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役所広司さんが主演を務め、中国の人気俳優と共演した日中合作映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』が11月15日より公開中です。
本作で、役所さんは”ヒマラヤの鬼”と呼ばれ、ヒマラヤ救助隊「チーム・ウィングス」を率いるジアン隊長を熱演。陰謀が渦巻く過酷なエベレストの地を舞台に、時にクレバスを大ジャンプし、時にピッケルで銃を持った敵と戦うなど、御年63歳とは思えないほどの壮絶アクションを繰り広げます。
プロデューサーを務めたのは、名監督ジョン・ウーのハリウッドデビューを後押しし、『フェイス/オフ』『M:I‐2』「レッドクリフ」シリーズなど、世界的大ヒット作を多く手掛ける名プロデューサーのテレンス・チャンさん。今回は役所広司さん起用の理由や、凄すぎるVFXについてなど、お話を伺いました。
――本作について色々とお伺いさせていただきます。まず、この役を役所さんにお願いしようと思った理由を教えてください。
テレンス・チャン:役所広司さんは大好きな俳優さんで、一度お仕事をしてみたかったです。中国では『失楽園』(1997)で多くの人が役所さんを知ったと思います。私は『タンポポ』(1985)、『十三人の刺客』(2010)、『一命』(2011)などの役所さんが特に好きです。
本作では登山チームを描いていますが、登山チームというのは多国籍なんです。全員が中国人というのはありえないんですね。ジアン隊長は50代か60代の男性という設定で中高年の俳優が必要なんですが、中国の俳優でこの役を出来そうな人がとても少なく、海外の俳優も視野に入れた時に真っ先に浮かんだのが役所さんでした。
――劇中で役所さんは凄まじいアクションを披露していますが、役所さんはアクションの経験が多い俳優さんでは無いと思います。心配はありませんでしたか?
テレンス・チャン:不安などはありませんでした。一度会食をさせてもらった時に、アクションシーンがあることもお話しましたが、役所さんは意欲的に取り組んでくださいました。実は一度足を怪我したのですが、医者に止められても自分で演技を続けて、役所さんのプロフェッショナルな精神に感動しました。そして、実際に完成した映画を観ると、役所さんのおかげで脚本よりも格段に良いシーンとなっていて感謝しました。
――プロデューサーとしても大満足の役所さんの熱演だったというわけですね。
テレンス・チャン:そうです。共演のチャン・ジンチューは演技派で人気の女優で、本作でアクションに初挑戦しましたが、役所さんの出演を聞いて即OKをくれました。台湾で人気のリン・ボーホンも同じく役所さんからとてもたくさんの刺激をもらって、2人ともとてもリスペクトしているのです。これは、『M:I‐2』製作時にトム・クルーズさんに教わった事なのですが、アクション映画には必ず演技派の名優を起用することで、映画に説得力が増すんです。『M:I‐2』ならアンソニー・ホプキンスがそうです。
――なるほど、ありがとうございます。また、VFXもとても豪華でしたが、VFXへのこだわりはいかがですか?
テレンス・チャン:VFXは監督の要求が特に多かった部分です。ユー・フェイ監督は本作が映画監督デビューなのですが、元々フランスのゲーム会社で働いていたのでVFXの知識がすごいんです。北京にあるCG会社と協力しながら作りました。
――監督はゲーム会社出身なのですね。では映画作りの面ではテレンスさんの知識や経験がかなり大きかったのではないでしょうか。
テレンス・チャン:フェイ監督は短編の映画を撮ったこともなかったので、脚本を読み、意見やアドバイスをしながら、100回くらい脚本を改稿してもらいました。監督にはそれだけの熱意があったんです。製作当時、中国映画でエベレストを題材にしたのが初で、監督も映画作りが初という初めて尽くしの作品でした。興行的に成功するかどうか読めない作品ではありましたが、フェイ監督という新しい才能を世に出すこと、素晴らしい俳優陣の演技を観てもらうこと、そこを大切にしました。
――監督、俳優、スタッフ、そしてテレンスさんの思いが強く入った作品ということですね。
テレンス・チャン:個人的な考えとして、今後はアクション映画だけではなく、全世界の人に伝わる様なヒューマニズムな作品を作って行きたいと思っています。今作の役所さんとのお仕事で、国をこえて伝わる演技の素晴らしさを実感したので、ぜひ今後も日本や様々な国との映画作りにチャレンジしていきたいです。
――今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!
『オーバー・エベレスト_陰謀の氷壁』
http://over-everest.asmik-ace.co.jp
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