今回は華村@中国さんの『note』からご寄稿いただきました。

「中国人を信用するな」「中国人に親切にするな」と中国人に言われる(note)

中国にいると、「中国人を信用してはいけない」ということを中国人自身に言われる時があります。

たとえば嫁と一緒にいる時。淘宝などのネットショップで買い物をするにあたり、僕が適当なものを選ぶと嫁にめちゃくちゃ詰められます。その店の評価とか、売り上げの実績とか、ついてるレビューとかをちゃんと見たのか、レビューは実際に使っている動画のやつを見なさい、星の数とか画像はあてにならないから、などなど。

こういう時、僕は自分の判断を疑われたような気がしてあからさまな不機嫌になってしまうのですが、そんな時は決まってこう言われます。

日本ではそれでいいのかもしれないけど、中国ではそうはいかない。他人のやってることなんて、信用できない。ましてや顔の見えないネットショップなんて、どんなものを送りつけられるか分かったもんじゃない。あなたは中国人をわかってない。

そして最終的には僕が折れ、買ったものを嫁と一緒に見直しをしたり、場合によっては注文をキャンセルして別のものを注文し直したりするのです(その過程でうんざりして、またケンカになるんですが)。

 

他にも、仕事をしていてこんなことが。

ある中国のお客さんから来た、日本語に翻訳すべき資料についてわからないことがあったので、社内の担当者経由でお客さんにより詳細な説明をもらおうとしたところ、なんと担当者に止められてしまいました。その理由はこんな感じ。

私たちは、向こうから言われたことだけやるべきです。もし詳細な資料をもらったら、間違えた時に言い訳ができなくなります。もしそれでトラブルになったら、こちらの責任が増えます。わからないことがあったら、わからないなりに訳しておけばいいんです。

いやでも、このままだと本当に意味がわからないままだし、それはそれでお客さんに失礼じゃないの……? というようなことを言うと、担当者の答えはこう。

それで貰えるお金が増えるわけじゃないんだから、別にいいんですよ。中国人に親切にしたって、いいことないです。それが当たり前になって、どこまでも調子乗ってつけ上がってくるだけです。

僕はそれに言い返すこともできず、結局追加の資料はもらわずにできる限りの翻訳を提出することしかできませんでした。

 

以前にも書きましたが、中国の人は家族などの「ウチ」の関係はいざ知らず、他者である「ソト」の関係に対して強い不信感を持つ傾向があります。そのような気持ちが時たま、中国人自身による「中国人を信用するな」「中国人に親切にするな」という言葉に現れてくるのかな、と思います。

「日本人と中国人が「ウチ」と「ソト」に求めるものの違い」2021年5月11日『note』
https://note.com/stwtcpld/n/ne844485521bb

しかしそれにしても、そのあまりの言い草にちょっとこちらの方がためらいというか、驚きを感じてしまうこともあります。「中国人」をよりよく理解している同じ中国人だからこそあえて強い口調で中国の怖さを語ってくれている、ということなのかもしれませんが、なんだかなあと思う時もあります。

まあ、そこで「同胞を信用しないとは何事だ!」と言えるほど僕も日本人を日本人であるというだけで信用したりはしないし、彼らのいうことにも一理……というか百理ほどあると思うからこそ、何も言わずに黙って聞いているのですが。

今後、こういった中国人同士の相互不信のようなものは変わっていくのでしょうか。おそらくは少しずつ変わっていくのでしょうが、その解決方法というか、折り合いの付け方は日本とは大きく異なっていくのだろうな、と思ったりもします。

「道徳心を採点される——中国で広がる「信用スコア」の内実」2019年10月23日『Yahoo!ニュース』
https://news.yahoo.co.jp/feature/1477/?fbclid=IwAR2Dx9WYRXCyeI2ZQEsAKfoJDq7tBarX_4VZDdhuXH8HM9-rV6xQZqLclCQ

「日本人から見た中国人」「中国人から見た日本人」だけでなく、「中国人から見た中国人」の姿についても、この国に住みながら追っていければと思います。

それではまた。
 
執筆: この記事は華村@中国さんの『note』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2021年7月19日時点のものです。

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「中国人を信用するな」「中国人に親切にするな」と中国人に言われる(note)