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板垣恵介先生による人気格闘マンガ『刃牙』シリーズの第二部『バキ』・最凶死刑囚編のTVアニメがついに放送スタート! みなさん第1話、第2話はご覧になりましたか?
最初のシリーズ『グラップラー刃牙』は2001年にTVアニメ化されていますが、今回の『バキ』は「今までを遥かに上回るレベル」と板垣先生も評価。今年3月に開催された<AnimeJapan2018>のステージイベントでは、アニメのプロデューサーが「豪華声優陣を約束」「臨場感のある音にこだわる」「放送コードをぶっちぎる」と宣言!
さらに、板垣先生と今作で刃牙を演じる声優・島﨑信長さんが登壇し、ファンの期待感を煽りました。
アニメ『バキ』のオーディションで島﨑さんは、監督から「みんな力むんだよね」と言われたことにより、「演技プランをガラッと変えた」と言います。
「刃牙は、父親がたまたま地上最強だったから自分も最強にならなきゃいけないだけで、父親が地上最弱だったら、自分は2番めに弱い生物でいいと語る場面があるんですけど、それがすごく印象的で。もしも父親が範馬勇次郎じゃなかったら、意外と普通に青春を謳歌しているような子になったのかもな、というイメージがあった」と、監督の求める刃牙像を探っていった島﨑さん。
果たしてどんな刃牙を目指して演じているのか。また、原作ファンが期待できるものになっているのか、ファンでもある島﨑さんが見て痺れたシーンなども伺ってきました!
――今回、範馬刃牙に決まったときのお気持ちを聞かせてください。
島﨑:素直に嬉しかったですね。原作も続いていて、自分自身も学生の頃から読み続けている作品。それをまさか主人公の刃牙というポジションで任せていただけるということは、本当に光栄なことでした。そして、オーディションも珍しく手応えを感じていたので。オーディションで手応えを感じたからといって受かるものでもなくて、自分の中で「どうだったんだろう?」とわからなかったものが受かったりすることも多くある世界なので、手応えがあって本当に受かったというのは嬉しかったですね。
――オーディションの際に、監督から「刃牙はみんな力むんだよね」と言われて、少しやり方を変えたとおっしゃっていましたが、島﨑さんのタイミングでそれを言われたのも運命という気がしますね。
島﨑:僕らのお仕事っていわゆるディレクションという形で、「こういう風にして欲しい」とか、イメージや情報をもらってそこから自分の持っている情報や経験、ひらめきなどを総合し解釈して表現する部分が大きいと思うんです。だから監督たちは、きっとこういうビジョンを持っていて、こういう刃牙を描きたいんじゃないかな?って自分の中で想像して、大きく自分の中で振り切ることができました。そうやったものが実際に合っていたというのは、とても嬉しかったです。それが1年前の僕や、1年後の僕だったらまた違うことしていたかもしれないので、その指示を受けてピッタリな表現が出てくるこの時に、アニメ『バキ』のオーディションを受けられたのは本当にご縁だなと思いますね。
――オーディションの際に監督が求めているのは、学生である刃牙や、等身大の青少年らしさなのかな、と島﨑さんは感じたそうですが、実際に演じてどんな刃牙になっているのでしょうか?
島﨑:どうしても戦う人間として、範馬勇次郎の息子であり、範馬の血を引いている強者としての部分にフォーカスが当たってしまいがちなんですけど、特に原作の“最凶死刑囚編”というのは、範馬刃牙の内面や成長がとても描かれているところ。それは戦う人間としてもそうだし、普通に青少年としてもそう。精神的な成長が描かれている部分でもあるので、実際に演じていくと、監督が描かれているビジョンもよりしっくりきています。
嬉しかったのは、刃牙に決まってから、また自分の中でいろいろイメージを膨らませて、1話の収録に臨んで、とても早くスムーズに終わったんですよ。監督が、「オーディションのときよりもずっといい!」って言ってくださって。「第1話は最初だしもっと時間かかると思っていたら、オーディションからこのアフレコまでの間ですごく作り上げてきてくれたんだ、ありがとう」と言ってもらえて、すごく嬉しかったですね。
――第1話に挑むまで、どのように島﨑さんの中で刃牙像を作り上げていったのでしょう?
島﨑:まず、力を抜こう、って思いました。改めて作中での刃牙のポジションを考えると、周りのキャラクターがとてもわかりやすく強そうだったり、実際に大先輩のキャストばかりで声の圧や響き、説得力がとんでもない。本当に最強メンバーが敵も味方も揃っている中で、意外と死刑囚編序盤の刃牙というのは、どこか気が抜けているというか、やる気がない。実際に精神的に甘い面を突かれたりもするし、本人は戦いよりも恋愛的な部分に少し意識が向いていたりもするので、ある意味ちょっと周りから浮いているんですよね。テンションや熱量の差があるというか。そこを表現できたらいいなと思っていました。
実際に収録現場に行くと、周りのキャラクターの圧力がすごくて、その圧で来られると同じ圧で返したくなるんですけど、そうじゃなくて、この死刑囚編序盤の刃牙は同じ熱量で返さない。そういうところなど、1つ1つ原作を読み返しながらイメージを広げていったら自然と深まっていきました。あとは、第1話は画もすでにフルカラーで出来上がっていたので絵の力だったり、周りの先輩方のお芝居の力で最終的に監督に良いって言って貰えるものになったんじゃないかなって。僕1人じゃ絶対に無理だったと思うし、現場で出来たものだなと思いますね。
島﨑:あんまり、考えすぎない、決めすぎない。オーディションのときに言われたこともふまえて、刃牙と同じように僕自身も柔軟にいい具合に力を抜いてやろう、と思って取り組みましたね。
――第1話からアフレコの段階でフルカラーで絵が出来上がっているって珍しいですよね。
島﨑:スタッフの気合いが見て取れましたし、さらに、すごくホッとしました。「ああ、これはすごい!これならファンのみなさんも納得だ」と思える映像だったので、自分自身のテンションもより上がるし、この画作りに応えたいなと思いました。しかも、絵のクオリティーだけじゃなくて、とても原作をリスペクトした内容になっていて。だからこそ、TV放送する上ではなかなか難しい部分もでてくるのですけれど。「放送コードをぶっちぎる」とプロデューサーが言っていましたが、実際に一切日和らず、ショッキングな部分も含めて『バキ』って作品の魅力なんだぞ!と伝えようとしているのが僕たちにも伝わってきました。
――まさに、「放送コードをぶっちぎる」宣言が気になっていたんですが、実際に現時点まで絵を見ていていかがですか?
島﨑:第1話の時点で、特に最初からフルカラーだったのもあって、「これ本当に地上波で放送できるのかな」と思いました(笑)。実際にそんな話を現場でもしていました。
――Netflix先行配信とはいえ、TOKYO MXなどの地上波でも放送しますからね。
島﨑:だって、そもそもですよ? 地下闘技場だって非合法なものなのに、今回の敵が最凶死刑囚ですからね! 最も禍々しい“最凶”はいいとして、“死刑囚”ですから。それぞれの死刑囚が死刑執行を受け、執行人たちを殺傷し、日本にやってくるって時点でもうちょっとダメじゃないですか(笑)。
――もう倫理観は破綻していますね。
島﨑:結局、最凶死刑囚って時点でもうアウトなんですよね。でも、画作りも一切妥協することなく出来上がっています。
――では、原作ファンも期待できると。
島﨑:はい! 別に「このシーンまずいからカット」というのはなかったと思います。もちろん尺の都合で描かれるシーンの比重の差はありますけど、たぶん放送コード的にカットした部分というのはないと思います。ただ、TV放送だとどう処理されるかわからないですし、今この話している段階で、急遽TV局側から「やっぱりこれ放送無理」って言われる可能性すらあると思いつつ、僕たちは今一切妥協することなく頑張っています(笑)。
――でも、パッケージ版(DVD&Blue-ray)になれば完全版が観られますもんね。
島﨑:もちろんパッケージになったら無修正、Netflixも間違いなく無修正で観られます。TV放送では、各TV局のご判断で暗くなったり何かしらの処理がされるのではないかと予想しています。ドリアンなんて最初から連鎖首吊りみたいなのしてましたからね。あと、柳の脱獄シーンで脳みそ吹き出すのはやばいんだよなぁ(※柳のこのシーンはTOKYO MXでは画像処理がかかっていました)。
――島﨑さんが観て、痺れたシーンはどこですか?
島﨑:原作ファンの方はそうだと思うんですけど、『バキ』ってシリーズ通して、生徒Aとか兵士Aみたいなセリフですら、すごく印象的なんですよ。1つ1つが言いたい名台詞みたいな。例えば、『グラップラー刃牙』だと、僕だったら「オイオイオイ」「死ぬわ アイツ」ってセリフすごい言いたい! 炭酸抜きコーラの説明とかすごいしたい(笑)! 第1話の初っ端から、モブのキャラクターたちのセリフが熱いんですよ。花山対スペックなんかは、あそこが名試合なのは言うまでもないんですけど、あの解説する警官まで痺れる。
メインキャラクターが痺れるのは言わずもがなだし、名言も多すぎてみなさんいくらでも浮かぶと思うので、メインキャラには常に痺れっぱなしなんですけど、ちょっと刃牙に絡んでくる不良たちですら痺れるんですよね。いたなー、分銅使ってるやつ!とか(笑)。刃牙が「これ、通信販売だろ」って言うんですけど、いたいたー!!って思ったり、モブキャラもいいんですよね~。だから、メインキャラはもちろん、そういう1人1人のセリフにも痺れていますね。
――前半での見どころを教えてください。
島﨑:割りと序盤で一番大きな戦いは間違いなく“花山対スペック”だと思うんです。まず最初の死刑囚対闘技場戦士の大舞台で、序盤の大きな山場。本当にこの戦いはめちゃくちゃ名試合だし、両雄に惚れる。花山もスペックも、どっちもカッコよくて魅力を感じるバトルです。今回アニメから見る方も、このバトルを見ると、『バキ』ってこういうものなんだ、と感じてもらえると思うので、まずはそこを楽しみにして貰えればと思いますね。
――死刑囚も闘技場戦士も、大ベテランのキャストさんばかりですが、アフレコ現場はいかがですか?
島﨑:めっちゃ楽しいですね! こんなにすごいメンバーが勢揃いしていて、しかもご一緒できるって滅多にないので、本当にすごく幸せな時間だなと思いますし、ほぼ毎週飲みに行ってるんですよ。先程話したように、収録も早く終わるので、そのままけっこういい感じの時間まで飲んで(笑)。もちろん、その時々で行ける方、行けない方がいらっしゃいますけど、なかなか普段は話せない先輩方から、お酒の席だとよりいろいろなお話が聞けます。現場で芝居を学ばせてもらいながら、飲み会でも芝居や人生について、ユーモアがある単純に楽しい話など、本当にいろいろな面で学ばせてもらえて、とても楽しくて仕方がないですね。
――そのベテラン勢がいる中、花山薫は島﨑さんと公私共に交流がある江口拓也さんが務めてらっしゃいますが。
島﨑:いやぁ、こう来たか、と思いました。でも、僕の予想では、僕が刃牙ということは、花山も若い人だろうなとは思っていたんです。死刑囚編では、戦うキャラの中で花山が唯一、刃牙の友達と言える存在だから、たぶん僕と近めの人が来るだろうな、と想像していたんですよ。そうしたら江口だったので。
楽器って低い低音パートのものほど大きいじゃないですか、例えばチューバとか。それは人間の身体も同じで、身体に響かせて声を出すので、基本的には大きい人ほど響きが広がるし、低い声も出やすいことが多いんですよ。そういう意味で、このキャスティングは「なるほど!」となりました。江口と聞いて、背の高さって意味でも納得したし、年の近さや友達感というところでも納得しました。
特に江口とは、アニメ『俺物語!!』で猛男と砂川という親友役で共演していて。その時も猛男が大男だったんです。
――あのキャスティングは発表されたとき驚きました!
島﨑:そうですよね! みんなビックリしたと思うんですけど、放送してみたら本当にしっくりくるものになっていたので、それもあって今回納得したし、江口と「また親友役だな」って話をしました。身体の大きさ具合も『俺物語!!』のときと同じ感じなので、ちょっとその頃を思い出しました。やっぱり、縁というのはあるな、と思いましたね。
――島﨑さんが、これは「自分は最強だ」と思うことを教えてください。
島﨑:声優という仕事に対して、僕は才能があるかはわからないけれど、でも、この仕事を楽しんでいるという意味では才能はすごくあるなと思います。元々、アニメや漫画、ゲームなど声優が関わっているものが大好きで声優になったんですけど、声優になってもそれがずっと楽しいまま。実際に『バキ』でもファンのように収録後の飲み会で“バキトーク”を繰り広げたり、現場でも1つ1つのモブのセリフにすら感動して、本当に楽しんでいるんですよ。だから、役者としても楽しんでいるし、先輩方とめちゃくちゃ楽しく幸せにやれている。同時にファンとしても楽しめているので、「楽しんでいる」という意味では、最強かはわからないけれど、僕はけっこう強いんじゃないかなと思っています。
――元々アニメや漫画、ゲームが大好きだった身としては、今の生活は夢のような状況なのでは?
島﨑:先がわからないお仕事ではありますけど、現時点でこんなに恵まれているなんて、思ってもみなかったです。声優になろうと思った自分だって、今の状況になれると思ってなかっただろうし、ここまで恵まれているとはたぶん思ってないと思う。めちゃくちゃ恵まれていると思います。人にも縁にも作品にも運にも恵まれまくって生きております(笑)。
――では、共演キャストの中で“最強”のキャストは?
島﨑:いや、もう最強しかいないじゃないですか(笑)! 逆に最強じゃない人います!? でも、僕にとって子安(武人)さんが、師匠のような方で。『健全ロボダイミダラー』って作品がきっかけで、子安さんと仲良くなったんですよ。その現場で、僕が叫ぶことの楽しさだったり、いろいろはっちゃけること、出し切ることを学べました。
子安さんが司令官兼師匠みたいな役どころで、僕がロボットに乗る主人公パイロットだったんですけど、その子安さんが演じる司令官がめちゃくちゃ熱くて、とにかく子安さんがずっと全力でとてつもないから、僕も楽しくてとにかく未熟ながら出し切る、全力で熱く楽しくやるって現場で、本当にいろいろなことを学ばせてもらったんですよね。そこから子安さんは、僕が出ている作品もけっこう見てくださったりしていて、共演するたびに毎回いろいろなお話をするし、僕の成長も見てくださっているんです。だから、『バキ』で一緒になったときに僕も嬉しかったし、子安さんからも「信長がどう成長したか楽しみにしてるよ」なんて言ってもらえるのが嬉しくて。僕にとって、子安さんは最強の師匠みたいなところがあるかもしれませんね。
――最後にアニメを楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。
島﨑:この『バキ』という作品は、とにかく面白いんです。原作ファンの方は『バキ』の面白さなんて承知だと思いますし、そんな『バキ』のすごいところを妥協せず、アニメーションとして表現しようと、敬意をもって全力で取り組んでいる作品になっておりますので、楽しみにしていただければと思います。原作をまだご存知ない、アニメからの方も、多少ショッキングなシーンや絵的に大変力強いものも多いんですけど、それが見ていったらどんどんたまらなくなってくると思いますし、引き込まれること間違いない作品なので、アニメきっかけで原作も読んでいただけたらもっと楽しくなります。
原作だと、今回のアニメの範囲の前の部分『グラップラー刃牙』は刃牙の幼少期から始まって、各キャラクターのバックボーンも見えるので、ぜひ、原作も一緒に楽しんでいただければ、もっともっとこのTVアニメ『バキ』が楽しめると思います。
――今回のアニメから入っても、原作を遡って楽しんだり、各シリーズで楽しんだりできますよね。今後のアニメも楽しみにしています!
「シリーズ全部をアニメ化して刃牙をやり続けたい!」と『バキ』愛が溢れて仕方がない様子の島﨑さん。キャストのテンションも上がるアニメ『バキ』。まずは、山場の“花山対スペック”の戦いを見届けましょう!
ちなみに、AnimeJapan 2018のステージで島﨑さんが板垣先生に「漫画を描く上でのポリシー」を尋ねると「毎回のテーマは“ショック”。驚かせる。そうしなければ売れない!」と力強く断言されていました。板垣先生こだわりの“ショック”をアニメでも体感してくださいッッ!
TVアニメ『バキ』
6月25日より、NETFLIXにて先行配信!
7月1日より、TOKYO MX1ほかにてTV放送中!
<STAFF>原作:板垣恵介(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:平野俊貴 シリーズ構成:浦畑達彦 キャラクターデザイン:鈴木藤雄
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
http://baki-anime.jp
(C)板垣恵介(秋田書店)/バキ製作委員会
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