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どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
前回好評だった“テキヤ”企画の第2弾となります。「テキヤってなんなの?」「テキヤっていくら稼いでいるの?」「テキヤってどんな育ち方をしたの?」なんて質問が、どうやって調べたのか筆者の直メールに届きます。街中で声をかけられるなんてこともありました。
■76歳のテキヤが実際に語った「ヤクザ」「博徒とテキヤの違い」
https://getnews.jp/archives/3204504
※前回テキヤ記事はこちら
■告白!借金まみれで「ヤクザの盃事会場」の手伝いをした男が見た風景
https://getnews.jp/archives/3175605
※ヤクザの「盃事」「義理がけ」についてはこちらの記事をどうぞ
暴力団組織とは一線を画す集団・神農(通称テキヤ)稼業。暴力団(ヤクザ)の成り立ちが博徒だったのに対して、テキヤは商いを中心にした露天商の集まりになります。
そこで今回も、実際に元テキヤの構成員だったG氏(76歳)に、「テキヤの種類」「シノギ」「年収」など素朴な疑問を聞いてみました。
テキヤの主な仕事は、神社や地元で開催されるお祭りや催事などに露店を出店することです。綿菓子、お面、金魚すくい、射的、飲食ではお好み焼き、たこ焼き、焼きそば、ベビーカステラetc……様々な屋台を出すわけですね。
暴対法の対象だと勘違いされているのか、ひらけた商店街などではテキヤの出店は少ないのですが、昔からの付き合が尊重されている寺社や地域などでは、いまだテキヤは親しまれた存在なのです。
丸野(以下、丸)「テキヤは長い歴史があり、やはり神社やお寺なんかでは親しまれた存在なんですね」
G氏「“テキ屋を摘発してしまうと出店がなくなって、盛り上がらない”と言われているほど、テキヤは重宝されているんだよ」
丸「テキヤ稼業にはどのような種類があるんですか?」
G氏「まぁ、店舗の規模によっていろいろとあるんだよな。まずはゴザを地面に敷いてフリーマーケットのように商品を売る《転び》、一番小さい売り台で商品を並べる《小店》、売り台の高さを一尺三寸程度に抑えた《三寸》、お化け屋敷や見世物小屋みたいに仮設店舗を建てて人を呼び込む《高物》なんかに分かれてる。バナナのたたき売りやガマの油売りなんかは《大占め》、射的やくじ引きなんて射幸心をかき立てて商売をする《弾き》なんてのもある」
丸「Gさんはどのようなテキヤ商売を?」
G氏「なんでもやったよ。《木》といって商売繁盛の熊手やら正月の飾りなんかを販売したこともある。《消えもの》は食べもの、賭けものは千引き(紐を選び引いて商品を獲得する遊び)・型抜き・射的なんか。カラーひよこなんかは《動植物販売》に当たるわけ」
丸「なぜ、《テキヤ》と呼ばれるんでしょうか?」
G氏「“当たると儲かるよ”という意味合いで、《テキヤ》は的に例えられる。だからテキヤ。その他にも呼び方はあるけど、広く知られているのはやっぱりテキヤだね。前も話したけど、職業神としては神道の神様になる《神農黄帝》を祀るテキヤが多いので、神農(しんのう)とも呼ばれるわけだよ」
丸「テキヤさんって普段は、なにをやっているんですか?」
G氏「専業か副業かによってそれは変わってくるね。それに、どの業態なのかによっても変わる。副業でテキヤをやっている人間たちは、運送業や建築業、それに一部だけどヤクザ稼業をやっている人間もいるよ。まぁ、この時代だとそれを専業でやって生活するのは難しいし、副業というカタチの方が安定はするね」
丸「ちょっと気になっているんですが、テキヤさんの給料なんですがどれくらいのものなんでしょうか?」
G氏「バイトで期間が限られていると(期間内で)8万円程度。副業だと平均で20万円から35万、しっかり専業だと40万円程度かな。それは手取りでね。若手なら、やっぱりそんなにはもらえない。でも、中堅どころになると責任のある仕事もあるから、年収で300万円程度になる。40代になれば、《庭》の仕切りも任されたり、人材育成にも一役買うことになるから(年収)400万円くらいになる。カタギで仕事しているのと変わらないよ」
テキヤという商売の歴史をたどると、その起源は江戸時代のさらに前にまでさかのぼるそうです。一般庶民の娯楽としてお祭りが習慣になり、定期的に縁日が開かれるようになりました。それが全国的にそれぞれの地域で発展したのに伴い、テキヤ稼業も発展したのです。江戸時代に入ると、お祭りの文化発展と共にテキヤが認知されるようになり、昭和の初めまで縁日の文化は続いたそうです。
しかし、年間数百超の縁日が行われていた文化も、次第に衰退。専業のテキヤは、今では成り立たなくなりました。そんな中でも未だにお祭りの賑わいを支えるテキヤの仕事は、ひょっとすると日本ならではの《文化遺産》ではないかと思います。
コロナウイルス感染症拡大の影響で縁日もなかなか開催できない昨今ですが、収束したあかつきには、ぜひ縁日の雰囲気を満喫したいものですね。
(C)写真AC
※写真はイメージです
(執筆者: 丸野裕行)