日本では馴染みの深い動物といえるタヌキですが、主な生息地は日本のほかは韓国や中国、ロシア東部などで、外国では都市部に出現するのは稀なため、国によっては「パンダ並みの希少動物」とされています。


2020年に入ってからは、タヌキをテーマにしたマンガがTwitterで次々と発表されており、にわかに注目が集まっています。ここではそんなタヌキマンガを3作品紹介します。


Twitter発で『ヤングマガジン』連載に! 『雨と君と』



2020年5月にTwitterに投稿された二階堂幸さん(@nikaidooooooooo)の『雨と君と』は、雨の日にダンボールに入ったタヌキを女性が「ワンちゃん」として拾うというストーリー。第二話では器用に筆談で気持ちを伝えることができることが判明しますが、予防注射を打つことを告げられて絶望的(?)な表情をするなど、毎回ユーモラスなエピソードが展開されています。


※参考記事 最後に絶望的な顔になった理由は……!? 言葉を理解するタヌキと拾い主の女性を描いたマンガ『雨と君と』が淡々と可笑しい

https://otajo.jp/87753 [リンク]


二階堂さんによると、「作業の合間の息抜きとして描いてみました」というこの作品ですが、タヌキと女性のやり取りの可愛らしさに「ほっこりする」「続きが読みたい」という声が続出。その反響を受けて2020年8月17日発売の『ヤングマガジン』より連載がはじまっています。


Twitterで発表されている最新話「泳がなくても楽しい」では、海水浴を楽しみにしているタヌキを海辺に連れてきて、スイカがないことを残念に思いつつもカニと遊ぶキュートな姿を見せてくれています。





二階堂さんは、2020年7月13日に刊行された短編集『ありがとうって言って』にもタヌキが登場する『よっつのドーナッツ』が収録されています。また、タヌキのgif動画やLINEスタンプも発表しているので、タヌキ好きは要チェックです。





踏切で声をかけたのは……『死のうとしたらタヌキにスカウトされたOLさん』



踏切をくぐって自殺しようとしたOL女子が、「人間やめるなら、タヌキにならねーか」と声をかけられ、变化の術をかけられてしまうという奈川トモさん(@nagawatomo)の『死のうとしたらタヌキにスカウトされたOLさん』。タヌキになって野山の香りや水の美味しさといった感覚を取り戻すというストーリーが大きな反響を呼び、約68000のRTと230000以上の「いいね」を集めています。





「人間がタヌキにスカウトされる話の着想自体は2年前にできていました」という奈川さんは、投稿した理由を「最近の自粛生活や仕事への影響など、心の余裕がなくなる生活が続き、まずは自分が読んで癒やされるものを……と考えた時に、この作品のことを思い出しました。読者さんの中にも心にゆとりが持てないまま生活している方も少なくないと思ったので、少しでも心が軽くなっていただければ嬉しいなと思い描かせて頂きました」としています。


また、タヌキの魅力について「とても可愛いです。小学生の頃に飼育委員をやっていたのですが、その頃学校でタヌキを保護していたこともあって特別な思い入れがあります。夜行性なので昼間は巣穴で寝てばかりでしたし、一番懐いていたのは夜勤の警備員さんでしたが……(笑)。野生で生きることは厳しいことだと思うのですが、タヌキ同士では無用な争いを好まなかったり、番は一生添い遂げると言われていたり、見た目の愛らしさだけではない温かさを感じさせる不思議な魅力がありますね」と話してくれました。


奈川さんは、2020年9月4日に同シリーズに当たる『死のうとしたらタヌキにスカウトされたおじさん』を発表。死のうとする人のそばには、もしかしてタヌキがやってくるかも……。そして大切なことを思い出させてくれる、そんな想像が膨らませてくれる作品です。





变化が出来ないタヌキを助けたのは? 『温泉の神様 タヌキの茂助』



タヌキと言えば、葉っぱで变化ができるという伝承があり、「狐の七化け狸の八化け」という言葉があるようにキツネよりも化ける能力は上手する説もあります。でも、中には霊力が低く变化ができないタヌキもいるようで……。そんなタヌキを主人公にしたマンガが葛屋カツキさん(@S9992020)の『温泉の神様 タヌキの茂助』です。





江戸時代の豊後を舞台に、温泉に入りたいけれど人間に化けられずに入れないタヌキの茂助が、キツネの楠に出会い弟子入りするというストーリーには、「心奪われました」「このタヌキを幸せにしてあげて」といった感想が多く寄せられています。


葛屋さんによると「コロナウイルスの影響でステイホーム期間中、何か家で出来る楽しいことを始めようと考え、完全に趣味で1本漫画を描いてみようと思ったのがきっかけ」だったというこのマンガ。「当時、自分も含めてですが気持ちが落ち込んでしまっている方がたくさんいたのを感じて、趣味で描き下ろした漫画をtwitterで無料で公開しようと思いました。元々の仕事が漫画家なので描く工程自体は難しくないのですが、去年から水彩絵の具の練習を始めたので、1本漫画を仕上げてみる”水彩縛り”にしてみました。あまりにも時間がかかってしまい、出来上がった頃には自粛生活が終わっていました!」といい、かなりの手間がかかった作品であることをうかがわせます。


タヌキについて「東京の都心部ではなかなか見かけることができませんが、日本中に住んでいるすごく身近な動物です」という葛屋さんは、「犬や猫のように一緒に暮らしている人は少ないし、熊やイノシシのようにニュースになることもない存在で、“いつも隣にいるけど、実際はよく知らない”という不思議な生き物だと思っています。丸っこくて可愛いと感じることもあれば、変身して人間を化かすなんて伝説もあったりするので、そのギャップも魅力的です」と語ってくれました。


「完全に趣味で始めたので更新はゆっくりですが、全12話を予定しています」と葛屋さんが話す『タヌキの茂助』。キツネの楠との関係がどうなっていくのか、気になる人は葛屋さんのTwitterをチェックしておきたいところなのではないでしょうか。


※画像はTwitterより


―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』
情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 芸達者・死のうとする人をスカウト・变化できない…… Twitter発のタヌキマンガが名作ぞろい!