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東京都墨田区は、墨田区で創業、または区外から墨田区へ移転・移住するだけで受け放題になる人情サブスクリプションサービス、墨田区「サブス区」プロジェクトを2020年9月29日(火)よりスタート。さらに、プロジェクト第2弾として、新たに墨田区役所内に「人情サブス区係」を設置し、その専用窓口を3月24日(水)より開設した。
墨田区が押し出す人情サブスクリプションとはどのようなサービスなのか。墨田区産業観光部経営支援課の岩本健一郎課長に、その概要や利用者の反響を聞いてみた。
サブス区とは、「事業アイデアはあるのに、製品がつくれない」、「人のつながりが欲しいけど、東京の人は冷たそう……」、「役所のサポートが欲しいけど、零細企業は相手にされない……?」など、スタートアップにまつわる悩みを持つ人々と、墨田区の地元企業や住民、さらには経営サポートサービスとの接点を生み出し、夢をもってスタートアップを志す人々を応援するプロジェクト。
区内企業が運営するものづくり支援拠点を紹介し、ものづくり課題の解決のための支援や、企業連携、ネットワーク構築のサポートなどを提供する「MONOZUKURI ON DEMAND:人情でお手伝い!ものづくりサポート」や、経験豊富な産業コーディネーターによる相談窓口、融資あっせん制度など、スタートアップ期に役立つ区の経営支援サービスを紹介する「SHACHO CARE PROGRAM:人情あふれる!経営支援サービス」などを通じ、スタートアップに関するあらゆる相談に対応しているとのこと。
また、区の職員が情熱を持ってスタートアップを支援する姿勢を“ヤクニン・ダッシュ”とユニークに表現するなど、「SNS(SHITAMACHI NETWORKING SERVICE):人情から生まれる!人のつながり」では人情あふれる墨田区のまちの魅力・人のつながりを、現代風の価値観にアップデートして紹介。区の事業者支援の姿勢を表現したことで、区職員のモチベーション向上にもつながっているという。
なお、サブス区はこれらスタートアップのための行政サービスを集約し、サブスクリプションサービスに見立てたもので、実際に定額利用料金が発生するものではない。
岩本課長によれば、昨年9月のプロジェクト開始以降、「起業予定の医療系スタートアップと、区内の医療関係機関をマッチング」、「チームや組織に関する問題を解決することを目的とした、チームビルディングアプリの開発を行う区内スタートアップの実証実験を区がサポート」、「AIによる自動電話応対サービスを提供するスタートアップ(区外)と連携し、墨田区内起業家向けに1年間の基本料金(通常500円/月)が無料になる特別プランを企画」するなど、すでに支援の実績を積んでいる。
「これまでは、行政サービスをただ羅列するような紹介でしたが、サブス区により行政サービスをわかりやすくまとめることができました。また、サブス区をご覧になった方々に『これは何だろう』と気にしていただけるユニークなプロモーションとなったことで、従来のプロモーションでは届かなかった層へのアプローチを可能にするとともに、区内の既存企業にとっても新たな連携を生み出すきっかけとなっています」。
墨田区役所の「人情サブス区係」では、新型コロナウイルスの拡大により人と会える機会が減少しているなか、“人のつながり”の入り口となる窓口パネルを新たに設置。人と人のつながる機会を維持したい、という思いから、飛沫防止パネルの製造を行う区内企業の協力のもと、「人情サブス区係」専用のデザインで制作されたとのこと。
窓口ではサブス区ピンバッチと法被を着用した職員が対応。「すでに事業を始めている方でも、まだ計画中の方でも、どんなご相談でもお受けいたしますので、まずはぜひお問い合わせ下さい」と呼びかけている。
新たな経済の担い手となりうるスタートアップ企業を積極的に誘致し、“スタートアップのまち”のイメージ定着を図ろうとする墨田区。
岩本課長は、「墨田区は江戸時代から、隅田川などの水運を活かし、ものづくりのまちとして産業が発達してきました。戦後、高度経済成長期を迎える頃、墨田区の産業は大きく発展を遂げ、ものづくりを中心に多様な業種が集積する『産業のまち』となりました。しかし、区内の製造業事業者数は1970年の9703社をピークに、工場の区外移転、宅地開発の増加、社会経済の変化等により現在は約2000社まで減少しました」と、墨田区が古くからスタートアップのまちだったことを説明。
「サブス区では区外からスタートアップを誘致するだけでなく、区内企業やスタートアップ同士の連携を促進し、新たなビジネスモデルの構築を目指します」と、「区内企業の持続支援」と「新たな企業や人材の創出」の2つビジョンで墨田区の産業振興を図っていくとしている。