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どうもライターの丸野裕行です。
ヤクザネタや反社会ネタなどを書くことが多い筆者ですが、実は福井県永平寺を総本山とする曹洞宗の寺の坊主の孫だったりするわけです。そういったこともあり、墓石を彫る業者や墓参り代行業者などの知り合いが自然と多かったりします。
今回はそれらお墓のプロに聞いた、正しい「墓参りの作法」について解説していきたいと思います。
供え物は故人や仏様、ご先祖様に対する「感謝」を示すひとつの方法になります。故人や仏様、ご先祖様が直接食べられるわけではありませんが、自分自身がこの世で生きられていることを感謝するための物ともいえます。
あなたの自宅の仏壇に供えるときには、故人というよりも仏様に対して献上するという意味合いが強いですね。人間というのは、日々「自らのチカラで生きている」など傲慢な気持ちが顔をのぞかせてしまいます。ですから、自身が「今の世の中で生かされている」といった意味に気づけば、お供えというものの本質に迫ることができるのではないでしょうか?
お墓参りは、故人や先祖に対する感謝の供養になるという考え方です。宗派などで多少意味は異なるのですが、根本にあるのは「自分が生きているという命への感謝」になるわけです。
もしも先祖がひとりでも欠ければあなた自身が存在しないわけですから、先祖の尊さがわかるはずです。そのような気持ちを伝えるために、故人の好物をお供えします。
仏教の供え物は、《五供(ごくう)》が基本になります。定番の《花》《香》《灯燭》の3種類に、《飲食》と《浄水》を加えた5種類が基本になります。
花というのは、献花。花には故人が宿るといわれています。仏教では“シキミ”の葉を供え物として献上することもあります。それは、シキミが「毒を含まんでいる」からなんですね。昔は土葬なので動物が掘り返さないようにという意味があったといいます。
香とは、その名の通り「線香」の意味です。故人にとって、場や食べ物を清める意味があり、簡単に供養できるということで大変メジャーなお供えです。
ろうそくという意味ですね。故人が進むべき成仏の道を照らしたりするお供えになります。自宅にある仏壇ではこれを灯しましょう。
菓子や果物、お酒、ジュースの類です。墓にお供えするときには、そのままではなく、半紙を下に敷いてから置くのが一般的です。
場を清めるための浄水。墓参りでは、水というのは、大切な重要なお供えといえますね。墓地にも雨水などを利用した水道があるので持参せずにお供えできるのですが、掃除用の水桶とは分け、キレイな水を献上することをオススメします。
墓参りの際には守らなければならないルールがあります。しかし、あまりこと細かに考えず「故人の好物」や「季節のもの」などがオススメです。
例えばお酒や煙草、おつまみなど故人があの世で喜ぶものなら察しがつくでしょう。誰のための供養、というところを意識してみてください。
季節の果物や故人との縁を大切にしたいのであれば、丸い果物(※円)がオススメです。
墓参りのときに、避けるべきお供えもあります。知っておかないとマナーがない人間と思われる可能性もありますから、気をつけましょう。
肉や魚は「殺生」をイメージするために避けた方がいいとされています。さらに、肉や魚は傷むので、お供えに向いていません。
ニンニク、にら、ラッキョウ、ねぎ、生姜、さんしょうを五辛といい、お供えにはふさわしくないとされます。辛みや臭いが強い野菜は、仏教で食べることが禁じられました。さらに、玉ねぎなども避けるべきでしょう。さらに、猿やイノシシが下りてきて墓を荒らすことがあるのためにお供えは持ち帰って、自分たちで食べるようにしましょう。
墓参りの際に、お墓に水をかける、かけないという方がいます。水をかけの際には、そのことをどのように捉えるかで変わります。
水かけは故人や先祖に水を飲んでほしいという供養の気持ちがあります。それと同時に、故人や先祖に会いに来たよ、と知らせるという目的もあるわけです。
墓への水かけは、故人や先祖に失礼と考えている人もいます。墓石ができたときには開眼供養をされるために、墓石そのものに故人や先祖が乗り移ると考えられることもできます。大切な人の頭に水をかけるのは失礼という考え方が生まれ、墓への水かけが御法度になりました。
墓にお茶やお酒をかける方もいます。このとき、「故人や先祖が好きだったから……」との理由でお茶やお酒を墓にかける人が多いみたいですが、墓石にお茶やお酒をかけてしまうことは、オススメできません。
それは、飲み物に含まれる成分が墓石にシミなどをつくり、墓石が傷んでしまうことがあるからなんです。アルコールは放そのまま放置しておくとカビが生え、墓が黒ずむこともあります。
墓の中央には、くぼみがあります。これには《水鉢》もしくは《水受け》という名前があります。《水鉢》は供える水を入れる場です。故人や先祖が飲むものなので、キレイな水を入れるましょう。次に墓参りにくるのが先になるようでしたら、あまり墓に水はかけずに《水鉢》に入れるようにしましょう。
苔が生えてしまうのを予防するためです。特に雨が多くない季節などは、できるだけ控えましょう。それだけでも、墓の痛みを最小限に抑えられます。
この年末、1年の感謝の意味で墓参りをすることをオススメします。あなたの亡くなった肉親や先祖に、1年の報告をすることは大切なことです。季節は冷え込んできましたが、ぜひこれらのことに気をつけて、墓参りに行ってください。ぜひいい新年を!
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)