お笑いトリオ・ジャングルポケットのメンバー、斉藤慎二さんが、ディズニー映画『ジャングル・クルーズ』の日本語吹替え版で声優を務めました。斉藤さんは、<不老不死の花>を探す姉リリーを助けるためにアマンゾンの冒険に付き添う超神経質&超慎重派の弟マクレガー(ジャック・ホワイトホール)役で、普段のお笑いの時とはまた違った表情で魅了しますが、ご本人にとってディズニー声優への挑戦は、「今でも不思議なんでです。自分がディズニーの吹替えをやっていることも」と想いを明かします。ご本人にお話をうかがいました。

■公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/junglecruise.html [リンク]

●先日の完成披露試写イベントを拝見しましたが、おたけさんが大変そうですね!※(本作に登場する<不老不死の花>を手にしたら何をしたいかの質問で、占いでおたけさんが7年後に亡くなると言われたため、6年経った今、不老不死の花で一生生き続けてほしいと斉藤さんは回答)

そうなんですよ。なのでなんとかして食い止めなくてはいけないと思っているのですが、占いなのでなんとも言えないところはありますよね(笑)。ただ、しっかり覚えていたので、おたけのことが思い浮かんだということはありますよね。

●ネタ的にしろ、今年で6年経っていることを覚えていらっしゃることにトリオ愛を感じました。

15年以上やっていますので、単なる相方というよりも家族以上に時間を過ごしていますからね。毎日一緒にいますから。そういう意味ではかけがえのない存在になりますよね。特にトリオだとね。相方がふたりいることになるので。

●映画『ジャングル・クルーズ』拝見しました!予想外な展開に驚いたのですが、ディズニー映画らしいアドベンチャーでもあり、しかも家でもすぐ(有料で)観られてしまうという。

2時間ほど、わくわくが止まらないですよね!終わった後に余韻に浸れるし、息抜きにもピッタリですし、外に遊びに行けずストレスが溜まっている方がもしいらしたら、この映画を観てストレス発散してほしいです!

●夏休みにピッタリな映画でした!

そうなんですよね。特に学生のみなさんは、かなり窮屈な生活を強いられていて、思うようなことができない。学校の行事もないですよね。僕の同級生が先生になっていて、そういう話をたまにするんですよ。そこへひとつの娯楽として、映画はすごく大きな存在ですよね。僕も映画で救われたことはたくさんあるので。

●こうしてディズニー映画の声優、言わばファミリーに入った気分はいかがですか?

僕も声のことは良く言っていただくことがあり、養成所でも褒められることはありましたけれど、こういうお話がくるとは思っていなかったですし、それこそ素晴らしい声優の方がたくさんいて、芸人の中にも器用な方が多いなか、本当に光栄です。もちろんディズニーは大好きだったのでうれしかったけれど、僕でいいのかなという気持ちのほうが大きかったですかね。それ以上に不安のほうが大きかったかな。

●完成披露イベントでは、主演のドウェイン・ジョンソンさんからのビデオレターで、直接シンジとお名前を呼ばれていました。

僕はプロレスも大好きなんですよ。ザ・ロックに名前を呼ばれて、めちゃくちゃ興奮しました。彼が日本語でシンジと呼んでくれて、そのあとミッキーマウスとミニーマウスも来てくださって、あのサプライズは本当にうれしかったですね。

●劇中ではアマゾンの冒険に出ていくマクレガー役ということで、普段のコントとはまた一味違うお芝居でしたね。

コントの時は太田が台本を書いてくれるのですが、僕のキャラに合うような言い回しを書いてくれるんですよ。その中で自分の能力をいかに発揮するかは、声量や勢いがすごく重要になってくる。誰が演じてもできるのではなく、自分だからこそできる演じ方があり、僕はテンションで押し切る部分があるのですが(笑)、最初からフルパワーでいってしまうことがコントでは多いですかね。

●登場時間が多いマクレガーは、感情表現にもそれだけ起伏がありますからね。

なのでコントではそれが自分の持ち味になるので、そこを全面に出していくのですが、こういう吹替えになると強弱というか、セリフひとつひとつの言い方にしても変化を見せていかないとけない。そこは難しかったですね。一定のテンションだけだと、作品自体に奥ゆきがなくなるというか、そういう部分が観ている人には伝わると思うので、マクレガーの感情を汲み取りながら演じる作業はまったく違いましたね。

●今回のこの吹替えの経験は、お笑いにフィードバックできそうですか?

その反対というか、僕はもともと演劇を勉強していたので、お芝居という意味では、コントをやる前からいろいろと勉強をさせていただいていたんです。演劇の学校へ行き、劇団の養成所も行ったので、そこで基礎を知りました。セリフを吐く時にどういう感情で吐くべきか、間などいろいろと習いました。芸人になってもバラエティーなどで似たようなことを学び、培ったところもあるので、今回の吹替えにいきたところはかなりあったと思います。

●こうしてお笑い以外のお仕事でも活躍している現状については、どう受け止めていますか?

劇団の養成所では僕は座員に昇格できず、そこで終わってしまい、自分の中であきらめて地元で営業マンをやっていたんです。自分の中で俳優に区切りをつけていたのですが、ある時、お笑いでいろいろと知名度などが上がり、コントなどをやっていくなかで演技面を観てくださる方が増え、俳優やアニメの声の仕事をいただく機会が増えました。もともとあきらめていたことが、38歳になっていろいろとやれているんです。

なので変な気分ではあるんです(笑)。一度あきらめて芸人にまずなって、自分の仕事ややりたいことが広がっていったということが、今でも不思議なんでです。自分がディズニーの吹替えをやっていることも。

●そういう作戦だったわけではないんですよね。

いやそれが、僕が営業マンだった頃、その事務所の先輩に一度怒られたことがあるんです。50代の女性の上司で、「この仕事面白くないでしょ?よしもと行けば?」ってある日言われたんです、突然。びっくりしました。その時に言われていたことが、俳優の仕事をやりたければ、劇団へまた行くのではなく、もう少しでも地盤ができているわけだから、まずはお笑いの世界へ行って有名になる、器用な人は俳優もやっている、そぅちのほうが早いんじゃないかと言われまして、それで次の日退職願いを出しました。

●真に受けてしまった!

そうですね(笑)。それで「デビュー」や「オーディション」という雑誌を買ったんですよ。そしたらよしもとの養成所の締切が二日前で、退職願に続いて急いで願書を出して。太田も就職先が決まっていたけれど前日に出して、おたけも美容師をやっていましたが、彼は当日にバイク便で出してと、なので3人ともギリギリまで悩んでた人間が集まったんですよね。

僕は仕事が上手くいってなかったわけでもなく、ご飯も食べられていたんです。その人は冗談のつもりで言ったらしいのですが、僕は真に受けて本気にして。その後電話がかかってきて、「あんた!どういうこと!?」と(笑)。その時、お笑いに興味がなかったですし、やりたいとも思っていなかった。番組もほぼ観ていなかったんですね。でも、俳優になれるならと。だから、ほかの人とはスタートが違うんですよね。

●しかも今は、両方の道で活躍されている。現在の夢は何でしょうか?

去年、ミュージカルにも出させていただいて、本当に不思議な感じです。ただ、いろいろとやらせていただいていますが、今の自分の軸にあるものはお笑い芸人であり、まさか15年も続く仕事になるとも思っていなかったんです。なので「キングオブコント」で一度は頂点に立ちたいと思っていますし、準優勝が今までの最高だったので、いつかは獲りたいですね。もちろん声優もお芝居もめちゃくちゃ好きなので、全力で取り組みたいです。

あとは競馬の番組もやっていて、無観客なのですが、それをなんとか逆手にとって魅力を広めたいとも思っているんです。あんまりそういうことを思わなかったんですよね。これまでは。今まではお笑いだけで頑張ろう!だったものが、芸人さんがいろいろなジャンルに挑戦しているのを見て、ましてや同期が渡辺直美なので、ニューヨークに行ってひとりで勝負している姿を見ていると、自分なんかまだまだだと思う。同期がいるおかげで、自分がその位置で満足しちゃいけないと考えさせてくれるんです。そういう存在があることはすごく大きいです。

■ストーリー

アマゾンに伝わる不老不死の伝説──<奇跡の花>を手にした者は、永遠の命を手にすると伝えられていた。抜群の行動力と探究心を兼ね備えた博士のリリーは、この秘宝を求めて危険に満ちたアマゾンの旅へ出発する。彼女が相棒に選んだのは、ジャングルに生息する珍しい動物や、スリルあふれる先住民の村、“滝の裏側”などの名所の数々を、ジョーク(ときにヤラセも…)を交えながら観光客相手にガイドする、クルーズ・ツアーの船長フランク。彼にもまた<奇跡の花>を探す“ある理由”があった…。目的地は、「伝説に近づく者は全て呪われる」と言われる、アマゾンの上流奥深くの“クリスタルの涙”。はたして、そこで彼らを待ち受ける、謎に包まれた《恐るべき真実》とは…?
ミステリアスなジャングルを舞台に、不老不死の力を秘めた<奇跡の花>をめぐる、壮大なスケールの争奪戦が始まる。

映画館 & ディズニープラス プレミア アクセスにて公開中
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。

(執筆者: ときたたかし)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 ジャンポケ斉藤、同期・渡辺直美の活躍が刺激 「あくまでも軸はお笑い」 「キング・オブ・コントで一度は頂点に立ちたい」と仕事への意欲燃やす