東京23区の駅前を中心に展開しているそばチェーン「名代富士そば(以下、富士そば)」のカップ麺がニュータッチから発売されて注目を集めています。



この富士そばカップ麺がネットで「再現度が高すぎる」と話題になっていまして。


富士そばの紅生姜天そばは430円ですが、富士そばのカップ麺は希望小売価格が240円。もし富士そばを完璧に再現できているのであれば、カップめんを食べたほうが断然お得になってしまいます。



しかし富士そばの魅力はそばの味だけではありません。店内で流れる演歌、日本の風情を感じられる外観と内装、そばを茹でている鍋と天ぷらを揚げる油から漂う香り。これらの要素もすべて富士そばをおいしく食べるためのエッセンス。すべてを含めてはじめて富士そばという食べ物になるのです。


カップ麺だけで富士そばを完璧に再現することなど到底不可能なのですよ。


富士そばの前で富士そばカップ麺を食べればいいのでは?


しかしカップ麺の最大の長所は熱湯を注げばどこでも食べられるということ。富士そばの前で富士そばカップ麺を作り、漏れ聞こえる演歌と換気扇から排出される調理場の香りを嗅ぎながらカップ麺を食べれば、富士そばカップめんでパーフェクトな富士そば気分を堪能できるかもしれません。



というわけで水筒に熱湯を注ぎ、両手に水筒と富士そばカップ麺を抱えて最寄りの富士そばまで向かいました。





向かっている途中で突然トルコ人観光客に話しかけられ、なぜか写真撮影を頼まれました。カップ麺を片手に歩いているのが珍しく思われたのでしょうか。


確かにタピオカや中華まんなんかは飲み食いしながら街歩きする人はたくさんいるのに、カップ麺を食べ歩く人は全然見たことがありません。コンビニでお湯も注げるんだし、みんなもっとカップ麺を食べ歩けばいいのに。



そうこうしているうちに富士そばに到着。通行の妨げにならない場所に移動し、早速富士そばカップ麺を作り始めました。




真冬の寒空の下、富士そばのカップに熱湯を注ぐとモクモクと湯気が立ちのぼりました。なにか派手な手品を仕込んでいるかのよう。でもお湯を注ぐだけでそばを作れるんだから、昔の人からしてみれば手品みたいなものだよなあ。



歩道の端に立ったままフタをして5分待ち、仕上げに液体スープを注いで紅生姜天をのせたら完成です……!





ひゃあああっ。ウマそう! 富士そばの看板をバックに麺リフトする富士そばのカップ麺! 一気に富士そば感が増しました。


これが「どん兵衛天ぷらそば」や「緑のたぬき」でも富士そばっぽく見えるかといえば、決してそんなことはなさそう。しなやかでまっすぐな麺は従来のカップそばとは明らかに別物。見た目からして違いを感じます。


麺の再現度の高さにびっくり! こりゃあウマい!



高鳴る鼓動と高まる期待。そのままズズイといただきます。




うおおおおぉぉっ……。これは完全に富士そば……!! 見るからに従来品との違いを感じられた麺は完璧に富士そばを思い出せる食感であり、カップ麺とは思えないほどの弾力があってウマいっ!! 醤油が強めな関東風のつゆもバッチリ再現できているし、ザクザク感が強調された紅生姜天も食べていて気持ちがいい。


そしてなにより店内から漏れ聞こえてくる演歌と、自動ドアが開閉した瞬間に漂う富士そばの香りを感じつつ、食品サンプルを眺めながら富士そばカップ麺をかっ食らうと、五感すべてで富士そばを受け止めている感覚になれます。これだよ、これ! 富士そばカップ麺は今ここに完全体の富士そばへと化した!!



富士そばカップ麺は食塩相当量が7.9グラムだって? でもそんなの関係なし。つゆまで一滴残らず飲み干してやりましたわ。やりましたわ!! ごちそうさまでした!



……あれっ?



……あれあれっ?



しまった! ついうっかり本物の紅生姜天そばも注文してしまった……!! すでにお腹いっぱいですし富士そば欲も満たされましたが、でもやっぱり本物も食べて再現度の答え合わせもしておかなければ。



左がお店で食べる富士そばで右が富士そばのカップ麺。ネギは量も質も違うのは当然としても、紅生姜天もだいぶ違いを感じますね。


カップ麺の方は紅生姜をガッツリと揚げた天ぷらっぽくなっているのに対し、富士そばの紅生姜天はかき揚げの中に紅生姜が多めに入っているという感じ。もちろん言うまでもなく富士そばの紅生姜天は揚げたてでもあります。



改めて富士そばの紅生姜天そばを食べてみると、カップ麺とは紅生姜天の位置づけが全然違うなと。カップ麺の紅生姜天はそのままザクザクと食べておいしさを噛みしめる感じでしたが、富士そばのかき揚げ風の紅生姜天は食べ進めるうちに徐々にほぐれていき、そば全体に油のまろやかな風味が溶け込んでいきます。味変をもたらす素材としての役割が強いのですね。


とはいえ、麺の食感やスープの味などは確かに再現度が相当高いなと実感。昨今ではいろいろな人気ラーメン店の再現商品がカップ麺売り場に並んでいますが、麺の食感まで見事に表現できているカップ麺はなかなかありません。ネットで話題になるのも納得の味わいでした。


富士そばのカップ麺は数量限定販売となっているようですので、気になる方はぜひぜひお試しください。富士そばが大好きだったけど転勤などで富士そばのないエリアに引っ越してしまったという方には特におすすめ。富士そばの前で食べることはできないかもしれませんが、きっと富士そばのことを鮮明に思い出すことはできるでしょう。


(執筆者: ノジーマ)


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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「まるで本物の富士そば」と評判の富士そばカップ麺を富士そばの前で食べるとさらにウマい