当時の道場生活で嬉しかった事は?
オカダ:選手が巡業に行くだけで嬉しかったですね(笑)。同期のYOSHI-HASHIさんと「僕らの自由じゃん」といった話をして、二人でだらだら過ごしたりしてました。
――逆に厳しかったり、辛かったりしたのはどんな事でしょう?
オカダ:キツかったのは「生活」ですね。練習が終わってからちゃんこ番もありますし、先輩のお世話があるので。
――これまでにオカダ選手が後輩に教えるといった事はあったのでしょうか?
オカダ:僕が入ってから、高橋ヒロムや(バッドラック・)ファレが後輩で入門してきて、合同練習の時以外は誰もコーチがいないので、受け身やプロレスのタックルの仕方、ロックアップの組み方、そういった細かいテクニックをなんだかんだで教えていました。
――「ファイティング・スピリッツ」という言葉がありますが、プロレスラーとしての気持ちの強さを教えることが多いような印象です。
オカダ:それはデビューしてからかもしれないですね。デビューする前は基礎体力が必要ですし、やっぱりプロレスって何があるか分からないですから。命を落としてしまうかもしれないですし、歩けなくなって車椅子生活になるかもしれないですし、そこを気を付けるためにも基本は大事なので、しっかり教えていかないといけないですね。
――今回の50周年特別企画では、入門テストまで地上波で放送される事になっています。その意義をどのようにお考えなのでしょうか?
オカダ:プロレスでどういう練習をしているのか、全然知られてないですよね。僕もプロレスラーになる前に「何をしたらいいんだろう」と思っていましたし、「スクワット500回と言われてもやれるわけないじゃん」と(笑)。実際入ってからやらされて「きつい」となりましたが、入門テストまでの模様が放映される事で、「こういう練習をしているからあれだけ強いんだ」と知ってもらえるし、いい教科書になると思います。それでまた、どんどんいいプロレスラーが入ってきて、プロレスがどんどん盛り上がればいいなと思いますね。
――指導中にテレビカメラが入る事については?
オカダ:プロレスの楽しさって、選手の成長を見られることもその一つだと思うんですよ。僕がデビューしてここまでの人間になれたのは、一緒にお客さんに見てもらいながら成長しているというのがあると思うので。今回の企画では入門する前から見る事ができるので、入門して、デビューして、チャンピオンになるまで、お互い成長が見られるというのは、すごくいい事だと思うし、どんどん見てもらいたいですね。
――現在の新日本プロレスは野毛道場の他にも、アメリカにLA道場があり、ファレ選手がニュージーランドに道場を開いています。ワールドワイドだという事も魅力ですよね。
オカダ:これからのプロレスラーという意味では、インターナショナル、ワールドワイドだという事は必要だと思いますし、それを教えやすいのは僕だと思うんですよね。いろいろな海外での試合を経験していますし、僕が育てれば自然とそうなると思います。それと、LA道場やファレ道場もそうですけれど、「道場」ってアメリカ人には作れないみたいなんですよ。海外の人が憧れる良いものが「道場」には詰まっているので、「道場」というものを広めるという意味でも頑張りたいなと思います。
――プロレスラーになりたい人たちに求めるものは? シンプルに「強くなりたい」みたいな動機が分かりやすいように感じますが……。
オカダ:逆に「強くなりたい」というだけの方が怪しくないですか?(笑) 「お金持ちになりたい」とか、単純に「モテたい」という人もいるかもしれないですし、頑張るモチベーションになるならば動機は何でもいいと思います。
――募集で集まってくる人は個性的な方が良いと思いますか?
オカダ:個性的な人よりも、新日本プロレスの未来を背負ってくれる人たちが集まってほしいです。僕が新日本に入った時はそう思っていましたから。「俺が来たから大丈夫でしょ」と。それくらい根拠のない自信がある人じゃないと難しいのかな、と。生意気な方がボコボコにしがいがありますし。
――最後に「応募してみよう」という人たちにメッセージをお願いします。
オカダ:これが最後のチャンスだと思ってもらいたいですね。僕が指導するというのはこれが最後かもしれないですし。「チャンスは今しかない」と。応募したからチャンスが手に入るわけではないですし、プロレスラーは入門がゴールじゃないし、デビューしてもゴールじゃないし、チャンピオンになってもゴールじゃない。その最初の一歩を踏み出してもらう機会にしてほしいです。いずれ僕と戦う機会があるかもしれないし、そこで僕をボコボコにしてくれればいいんじゃないか、と。それを目指すような、気合の入った人が来てくれるといいな、と思います。レスリング経験のない僕でも今新日本のトップにいますし、レスリングだけで考えていたらそんな可能性がなかったわけですから、入門希望者には「俺でもできるんじゃないか」と思ってもらいたいですね。
新日本プロレス50周年特別企画 入門希望者大募集!
応募期間:2022年9月28日(水)~2022年10月21日(金)23:59
応募要項:年齢・身長制限なし・男性のみ同意事項:
18歳未満の応募者は両親権者の方の同意を得た上でご応募ください。
書類審査を通過された方へのみ、審査通過のご連絡をいたします。
審査状況、審査結果に関するお問い合わせについてはお答えいたしかねます。
地上波テレビ番組の収録が入り、来年放送することを同意いただいた上ご応募ください。応募フォーム:https://form.run/@njpw-50anniversary [リンク]
※試合画像提供:新日本プロレス