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“地球外生命体”の支配下、レジスタンスたちの徹底抗戦を描く、ルパート・ワイアット監督(『猿の惑星:創世記』)による近未来SFサスペンス『囚われた国家』 (原題:CAPTIVE STATE)が現在公開中です。
製作・監督・脚本は、大ヒット作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(11)を手掛けた⻤才、ルパート・ワイアット。『アルジェの戦い』(66)、『影の軍隊』(69)を手本に、複雑なテロ計画の連絡〜準備〜決行のプロセスを緻密かつ緊張感たっぷりに描き上げています。
――本作は、地球外生命体に侵略される“まで”では無く、されて“から”の人間ドラマを描いていて、そこがとても面白かったです。現実にも起こりそうなお話ですよね。
ルパート・ワイアット監督:映画の中でのエイリアンに支配された世界は、監視によって市民の自由が制限され、性的、宗教的なマイノリティーが排除されている社会を表しているんだ。素晴らしいSFには常に、私たちの生きる社会のリアリティが投影されていて、教えもあると思っているよ。
――監督がそうした「制限された社会」を描く上で意識したテーマなどはありますか?
ルパート・ワイアット監督:特別にこの事を映画にしたい、と思った出来事があるわけではないよ。支配についての普遍的な物語を描きたかったんだ。ネアンデルタール人の部族が別の村を支配したこと、ナチスドイツがフランスを侵略したこと、フランスがアルジェリアを侵略したこと…人間が繰り返してきた支配とそれによって起こる行動について描きたかったんだ。外部から現れた人々に、人間がどのように抵抗するのかというね。
――近未来を描いていても現実社会と近いリアリティがあり、そして不穏な空気が漂っている独特の映像美も魅力的でした。撮影でこだわった点を教えてください。
ルパート・ワイアット監督:実際にシカゴを訪れてロケハンをしたり、リアルな撮影をたくさん行いました。「DJI Ronin」という機材を使ったり、(映画製作用に開発されたプロ向けハンドヘルド式3軸カメラジンバル)、オスモアクション付きのカメラで撮影しているよ。僕が短編を撮っていた頃は、スーパー8を使っていて、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』はスーパー35mで撮影した。フィルムで撮影してデジタル作業をするのが理想的ではあるのだけど、僕はまだ(クリストファー・)ノーランや(クエンティン・)タランティーノの様にインフラを整えられていないので、いつか挑戦したいな。
――監督のフィルム撮影作品も楽しみにしています!
ルパート・ワイアット監督:ありがとうございます。本作『囚われた国家』で描いたのですが、本当のリーダーシップとは自己犠牲によって世界を変えようとする強さにあると、私は思っています。今のアメリカ社会で言うならば、どういう人がリーダーであるべきか?と投げかけたつもりです。日本の皆さんにも通じて考えてもらえる部分があると思いますので、ぜひ映画を楽しんでください。
『囚われた国家』ストーリー
地球外生命体による侵略から9年後の2027年、シカゴ。制圧されたアメリカ政府は“統治者”と呼ばれるエイリアンの管理下に置かれ、完全支配されていた。その傀儡となったアメリカ政府はシカゴに戒厳令をしき、市内中心部「閉鎖区域」の地下にエイリアン居住区を建設、彼らの天然資源採掘に協力している。市⺠は体制支持派の富裕層、反体制支持派の貧⺠層に二分されており、政府はドローンによる市⺠監視と密告の奨励、そして“ザ・ローチ”と呼ばれる特捜班が、日々反体制派への圧力を強めていた。ジョン・グッドマンが演じるのは、反体制勢力を取り締るシカゴ警察特捜司令官・マリガン。反体制派によるテロリスト組織は、ウィッカーパーク事件と呼ばれる過去発生したテロ事件の失敗によって、“ザ・ローチ”によってほぼ壊滅されたと思われていたが、マリガンは独自調査網によって、近々また新たなテロが発生すると考えていた。「テロ組織は潜伏し、新聞広告で連絡をとってる」確信を持って言い切るマリガンに同僚は「根拠は?組織は統治者が制圧した。お前は幽霊を追っているんだ」と、取り合わない。「対処しないとテロが起きる」……執念深くテロリストたちを続けてき彼は、その悪夢を未然に阻止するため、危険を承知で“地下”の協力を仰ごうとする……。
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