河野裕氏の青春ファンタジー小説を原作に、横浜流星さん、飯豊まりえさんで実写映画化される「いなくなれ、群青」が9月6日より上映中。主演の横浜流星さん演じる、ミステリアスな雰囲気の少年「七草」の友人・ナド役として出演するのが、黒羽麻璃央さん。



本作は、捨てられた人たちの島<階段島>で繰り広げられる、少し不思議な物語。階段島に彼らが突然やってきた理由を知る人はおらず、島を出るためには失くしたものを見つけなければいけない、という謎だらけの島の中で、少年少女たちが心を通わせていく青春ファンタジーです。



黒羽さんが演じるのは、悲観主義の「七草」の高校の同級生で、いつも屋上にいる、掴みどころのない雰囲気をまとった少年・ナド。


黒羽さんに作品の見どころや、横浜さんの印象などお話を伺いました。



ナドはファンタジーな存在? 猫っぽさをイメージ


――演じられた“ナド”はどのような人物なのでしょうか?


黒羽:横浜流星くん演じる“七草”と唯一心を通じ合わせる親友で、文学少年です。普通の人とは漂っている空気感が違って、考えていることも少し大人びている。「ちょっとアイツ、他の人は違うな」というようなファンタジーな要素を持っていて、僕的にはナド自身がこの作品を象徴するような人物かなと思っています。



――ナドは、とても謎めいた人物ですよね。


黒羽:作中では、観ているお客さんや主役の七草に対しても、頭の中に「?」をつけていくような役目だと思っています。


――ご自身との共通点はありますか?


黒羽:僕はたぶんすごくわかりやすい人だと思うので、謎めいた部分はないですね(笑)。でも、“あくまでも自由に生きていたい精神”は共通点かな。


――出演のお話を聞いたときは、ナドに対してどんな印象を持ちましたか?


黒羽:魅力たっぷりなんですけど、特徴は人よりオーラが出ているところなのかなと思いました。雰囲気出てる、みたいな(笑)。彼の何が魅力ですか?と聞かれると上手く言えないんですけど、人を惹き付ける存在感を放っている気がします。



――その独特の雰囲気を出すために演じる上で意識した部分や、現場で受けたディレクションがあれば教えてください。


黒羽:「ファンタジーな存在でいてほしい」というお話は監督からありました。実在するのか、しないのか……「なんだろう、この人」と感じるような。イメージしたのは、強いて言うなら猫っぽさですかね。犬より猫かな、と。動物的な動きの話ではなく、猫って猫ならではのマイペースな時間感覚を持っているじゃないですか。ナドは、そういう時間の流れ方をしている人間かな。


――主人公の七草は、ナドに対して自分に通じるものを感じていますよね。


黒羽:七草もだし、ナドもそれを感じていると思います。ナドが七草に、「君は俺とよく似ているね」「まるで愛を避けて歩きたがっているみたいだ」と言うセリフも劇中にあるんですけど、元々は似ている部分があったし、だからこそ、ナドが七草に対してだけ抱いている感情があるんだと思います。



20代後半に向け、今年のテーマは“腹八分目”


――横浜さんと2人のシーンが多かったですが、共演した感想を聞かせていただけますか?


黒羽:流星くんとは、何年も前にワークショップで一緒に演技レッスンを受けていた仲だったので、僕個人として純粋に嬉しかったです。一緒にお芝居の勉強をしていた人とこうやってまた1つの作品で共演できて、すごく嬉しい気持ちでした。実際は、流星くんのほうが僕より年下なんですけど、すごく大人びていて、いろんな経験をしてきたんだろうな、と思うような人柄で。


――レッスンを一緒に受けていたときの印象は?


黒羽:服装まで覚えてますよ! 黒のワイドパンツに白のオーバーサイズのゆるいニットを着ていて。当時、流星くんが『烈車戦隊トッキュウジャー』が終わったくらいのときに一緒にワークショップを受けていましたね。懐かしい。今回共演して、大人になったな、と思うくらい。顔つきとか、最初に会ったときはまだお互い若かったので。




――では、黒羽さんにとって憧れの存在は?


黒羽:憧れの存在はやっぱりプロ野球選手です。楽天イーグルスが好きなので。


――宮城県ご出身ですものね!



黒羽:俳優の方ですと、憧れの存在はリリー・フランキーさん。なんか脱力感がいいんですよね。ノンストレスみたいな(笑)。お煎餅で言うとぬれ煎餅みたいな……、わかりますかね? 力み(りきみ)が一切ないところが素敵だな、カッコいいなって思います。最近プライベートで一度お見かけしまして、話しかけられないのでファンのように見ていました(笑)。


――黒羽さんもそうなりたい、ということですか?


黒羽:そうですね、力みなく。僕の今年のテーマが“腹八分目”なので。今まではどちらかと言ったら全力に“満腹で”という状態だったんですけど、少し余力を持ちながら、余裕のある20代後半に向けて力の抜き方も覚えていこうかな、と(笑)。




黒羽:ストイックさはもちろんありますし、腹八分目に到達するまでは全力でやります。けれど、少し余力を残した、“一生懸命だけではない感動の伝え方”みたいなものを身につけていきたいと思っています。もちろん、全力でやることの素晴らしさもある。でも、たぶんそれだけじゃやっていけないので、技術的なものも含め、自分を良く見せるために、最近は力を抜くところは抜くということが必要かなと思っています。


――そういったところから醸し出される空気感や、人としての魅力が演技に反映されそうですね。


黒羽:そうですね。力の抜き方を覚えると言っても、きちんとやる気はあります(笑)。



「生きていく上で何か気が付くきっかけや発見するヒントになれば」


――今作の完成した映像を観た感想を教えてください。


黒羽:僕は完成した映像を観るまでは、どちらかというと灰色のようなイメージを持っていたんですけど、いざ完成版を観てみると、全体的に登場人物それぞれの色が粒立っていて。タイトルにある「群青」は、青の中でも濃い青じゃないですか。各登場人物が色を持っているんですけど、すごく濃いんですよね。薄い色の人間があまりいる気がしない。だからこそ、とても内容も濃いお話ですし、どちらかといったら明るいキラキラした青春のお話ではない。ただ、映像は本当に美しく、ファンタジーの世界観が表現されています。実際には暑かったですけどね(笑)。


――そうなんですか? それを感じさせないくらい、涼しげというか、透明感のある映像に仕上がっていました。


黒羽:天気はすごく良かったですけど、風が強かったです。あと、屋上での撮影は日光を遮るものが何もないので、倒れるかと思いました(笑)。




――今作は、もちろん女性も好きだと思いますが、ロマンチストな男性もすごく好きそうなお話だなと思いました。


黒羽:特にナドにはそういう感情を抱くかもしれないですね。ロマンチックというか、ちょっと大人な雰囲気を持っているから。観ると活力になる作品とはまた違うかもしれないですけど、心に刺さる作品にはなっていると思います。


――では、作品をご覧になる方にメッセージをお願いします。


黒羽:捨てられた人間が集まる謎の島が舞台の青春ファンタジーになっていますので、みなさんが生きていく上で何か気が付くきっかけや、発見するヒントになればいいかなと思います。観ると誰かと語り合いたくなるような作品の内容になっているので、二度三度、楽しんでいただければ、と。そのためには、(※いい声で)ぜひ!映画館へお越しください!


――最後はいい声でありがとうございます(笑)。二度目は、また違った観え方になると思うので、繰り返し楽しんで欲しいですね。


ヘアメイク:泉脇崇(Lomalia)

スタイリスト:ホカリ キュウ


映画「いなくなれ、群青」は2019年9月6日より上映中。

公式サイト:inakunare-gunjo.com[リンク]

(C)河野裕/新潮社 (C) 2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会


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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 黒羽麻璃央 今年は“腹八分目”に「余力を残した、一生懸命だけではない感動の伝え方を身につけたい」 映画『いなくなれ、群青』インタビュー