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腕周り60cm、318kgのベンチプレスを持ち上げるというこちらのマッチョな男性の職業は、なんとホワイトハウスの料理番。料理だけでなく夕食会場に飾る氷の彫像やお菓子作りの達人でもあり、クリントン、ブッシュ、オバマ、トランプの歴代大統領に仕え、英国女王をもてなすなどの特別な時に腕をふるってきたそうです。
そんな規格外の筋肉料理人、アンドレ・ラッシュさんは、1日おきに2222回も腕立て伏せをして体を鍛えているといいます。一体なんのために? ホワイトハウスがテロリストに占拠された時に1人で立ち向かうため、ではありません。実は、そこには涙なしには聞けない波乱万丈の人生ドラマが隠されていました。
現在45才になるラッシュさんの前職は、陸軍の曹長。21才の時に入隊し、VIP警護などの任務もこなすレンジャー隊員として、またコックとしてもキャリアを積んできました。
精鋭部隊の一員としてイラク派遣を経験するなど肉体的にも精神的にも屈強な彼でしたが、除隊直後にはうつ病に悩まされ、抑圧感や孤独感で押しつぶされそうな日々を送っていたといいます。そんな時、彼を救ったのが料理でした。厨房にこもって食材と向き合い料理に没頭していると嫌なことを忘れられ、ふと我に返ってみると6コース分もの料理を作っていたことも。料理が癒やしになっていたのです。
料理のセラピー効果に気付いた彼は、PTSDなどの後遺症に悩まされている退役軍人のための施設などで料理を通じた支援活動に取り組むようになります。イラク戦争からの帰還兵であり、テレビの料理バラエティ番組に出演したウェズリー・ダーデンさんも彼の弟子の1人でした。しかし、ウェズリーさんは自ら命を絶ってしまいます。
ウェズリーさんが銃で自殺した前日の深夜、彼からの電話を取れなかったことをラッシュさんは今でも後悔していると語ります。弟子の作り笑いがSOSのサインだと分かっていたはずなのに何もしてやれなかった……。自責の念から、ラッシュさんは自らのPTSD体験について積極的に発信するようになります。そして退役軍人の自殺防止意識を高めるために2222回の腕立て伏せを始めました。
「1回体を押し上げるごとに失った人たちのこと、とりわけウェズリーのことを思い出す。今もPTSDで苦しんでいる人のために俺は腕立て伏せをしているんだ。俺のような男もPTSDに悩まされたことを知ってもらい、助けを求める声をあげて欲しいと伝えたいんだ」
画像とソース引用:rebootcamp.militarytimes.com[リンク]
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