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9人組アイドルグループ「GANG PARADE」メンバーのユイ・ガ・ドクソンさんが、「筋肉少女帯」のファンであることから実現した大槻ケンヂ&ユイ・ガ・ドクソンによるスペシャル対談。前編では「大事な話をしている時に、焼肉をサンチュに巻けるかどうかに人間の大きさが出る」といった名言も飛び出しました。
今回は、大槻さんが考案する新しいアイドルグループのアイデアから、「アイドルは労働組合を作るべき!」というありがたいご提案まで、お話が展開していきます。
大槻ケンヂ&ユイ・ガ・ドクソン(GANG PARADE)特別対談:前編「大事な時に焼肉をサンチュに巻ける人は大物ですよ」
https://getnews.jp/archives/2107620
――ドクソンさんは、筋肉少女帯の『ザ・シサ』と大槻ケンヂミステリ文庫『アウトサイダー・アート』を聴き込んでいるそうですね。
ドクソン:本当にすごく素晴らしいアルバムで、出していただいてありがとうございます。
大槻:とんでもないです、ありがとうございます。
ドクソン:どの曲もとても素晴らしいのですが、『なぜ人を殺しちゃいけないのだろうか?』と『ゾンビリバー ~ Row your boat』が特に好きです。『ゾンビリバー ~ Row your boat』の曲中で、「滝だー!」の後、私も滝の中を溺れてる気持ちになりました。
大槻:嬉しいなあ。「あ~!」っていうところで。
ドクソン:そうです。トゥルルル~♪……の。
大槻:あれは先に曲が出来ていたんだけど、聴いていたら滝に落ちているような感じだなと思ったからそういう詩にして。
ドクソン:そうなんですか! 溺れている時の音をイメージしたわけじゃないんですね?! 私、溺れたことがあるんですけど。
大槻:えっ!どこで!
ドクソン:小さい頃に家族同士のバーベキューをしていて、流れの速い川に、足を踏み外して落ちて、流されちゃったんですよ。
大槻:うわあ、危ない危ない。
ドクソン:その一瞬の、洗濯機の中みたいな光景をすごく覚えているんですけど。まさにそれを音にした感じだったんですよね。
大槻:良かったねえ、助かって。
ドクソン:はい。お母さんが追いかけてくれて救い上げてくれました。でもそのまま流されて、知らない町に流れ着いて、そこで暮らすっていう考えも浮かんで。
大槻:いいねえ。その一瞬のうちに?
ドクソン:そうです!
大槻:素晴らしい! そういうこと考えられる人は良い詞が書けますよ。
ドク:そうなんですか!?
大槻:そうそう。作詞をやったことは?
ドクソン:いつもメンバーで作詞をしていて、採用されたら本当に使ってもらえるのですが、私はすごく文章が苦手で。
大槻:おお〜、作詞のコンペがあるの?
ドクソン:はい。メンバー9人と、プロデューサーの渡辺淳之介さんや楽曲を作ってくださっている松隈ケンタさんの詩も加わって。場合によってはマネージャーさんの作詞も参加します。
大槻:じゃあ10個以上の詞が1曲に並ぶの?! それはあれだよ。ジュリー(沢田研二)の売り出しの時みたいなことですよ。それとか、大手事務所さんが「これだ!」って売り出す女の子の時とか……いやでも10個は並ばないですよ。ジュリーの『時の過ぎゆくままに』っていう歌は、そのコンペで阿久悠さんが勝ち上がったんです。ギャンパレの場合は、いつも勝っちゃう子はいるの?
ドクソン:上手くて、よく使われる子はいますね。作曲もコンペがあるんですけど、作曲は今のところ、みんな上手さは変わらないです。
大槻:作曲のコンペもあるんだ?
ドクソン:アルバムを制作する時には、まるまる1曲作ってみようっていうコンペがあるんです。今まで2回つくる機会がありました。
大槻:それって楽器が弾けない子はどうしてるんですか?
ドクソン:もう出来上がっているトラックを20個ぐらい頂いて、それにメロディーを自分でつけてみるっていうことをやっています。
大槻:はあ〜なるほど、それ俺、筋少でやっていい?(笑) 楽器が弾けないから、いつも鼻歌でコンペに出しててさ、それが通ったりすると、後ですごく怒られたりするのよ。「なんで鼻歌のヤツが通るんだ」って言われて。そうか! 今はそういうやり方があるのだね。そのトラック自体はどうしてるの?
ドクソン:松隈ケンタさんっていう方が楽曲を主に作ってくださっているんですけど、スクールも開いているので、そのスクール生とかスタッフさんが作って溜めているトラックをもらいます。私も楽器とかできないし、音楽のことも全然分かんないんですけど、その方法なら思い浮かんだメロディーを鼻歌で入れて、送れるっていう。
大槻:いやあ、なるほど。そうなんだ、知らなかった。それは使えますね。アーティストとしても育成していくという。面白いなあ。
大槻:ギャンパレは全国津々浦々、色んなところでライブやリリースイベントをしているでしょう?
ドクソン:最近そうですね。楽しいです。
大槻:外国は?
ドクソン:MVの撮影で一度だけ台湾に行ったことがあります。
大槻:あら! 経費あるね。僕らも若い頃は出してもらえたんだけどね(笑)。マスタリングだけでニューヨーク行かせてもらったりとかね。昔バンドブームっていうのがあって、その頃は。
ドクソン:今もニューヨークでレコーディングをしたとか聞きますが、やっぱり違うんですか?
大槻:いやあ、あんなもんね、吉祥寺とかのほうが全然いいですよ。行く必要ないですよ。ここいらでいいんですよ(笑)。ところで、ライブで今まで行った会場ですごいところってあったりした? 例えば、楽屋がなかったとか。あったけど一畳半くらいしかないとか(笑)。
ドクソン:やっぱりアイドルフェスって出演者がすごくたくさんいるので、そういう時は広いところを借りてくださっているか時間制で入れ替えですね。早めに来てみたけど、まだ場所ができてないなっていう時があって、建物内を散策してみたんです。そしたら、楽屋がキャバクラみたいな作りだったんですけど、さらにVIPルームみたいな個室があって(笑)、そこで着替えたり。
大槻:ああ!それ本当に元キャバクラだわ。あるある、そういうとこ(笑)。いろんな”あるある”をバンドで経験したけど、アイドルの子たちが今それを経験してて、でも女の子だからバンドと違って、もっと大変なんだろうなって思うんだよね。
ドクソン:そうですね。食べるところがなくて、階段とかで座ってご飯食べてる子を見たりします。
大槻:立って食べてる子とかね(笑)。かわいそう。
――バンドも昔はそういうこともあったんですか?
大槻:今でもそうですよ。名古屋のCLUB QUATTROなんて楽屋が二畳ぐらいしかないですよ。まあ他の階に楽屋があるんですけど。そんなこといくらでもありますよ。50過ぎても、「おい、ここかよ」っていう(笑)。最近弾き語りを始めてカフェでライブをすることもあるわけですよ。そんな時は楽屋なんざ、ない。だから時間まで街をうろうろして、つい飲んでしまって、へべれけになって本番で弾けないとか(笑)。
ドクソン:(笑)。
大槻:仙台でやった時のカフェでは「楽屋はあります」って言われたんだけど、椅子が一脚あって、楽屋は一畳あるかないかで。
ドクソン:漫画喫茶みたいな(笑)。
大槻:狭くて妙にハマっちゃって、居心地いいんですよね。ドクソンちゃんは漫画喫茶は何派? リクライニングとか。
ドクソン:私はフラットシート派です。ふわふわの床で座椅子みたいなのが置いてある。あれがやっぱり一番いいですね。
大槻:僕もこの間行ってみたんだけど、最近漫画も読まなくて。あ、若い女子は漫画読む?
ドクソン:漫画はたまに。でも最近はあんまり読まないですね。
大槻:その眼鏡は『Dt.スランプ アラレちゃん』を意識しているんではないの?(笑)。僕らの世代はみんな言うでしょう? 僕が中学高校生時代にすごく流行ったんですよ。アラレちゃんもかけてたけど、おしゃれな女の子もいっぱいかけてました。90年代から2000年代は一切見なくなって。
――最近また多いですよね。
大槻:時代が一周しているんだ。
ドクソン:丸眼鏡もめちゃくちゃ流行ってますね。
大槻:ギャンパレでは、眼鏡担当になっているの?
ドクソン:はい。私はいつも眼鏡をかけていますね。「ごまかし眼鏡」って言われたりします。
大槻:そんなことないですよ!可愛いですよ。
大槻:ギャンパレちゃんは、今後もきちんとした方向性の歌とダンスでやっていく感じ?
ドクソン:そうですね……でも、分かんないですね。これから何があるかも分からないですし。過去には、突然メンバーをトレードするっていうこともあったので。
大槻:何とトレードしたの?
ドクソン:「新生BiS」のメンバーと「GANG PARADE」のカミヤサキが1年間くらいトレードしてた時もあったんですよ。
大槻:ああ、じゃあ本当にいつくるのか分からないんだね。中には、メンバー総とっかえもあるじゃん。
ドクソン:本当に他人事じゃない感じがあります。
大槻:もしかしたら、もう9人分育成されているのかもよ。
ドクソン:えーっ!! 恐い! いやでも本当に今、育成中の子たちもいるんですよ。私たちの事務所にも候補生グループっていうのができて。
大槻:あららら、きた! 僕が今思ってるのは、流行りのアイドルグループはメンバーで労働組合を作ればいいんだよ。
ドク:デモを起こせるように(笑)。
大槻:うんうん。我々、労働者の権利を大人の方々に訴えるのよ。とりあえず炎上しますよ、そりゃ(笑)。そこでファンの遊び人(GANG PARADEのファンの総称)の方々が、労働闘争をしても、なんか説得力がないよね(笑)。遊び人が労働闘争。
――労働組合良いですね! 大槻さんはアイドルグループのプロデューサーになりたいとは思わないんですか?
大槻:いや思いますよ。僕はメイド喫茶のオーナーをやりたかったんです。
ドクソン:へえー!
大槻:今は握手屋さんっていうのを考えていて、つまり接触厨(握手会やチェキ撮影などで、アイドルに接触することを目的としているファン)のファンばっかり集める。
ドクソン:それ絶対需要ありますね。握手屋さん。
大槻:そしたら歌もダンスも特にいらないんですよ。握手だけするアイドルグループ。握手会しかしないんだよ。
ドクソン:私だけの握手っていうのを考えないと生き残れないですよね(笑)。
大槻:いろんな握手のやり方を(笑)いける! それで、お客さんをどんどん流せるでしょ? お客さんの回転率がいいんですよ。それで、かなりの集客が出たところで、「なんと、この握手アイドルが歌を歌います!」って、普通のやり方と逆にするんですよ。
ドクソン:なるほど!!
大槻:それは僕、本当に考えているんです。”握手限定アイドルグループ『接触』”みたいな名前で(笑)。
ドクソン:でもこの話が掲載されちゃったら、他の人にやられちゃいそうですね。
大槻:いや、いいです。一回エッセイで書いたことがあるんだけども、まったく誰もやらなかったから(笑)。
ドクソン:(笑)。
ドクソン:あの、筋肉少女帯で握手会もされてましたよね?
大槻:そう!したんですよ。
ドク:私あれ応募したんですけど落ちたんですよ。
大槻:えっ!本当?!あれはひどかったよ!インストアイベントとかの握手会だったら、「あ、どうもー」とかおしゃべりしながらするんだけど、あの時はメーカーさんも気合が入っちゃって、剥がしを入れちゃったのよ!剥がしの人がすごく怖い顔して見ていて(笑)。ギャンパレじゃなくて筋肉少女帯なんだから、そんな剥がせなくていいじゃんっていう。
ドクソン:でも私もすごく行きたくて。めちゃくちゃ貴重ですよね。行けた人はすごいと思いました!
大槻:握手会ってすごいよね。今、すごくアイドル業界に興味あるから、握手会も面白いなと思って。
――今出てきたアイデアもすごく面白いですものね。
大槻:僕、そういうアイデアはよく思いつくの。「こんなグループを作ったらどうだろうか?」とかっていうことは、よく思います。お客さんじゃなくて、女の子のほうが回るっていうのも面白いね。回転寿司をやればいいんだ。女の子が回転するわけだ。
ドクソン:いいですね。誰がいいとか注文もできるんですか?
大槻:あっ、いいねえ~!でもお客さんの回転率をよくするのが一番だから、ラーメン屋さんでさえ、最速でも20分ぐらいはかかるんです。でも握手だとどんどん流して剥がしの人もいるわけですよ。剥がしの人も女子にして、その人もちょっと人気出ちゃうみたいな。
ドクソン:あー!あるあるですね。スタッフさんの可愛い人が人気になるパターンですね。
大槻:今度は「剥がしの子が握手します」って言ったら、ドカーンってお客さん来ちゃうわけですよ。
ドクソン:剥がしもアイドルにしちゃうとか。剥がしアイドル!握手アイドル対剥がしアイドル。
大槻:剥がしアイドルいい!うん、対決させよう!
――でも、大槻さんがプロデューサーになったら、ドクソンさんもオーディション受けたくなっちゃいますよね、きっと(笑)。
ドクソン:わあー!それは本当にそうですね(笑)。
大槻:いつでも作詞とかしますんでね。
ドク:本当ですか?!すごい!
大槻:今僕ね、作詞意欲に溢れているんです。アイドルの方にも結構書いているんですよ。よろしくお願いします。
――ちなみにドクソンさんは、筋肉少女帯の曲をカバーするとしたらどの曲を選びますか?
ドクソン:うーん、ええー!それは悩むな。めっちゃ悩ましいですね。『パノラマ島へ帰る』かな。
大槻:おお~!渋いところを。へえー。
ドクソン:でも選ぶのは難しいです。本当に恐れ多くて。
大槻:僕もギャンパレの歌を歌ってみようかな(笑)。
ドクソン:本当ですか!!
大槻:前にももいろクローバーZの『労働賛歌』を筋少でカバーしたんだけど、考えたらももクロメンバー5人を1人って無理なんだよね。ギャンパレは9人を1人でやるっていう(笑)。
――ぜひお互いのカバー、実現してほしいです! 今日は本当に楽しいお話をありがとうございました!
撮影:周二郎
文章:藤本エリ、山末あつみ
【筋肉少女帯】
1982年に中学の同級生だった大槻ケンヂ(Vo)と内田雄一郎(bass)を中心に結成。インディーズでの活動を経て、1988年にメジャーデビュー。アルバム収録曲『日本印度化計画』、続くシングル『元祖高木ブー伝説』等、他に類を見ない作品性が話題を集める。1989年に橘高文彦(G)と本城聡章(G)が加入。不条理で幻想的な詩世界と、卓越した演奏力が高次に融合する独自の世界は、日本ロック史上に際立った異彩を放ち、その名を残すことになる。1998年に活動凍結。各ソロ活動を経て、2006年に大槻・内田・橘高・本城の4人で活動を再開し、翌2007年約10年ぶりのオリジナルアルバムをリリース。「FUJI ROCK FESTIVAL」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」といった大型イベントへの出演他、精力的なライブ活動を展開。
筋肉少女帯『ザ・シサ』発売中!
http://www.tkma.co.jp/jpop_top/King-Show.html [リンク]
【大槻ケンヂミステリ文庫】
ファンキーでジャジーでブルージーなオーケンのポエトリー。
大槻ケンヂ新プロジェクト、略称 オケミス。
大槻ケンヂミステリ文庫『アウトサイダー・アート』発売中!
http://www.tkma.co.jp/jpop_top/okemys.html [リンク]
【GANG PARADE】
ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギの9人からなるアイドルグループ。2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て18年4月17日に現メンバーにて活動をスタートさせる。同年9月20日には自身最大規模のワンマンライヴがZepp Tokyoにて開催された。
所属事務所WACK主催全国対バンツアー『Going Going WACK TOUR』
1/10(木) 神奈川・CLUB CITTA’
出演:BiSH、GANG PARADE
1/13(日) 愛知・DIAMOND HALL
出演:BiSH、BiS
1/14(月) 愛知・DIAMOND HALL
出演:BiSH、GANG PARADE
1/19(土) 沖縄・output
出演:BiS、GANG PARADE、EMPiRE
1/20(日) 沖縄・output
出演:BiS、GANG PARADE、EMPiRE
1/23(水) 東京・ZEPP TOKYO
出演:BiSH、GANG PARADE
1/26(土) 愛媛・松山WstudioRED
出演:BiS、GANG PARADE
1/27(日) 香川・高松オリーブホール
出演:BiS、GANG PARADE
2/02(土) 兵庫・神戸Harbor Studio
出演:BiS、GANG PARADE
2/03(日) 大阪・なんばHatch
出演:BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE
2/09(土) 岡山・エビスヤプロ
出演:BiS、GANG PARADE
2/10(日) 広島・CLUB QUATTRO
出演:BiS、GANG PARADE、EMPiRE
2/11(月) 山口・RISING HALL
出演:BiSH、GANG PARADE
2/16(土) 宮城・女川町 生涯学習センター ホール
出演:BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE
2/23(土) 福岡・DRUM LOGOS
出演:BiSH、BiS
2/24(日) 鹿児島・キャパルボホール
出演:GANG PARADE、EMPiRE
3/02(土) 宮城・Rensa
出演:BiS、GANG PARADE
3/03(日) 宮城・Rensa
出演:BiSH、GANG PARADE
3/09(土) 石川・AZ
出演:BiSH、EMPiRE
3/10(日) 新潟・NEXS NIIGATA
出演:BiS、GANG PARADE
3/16(土) 北海道・PENNY LANE24
出演:GANG PARADE、EMPiRE
3/17(日) 北海道・PENNY LANE24
出演:BiS、GANG PARADE
3/19(火) 東京・ZEPP TOKYO
出演:BiSH、BiS、GANG PARADE、EMPiRE
GANG PARADE『GANG PARADE oneman live at Zepp Tokyo』発売中!
ニューアルバム『LAST GANG PARADE』2019年1月8日発売!
https://www.gangparade.com [リンク]