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日本では近年クラフトビールが注目を集めており、全国各地にさまざまなブルワリーが誕生して個性豊かなビールが次々に醸造されるようになりました。
ビール党にとってはこれほど幸せなことはないのですが、なんと先日、昆虫のコオロギを素材に使用した世界初の「コオロギビール」が誕生したとの情報を入手。3月15日から18日までの4日間限定で渋谷PARCOにてPOPUPイベントが開催されていたので実際に飲みに行ってきました。
筆者が会場に足を運んだのは最終日の午前中だったのですが、コオロギビールは初日から飛ぶように売れ、最終日にはSサイズ(100ml)だけしか販売できない状態になってしまったそう。
会場ではコオロギビールのほかに「タガメチョコレートブラウニー」「コオロギの佃煮」なんていうフードメニューも販売されていました。
コオロギビールを手掛けたのは「地球少年」として昆虫食を広める活動をしている篠原裕太さんらによる昆虫食レストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」。岩手県のブルワリー「遠野醸造」とのコラボによって誕生しました。
会場には実際に使用されているローストモルトとコオロギも展示されていました。
よく見るとローストモルトのなかに焙煎されたコオロギが。まるで擬態している昆虫のように見た目はすっかり溶け込んでいますが、味の方はどうなのでしょうか。早速オーダーしてみましょう。
ダークエールスタイルのコオロギビールはほかの一般的な黒ビールと比べても色が黒め。泡は実に繊細でクリーミーで、見るからにウマそう!
気になる味のほうですが、黒ビールらしいコク深い味わいはそのままに、口当たりはまろやかでありながら程よい苦味があり、コーヒーやビターなチョコレートのような香りと苦味がしばらく口の中で余韻のように残ります。実に繊細で完成度の高いビールです!
すごいのはいろいろな風味が織り成されているのに雑味が全然ないところ。何も知らされずにこのビールを飲んで、原材料にコオロギが使われていることを当てられる人はほぼ間違いなくいないでしょう。
使用しているコオロギも品種だけでなくエサからこだわり、焙煎したコオロギの香ばしさを活かせるように配慮しているそう。話題性や物珍しさではなく、ちゃんと美味しさを追求するために理由があってコオロギを使用していることが伝わってくる、説得力のある一杯でした。
続いて「タガメチョコレートブラウニー」もいただいてみることに。黒ビールとチョコレートはペアリングの相性がいいとされているのですが、タガメを入れる必要性があるのか……?と思いきや、こちらもタガメの長所が見事に活かされていました。
タガメのオスがメスを求める際に出すフェロモンは柑橘系のフルーツのような香りがするそうで、今回は入念に下処理をしたタガメをクリームやブラウニーの中身に使用したそう。実際に食べてみるとチョコレートの甘味の中にフルーティーな香りが広がってくるのですが、それがすぐに「〇〇の香りだ!」と判別できない香りになっているのです。実にオシャレな味!
こちらもタガメを使わなければ表現することができない味なのだろうと感じました。ケーキの盛り付けも、木をくり抜いた食器もオシャレですし、これを食べれば多くの人が持っているであろう「昆虫食=ゲテモノ」という先入観はひっくり返るかもしれません。
今回のイベントで提供されていた「コオロギビール」をはじめ、コオロギを出汁に使った「コオロギラーメン」、昆虫食フルコースなどを提供するレストラン「ANTCICADA」は2020年春に東京・馬喰町にオープン予定となっています。興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。新しい世界の扉を開けるかもしれませんよ。
ANTCICADA(アントシカダ)
住所:東京都中央区馬喰町2-4-6
https://antcicada.com/
(執筆者: ノジーマ)