うどんは日本中で親しまれている麺料理のひとつですが、全国各地にそれぞれ異なるうどんの食文化が根付いています。香川の「讃岐うどん」や秋田の「稲庭うどん」、名古屋の「味噌煮込みうどん」などなど、ご当地うどんを並べ始めたらキリがありません。

先日、そんなご当地うどんのひとつであり、うどんマニアたちからも高い評価を受けているという「吉田うどん」を食べる機会がありました。

吉田うどんは山梨・富士吉田市の周辺で親しまれているご当地うどん。歯ごたえが非常に強い麺と、主に醤油と味噌をブレンドしたダシが使われていることが大きな特徴となっています。

実は私の父親も吉田うどんマニアの一人。かつては週末になると毎週のように東京から富士吉田まで吉田うどんを食べ歩きに行っていたそうです。今回はそんな父親がおすすめしてくれた「白洲うどん」「麺許皆伝」の2店舗に行ってみました。

白洲うどん「肉かけ」500円

まず足を運んだのは「白洲うどん」。店内は広々としているのですが、平日だというのにほぼ満席。さすが人気店ですね。

メニューは至ってシンプルで、うどんが冷たくてつゆが温かい「つけうどん」と、うどんとつゆが温かい「かけうどん」の2種類をベースに肉を乗せるか乗せないかというだけ。料金は肉を乗せても500円! 安い!!

今回は「肉かけ」を並盛りでオーダーしてみました。

すると提供されたのはうどんの上に肉と野菜がたっぷりどっさりと盛られ、ダシが丼から溢れてしまいそうなほどにボリューム満点のうどん。っていうかダシは実際におぼんの上にボタボタとこぼれちゃってるし!

「プラス50円でこんなに乗せてくれるの!?」という量が盛られた肉は牛肉でも豚肉でもなく、なんと馬肉。富士吉田には馬肉の食文化があることから、ごく自然に馬肉がトッピングされているわけですね。

味はほどよく甘じょっぱく煮込まれ、肉質は脂身が少なめなのにしっかり柔らかい。ダシは醤油と味噌のブレンドと聞いていましたが、どちらかというと醤油が強めで優しい味わい。この馬肉煮込みとダシの味がよく合っていて、不思議なほど意外さがありません。まさにベストマッチ!

そしてたっぷりと盛られた野菜の正体は茹でキャベツ。これも吉田うどんの特徴のひとつで、柔らかい食感と麺の硬さとのコントラストが絶妙! 噛むほどに広がる甘い風味もいい感じです。

でもやっぱり最大の特徴は極太で歯ごたえ抜群の麺!

吉田うどんは別名「アゴ砕きうどん」と呼ばれることもあるそうなのですが、温かいダシに浸っていてもその硬さは健在。念入りに噛まないと飲み込むのが大変なわけですが、醤油と味噌によるダシがやさしい味わいなので、噛むほどに小麦の風味も口の中いっぱいに広がってきます。

いやあ、これはウマいものだなあ!

さらに吉田うどんのお店には卓上に「すりだね」と呼ばれる薬味が用意されています。主にごま、山椒、唐辛子などを混ぜ合わせて作られているのですが、この配合が店ごとに違うのも吉田うどんのおもしろさなのだそう。

「白洲うどん」のすりだねはさらに味噌が加えられ、辛子味噌に近い感覚。こちらを途中でダシに入れると味が激変!

マイルドだったダシが一気に尖った味になり、味噌感も大幅アップ。パンチの効いた味が当然入れるほどに辛味も強くなりますが、辛い食べ物が苦手でなければガツンとブーストしてしまってもいいのかもしれません。

それにしてもこれがワンコインで食べられるなんて、吉田うどん恐るべし……!!

麺許皆伝「欲ばりのつけうどん」650円

続いて訪問したのが「麺許皆伝」というお店。こちらも人気店というだけあり、店の外で順番待ちをする人が多数!

順番が近くなるとメニューを見せていただき、先にオーダーをしておくシステムとなっていました。「白洲うどん」では温かいうどんを食べたので、今度はトッピングがたっぷり乗った「欲ばりのつけうどん」を頼んでみました。

しばらくして店内に呼ばれ、カウンター席に着席。卓上にはもちろん「すりだね」が用意されていますが、やっぱり「白洲うどん」のそれとは全然別物。だいぶパラパラっとした質感です。

そしてしばらくすると目の前につけうどんが運ばれてきたのですが……!

おおおおおっ……! とんでもないボリューム感!! 麺の量も並盛りなのにかなりボリューミーなのですが、それ以上にすごいのはトッピングのセット!

特大のちくわ天、大量のわかめに牛肉(こちらの店では馬肉ではなかった)、油揚げのトッピングがセットで実質250円ですよ。トッピングのお皿だけでお腹いっぱいになりそう……!

そしてアツアツのつけ汁は「白洲うどん」と比べると味噌の比率が高め。こちらにキンキンに冷えた麺を浸して食べるわけですが……グオオオオオオッ!! 麺の硬さがハンパじゃない……!!

もともと硬い吉田うどんを冷水で締めることにより、その硬さはさらに増幅! アゴを砕くという表現にも心の底から納得。もしかしたらこれまで生きてきたなかで最も硬い麺を食べているかもしれない……!!

個人的に麺はコシが強いほうが好きなので、最強レベルの硬い麺に出会えて大満足。噛めば噛むほど小麦の風味が広がる麺も、醤油と味噌のつけダレも、ごま油の香りがアクセントになっていたすりだねも、すべてがウマい!!

温かい吉田うどんもよかったですが、麺を冷やしたつけうどんで食べるのが吉田うどんの醍醐味なのかもしれませんね。満腹になるまで何軒かハシゴしたいと思っていたのですが、2軒で完璧に満たされてしまいました。ごちそうさまでした!

吉田うどんの店舗は富士吉田市の観光ガイドサイトによると2019年現在で47店舗あるそう。店舗によってかなり違いがあるようなので、ぜひほかの店でも食べてみたいなと思いました。みなさまも機会があればぜひ。

店舗情報

白洲うどん
住所:山梨県富士吉田市上吉田3296-1
電話:0555-22-3555

麺許皆伝
住所:山梨県富士吉田市上吉田東1-4-58
電話:0555-23-8806

※営業時間、営業日については店舗に直接ご確認ください
※料金などは2021年4月訪問時のデータとなります

(執筆者: ノジーマ)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 こりゃうまい! そして硬い! 山梨・富士吉田のご当地グルメ「吉田うどん」を食べ歩いてきた