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2019年9月、神戸の小学校で教師間のいじめ問題が発覚しました。
この事件は連日、ニュースやワイドショーで大きく取り上げられ、世論は神戸市教育員会と当該の小学校を猛追及。その後第三者委員会が調査した結果が2月23日に報道されました。
神戸市の小学校での教師間のいじめの問題で、教育委員会が加害教師のうち最大で2人の懲戒免職を検討していることが分かりました。
神戸市立東須磨小学校での教師間のいじめ問題で、21日、第三者の調査委員会は加害教師4人と前校長の計125件の行為をハラスメントと認定しました。
関係者によると、神戸市教育委員会は加害教師のうち、中心的役割で89件のハラスメントが認定された男性教師の懲戒免職と、34件のハラスメントを行った男性教師の懲戒免職または停職を検討しているということです。
他の加害教師2人と今の校長も停職から戒告の範囲で検討し、パワハラが認定された前の校長にも停職や減給の処分が検討されています。
いずれの処分も、今月中に正式に決まる予定です。
引用元:FNN PRIME
今回は教師間でいじめがあったということが、非常にセンセーショナルだったわけですが、大人になってからいじめを受けることは多々あることのようです。
そこで今回は、大人になってからいじめを受けたというSさん(45歳)、Kさん(30歳)のお二人にお話を聞いてみることにしました。
はじめに、当たり前のことですが、いじめをすると様々な刑事罰を受けることになります。
世界保健機関、国際労働機関、国際公務員労組連盟などによれば、いじめの定義は《自尊心を損なわせ弱体化させることを目的とした、執念深い、冷酷な、あるいは悪意のある企てによる、長期に亘って繰り返される不快な行為》であるといわれています。
いじめる相手に、肉体的・精神的苦痛を与えるものなので、悪質な行為を行った場合は、暴行罪、傷害罪、強要罪、侮辱罪に問われ、逮捕の対象になる犯罪行為です。
丸野(以下、丸)「すいません、よろしくお願いします。まず、Sさんはどんないじめを受けていたんですか?」
Sさん「いえば、完全にワンマン社長のパワハラですね。すごい売り上げのある新興通信機器メーカーの関連ブラック企業で、求人情報に“雰囲気のいい社風です”とか“何でも話を聞きます”とか“自由でアットホームな会社”とかいう文言が躍っていて入社したんです。1日目はすごく楽しい雰囲気で過ごし、続いて自己啓発の研修がはじまったんです。相手のことを貶める言葉を飛び交わし合ったり、自分の弱いところを告白させられたり、なんだか雲行きが怪しくなってきて……。最後に、社長が“おまえらはみんなダメ人間なんだから”と」
丸「ほうほう、そうですか」
Sさん「次の日に、社長のゴルフ旅行に運転手として連れていかれたんですが、ちょっと隣の車線の車に追い抜かれると、“おまえは運転がヘタだ!”と自分が座っているシートを思いっきり蹴られて……。旅館に到着しても、食事中に“気が利かないな、オレのグラスが空だろう!”とどやしつけられ……。そのうち、いつ機嫌が悪くなるか、常に怯えてしまって」
丸「会社に帰ってもそんな感じですか?」
Sさん「そうです。社員それぞれが、事務、営業、広報、デザイン、Webサイト運営などのテーマを渡されて仕事に就くんです。僕はWeb屋をやっていたんで、普通にサイト運営の仕事をしていると社長がやってきて、“おまえはこの仕事向いてないな、事務へ行け”と。事務なんてやったことはないけど、先輩が教えてくれまして。つたない感じで事務作業をはじめると、夜には社長が“おまえは明日から営業だ”というんです。そんな理不尽なこと言われたことないんですけど、もう年齢も年齢だし、子供もいるし、自分が我慢して給料がもらえればいいかと……。でも、自信もだんだんと無くなってきたんです」
丸「まるでマインドコントロールじゃないですか……」
Sさん「でも給料日前に社長が、“おまえは仕事ができないから給料20%カット”、“面接で言っていたスキルがない”と言われて……」
丸「それって、労働基準局へ行ったらいいじゃないですか」
Sさん「あのう……(反社会勢力などの)いろいろなお付き合いがある社長だったんで、怖かったんです。報復でもされたらどうしようかと……。それにWeb関係にも顔が利くので、再就職先がもっとなくなるんじゃないかと思いまして……」
丸「ああ、それはわかります。僕も、当初は映像の世界で理不尽なことされて、訴えようかなとか思ったんですけど、この世界でやっていけなくなったらどうしようかと諦めましたもん。今なら訴えちゃいますけどね。それで、ずっと我慢を?」
Sさん「はい。半年我慢しました。何を言われても、昼夜を問わず呼び出されても従っていました。でも、知り合いから仕事の声がかかったので、退職しましたね」
丸「心が壊れる前でよかったですね。Kさんはどうですか?」
Kさん「私は、神戸の(教員いじめの)件と同じく小学校の教員でした。その中でのいじめですね。教頭と先輩の先生が“クラッシャー上司”と言うんでしょうか、そんな感じです。校長先生はいい人だったんですが、実質実権を教頭が握っていたような感じです。赴任したては毎晩のように歓迎会と称して、飲み会に誘われました。あまりお酒が強くないのに“教頭の言うことが聞けないのか!”と散々飲まされまして。次の日、二日酔いで授業をしていると“こいつ、酒臭いぞ!”と声高に言うんです」
丸「ひどいな、それも」
Kさん「やり方としては、とにかくポカ(ミス)を促してくるんですね。で、ちょっと反論したんです。そうすると、途端に険悪なムードになりました。それからは無視されたり、体育教師の先輩に突然背中を蹴られたり、文句を言いながら水を浴びせられたり、プールに落とされたり、中でも決定打になったのは……」
丸「なんですか?」
Kさん「2年生を受け持っていたんですが、先輩たちが子供たちに“あんな奴の言うことは聞くな”、“あいつはこの間、ウンコを漏らした”、“すぐにチンチンを出す変態”、“無視しなさい”などと吹聴していたことです。それが原因で、子供たちがまったく授業を聞いてくれない、言うことをきかないという学級崩壊につながりました」
丸「それは、ちょっと……」
Kさん「そこで、教育委員会に訴えたんですが、“まぁ、先輩と後輩の関係だから、そんなことよくあることだよ”と。もうこの学校にはいられないと、とりあえず休職して辞めました」
丸「今は?」
Kさん「どうせ、頑張って働いてもまったく時間が足りない教職員の世界だったので、退職後は市役所職員に転職して幸せにやっています」
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いかがでしたか?
僕自身、社会へ出てからでも土下座をさせられたり、恫喝されたり、いろいろとありました。しかし、今回の取材内容ほど人としての尊厳を傷つけられることはありませんでした。
今いじめで悩んでいる大人のあなた。あなたの人生は自分が主人公です。良心を失っているような人とは、すぐにでも距離を置きましょう。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)