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福地桃子さんが主演を務め、岡山天音さんが共演した映画、『あの娘は知らない』が全国公開となりました。本作は「喪失」を抱えたふたりの新しい絆と希望を描くヒューマンドラマで、井樫彩監督の演出により誰でも共感する一作となっています。海辺の町でひっそりと旅館を営む中島奈々役の福地さん、喪ってしまった恋人の足跡を辿って海辺の町に行き着いた青年・藤井俊太郎役の岡山さんに話をうかがいました。
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●作品のテーマとして喪失と再生などがあったと思いますが、おふたりはどう受け止めているのですか?
福地:わたしが演じた奈々は、周りに身近な人が誰もいないので、自分とは境遇が違ったのですが、大切な人を失う悲しみや喪失感というのはいつかはそして今も、誰にとっても身近なテーマだと思いました。だからこそ共感もしました。
岡山:僕は自分が演じた俊太郎ほど、大きな喪失は体験していないです。彼は恋人を失くしてしまい、一番近かったものが一番遠くに行ってしまった様な気持ちになっている。亡くなることはとても大きなことですが、ただ、僕にも事象のサイズこそ違いますが、「喪失」という体験はありましたし、同じような感覚に見舞われたことはありました。
福地:井樫(彩)監督とお話していくなかで、どういう風にしてほしいという演出はほとんどなくて、井樫さんの身近であった出来事などをうかがいました。それをしっかり演じる上で想いを受け取りたいなと思いました。
岡山:役とは、そこまでギャップを感じていなかったので、どうやって役とつながるか深く悩むことはなかったです。井樫監督が書いた脚本なので、シーンや役がどのように生まれたのか、直接お話を聞けたのは非常に心強かったです。
●今回、おふたりは初共演だったそうですね。お互いの印象はいかがだったでしょうか?
福地:天音さんは、そこにいてくれるだけでとても安心感があるなと思う方です。それは奈々と俊太郎さんのふたりの距離感と近いものがあったような気がしたので、お芝居をしていて、奈々としての自分を俊太郎さん演じる天音さんから引き出してもらっていたなと感じるいうことが度々ありました。
岡山:僕は、もともと強いお芝居をするイメージが福地さんにあったので、お会いした時のこの柔らかさが印象に残っています。半分透明なんじゃないかみたいな(笑)。そこにギャップを感じました。
福地:最近気付いたことなのですが、岡山さんの体の柔らかさに改めて驚きました。とても不思議な動きと言いますか(笑)、ずっと観ていられる。自由で、気持ちが良さそうだなぁってそういう印象を受けました。それはわたしにとってはあこがれの言葉で、自分もそういう風にできたらいいなと思いました。
●今回の映画、みなさんにはどう受け止めてほしいですか?
岡山:迷子になっている人が、どこを目指せばいいか、どこに焦点を当てて、どこを見つめていけばいいのか、その道標と出会うきっかけになればいいと思っていますし、そういうテーマが込められていると思っています。迷子でひとりぼっちの寂しさが、ちょっとでも埋まってくれたらいいなと思います。
福地:この映画を観て、日常の中にある小さな幸せだったり温もりだったりをちょっとでも感じてもらえたらうれしいですし、わたし自身もこの映画からもらうものがたくさんあったので、それが届いていたらいいなと思います。
■ストーリー
若くして、海辺の町にある旅館・中島荘の主を務めている中島奈々(福地桃子)。この中島荘が休業中の9月上旬、ひとりの⻘年・藤井俊太郎(岡山天音)が「どうしても泊めてほしい」と訪ねてくる。
彼は一年前に愛する人を失い、その恋人が亡くなる直前に、この旅館に宿泊していたというのだ。俊太郎は死んだ恋人の足跡をたどるため、昼も夜も町に海にと彷徨い、歩き回る。そんな俊太郎の姿を目にしていた奈々は、この土地の案内役を買って出て、いつしか彼と行動をともにするように。この土地のことは、彼女が一番よく知っているのだ。それに彼女もまた、大切な人を失った痛みを抱えながら生きる存在でもある。こうして奈々と俊太郎は同じ時を過ごし、互いの秘密を共有し、影響を与え合うことで、それぞれの止まっていた時間はやがて動き出していく……。
全国公開中
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(執筆者: ときたたかし)