緻密な心理描写で現代人を映し出す映画『ディア・エヴァン・ハンセン』 ミュージカル映画の新たな可能性を開拓した“誕生秘話”とは
第71回トニー賞®6部門(主演男優賞、作品賞、脚本賞、楽曲賞、助演女優賞、編曲賞)、第60回グラミー賞(最優秀ミュージカルアルバム賞)、第45回エミー賞(デイタイム・クリエイティブ・アーツ・エミー賞)を受賞したブロードウェイ・ミュージカル「Dear Evan Hansen」が映画化した『ディア・エヴァン・ハンセン』が11月26日(金)より公開となります。
主人公のエヴァン・ハンセンを演じるのはミュージカル版でも主役を務めたベン・プラット。さらに、エヴァンが想いを寄せるコナーの妹、ゾーイ・マーフィー役をケイトリン・デヴァー(『ブックスマート卒業前夜のパーティーデビュー』(19))が、エヴァンを支え、励ますシングルマザーのハイディ・ハンセン役をジュリアン・ムーア(『アリスのままで』(14))、コナーとゾーイの母親シンシア・マーフィー役をエイミー・アダムス(『バイス』(18))が演じ、豪華俳優陣が脇を固める。監督は『ワンダー 君は太陽』(17)や『ウォールフラワー』(12)のスティーヴン・チョボスキー。製作には『ラ・ラ・ランド』(16)、『グレイテスト・ショーマン』(17)のスタッフ陣が集結。親愛なるあなたへ贈る、心震わす感涙ミュージカルがこの秋日本上陸。さらに、第34回東京国際映画祭のクロージング作品として上映し、「ミュージカルとしても最高だし、ドラマとしても最高だった」、「何度も泣いた」や「とても胸に響いた」と大反響だった本作。
名曲「ユー・ウィル・ビー・ファウンド」をはじめとする美しい楽曲の数々で心を震わせる本作。SNS の普及でコミュニケーションの幅が広がる一方で周囲との繋がりを希薄に感じ、自分の居場所を求めながらも〈本当の自分〉をなかなか受け入れられないなど、現代の人々が抱える悩みを誰もが共感できる物語として描き、“ミュージカル映画”としてだけでなく、一つのヒューマンドラマとしても堪能できる一本です。
そんな本作のテーマは、舞台版から引き続き映画版の楽曲も手がけたベンジ・パセックとジャスティン・ポールが大学時代にソーシャルメディアが急激に発展していく中で出会った頃から練り上げてきたもだったそう。2人は高校生の時に起こったアメリカ同時多発テロを経験し、「僕たちは集団としての喪失を体験する中で、なぜ多くの人々が国家的悲劇における自身の共感を世間に公開し、そこから何かを得ようとしたのかを理解したいと思った。社会における孤独感のまん延と、世間で起こった悲劇を自身の悲劇として受け止め公に発言したがる現代人の性質の原因を知りたいと思ったんだ。今までは考えもしなかった方法で、そこまでして人と繋がる必要があるのか?という点をね」と、パセックは作曲を通じて人との繋がりや自己探求について深く掘り下げることにしたきっかけを明かしています。
また、「有名人が亡くなると、大勢の人がその人物と自分のツーショット写真をこぞってSNSに投稿し始める」と語るのは、脚本家スティーヴン・レヴェンソン。スティーヴンもパセックやポールと同様に、ソーシャルメディアの急成長や、ネット上で拡散された悲劇を自分の物語にしてしまう現代人の現象に興味を抱いていたそう。そこに、一緒にアイデアを体現化してくれる脚本家を探していたパセックとポールがレヴェンソンと出会い、説得力を感じられるストーリーや、本作のテーマを体現化できるキャラクターについて話し合いを重ね、“思いやりの嘘”からその後予想もしなかった展開に直面する少年の物語となっています。
『美女と野獣』(17)、『RENT/レント』(05)の脚本を執筆するなどミュージカルへの造詣も深いヒューマンドラマの名手スティーヴン・チョボスキーが監督を務め、緻密な心理描写やみずみずしい映像美といった作風を活かし、人物の内面をじっくりと描き、ミュージカル映画の新たな可能性を開拓した本作。ヒューマンドラマとしても見ごたえたっぷりのミュージカル映画『ディア・エヴァン・ハンセン』を、ぜひ劇場で!
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