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サウジアラビアのマンガプロダクションズと東映アニメーション共同制作のアニメーション映画『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』が、現在公開中です。現在は東京・渋谷TOEIで今月22日(木)までの上映になります。
本作はサウジアラビアが総力を挙げて作った作品であり、日本の映画ファンにも好意的に受け入れられました。しかし、上映場所が東京と大阪しかなく、このほどTwitter上で名古屋在住のアニメファンの方が本作の鑑賞を熱望していることを見つけたマンガプロダクションズのCEOが直接コンタクトを取り、その方のためだけに試写会を7月中旬に実施しました。そこまでしてなぜ試写会を開催したのか、その思いについてマンガプロダクションズCEOブカーリ・イサム氏に急きょお話を聞くことができました。
■公式サイト:https://journey.toeiad.co.jp/ [リンク]
●一般の方のツイートに直接反応して現地で試写室を借り上げて実施するなど、あまり聞かないような出来事なのですが、なぜ開催したのですか?
マンガプロダクションズに非常に興味をお持ちいただいて、東京・大阪以外でもぜひ上映してほしいと、いくつかのツイートを拝見していました。その様子は実は、まるで日本アニメが大好きなわたし自身や、サウジアラビアの人々を思い起させるものだったんです。
●なるほど。かつての自分たちのようで、他人事には思えなかったと。
『ジャーニー』の公開を非常に楽しみにしてくださっていたこと、また素晴らしいファンアートをTwitter上に掲載してくださったことも含め、日本や日本のファンの方々へ感謝の気持ちを表したいと考えました。そこでこの度、1回限りの特別試写会を実施することに決めました。
わたしから直接ご連絡をし、今回の特別試写会の件をお伝えしたところ、大変喜んでいただいて、わたくしどもも非常にうれしく思いました。
●ところで今回の作品は、サウジアラビアと日本の初の合作だと思いますが、サウジアラビアのアーティストの方々も参加されているのでしょうか?
日本とサウジアラビアによる長編映画の『ジャーニー』には、サウジアラビアのアーティストたちの才能に投資して、力を注いだ結果の一例です。サウジの若い男女が東映アニメーションのスタジオに派遣され、訓練を受けました。そして後にマンガプロダクションズに入社し、映画のクリエティブな創作に携わることになりました。
●そもそも、なのですが、サウジアラビアにも日本でいうオタク文化みたいなものはあるのでしょうか?
そうですね。ひとつお話をしましょう。二年前、わたしは家族と日本に来て、中野サンプラザに行きました。娘は当時13歳と8歳。そこでたくさんのフィギアを買いました。その時に「パパ、こっちのほうがディズニーランドより楽しいの!」と。このエピソードですべてわかるかと思います(笑)。
●イサムさんは普段、CEOとしてどういうお仕事をされているのですか?
わたしはマンガプロダクションズの社長ですが、自己紹介でいつも言ってることは、アニメでもマンガでもゲームでもなく、わたしたちが作っているのは、次世代だと言っています。なぜなら若い人たちは、我々のコンテンツを観て育つからです。その作品に出て来るヒーローになりたい、みなさんに好かれるようなヒーローになりたい、そのような夢を与えることが、我々の仕事だと考えています。
●今後、どのような活動をされていくのですか?
マンガプロダクションズは、今後も日本はもちろんのこと、世界中の方々に愛される作品を作り続け、コンテンツを通して世界中の人々の絆を深められるよう努力したいと思っています。今はコロナ禍で日本には行けないのですが、またいつか近いうちに日本へ戻り、活動を続けたいと思っています。
■ストーリー
アラビア半島を一つの脅威が席巻していた。アラビア半島を進軍してきたアブラハの軍隊が、貿易都市メッカを目指し進軍を続けているのだ。平和的な解決を望むメッカの民に、アブラハの軍隊から突きつけられた条件は、 あまりに無慈悲なものだった。アブラハは「カアバの神殿と聖なる石の破壊」「信仰を捨てること」 「奴隷になること」を要求。メッカの民は怒りに震え、戦うことを決意した。そして、アブラハと戦う志願兵の中に青年アウスがいた。アウスは期待される兵士の一人だが、実は人には言えない過去があった。アウスの人生は盗みに入った家で陶工のジュバイルと出会うことで大きく変わった。成長してジュバイルの娘ヒンドと結婚し、息子ワハブに恵まれる。アウスは、かつての罪の贖罪と、この幸せな生活を守るため、剣を取ることを決意したのだ。メッカの軍隊のリーダー、ムサブは先手を打つため、アブラハの軍隊に代表戦を申し込んだ。アブラハは、この戦いを受け入れ、こうしてアブラハの軍隊とメッカの民の戦いは始まった。アウスの、そしてメッカの民の運命は──?
(C) 2021 マンガプロダクションズ
(執筆者: ときたたかし)