- 週間ランキング
どうもどうもどうも! 特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!
あなたはサイコパスと呼ばれる人々にどのような印象を持ちますか?
簡単にいうと、サイコパスとは、“反社会性パーソナリティー障害”という精神病者のことです。
一般の人々と比べて著しく偏った考えを持ち、反社会的な行動を取ったり、対人コミュニケーションに支障をきたす人格障害の一種。
サイコパスの人々の主な症状としては、一部の感情や他者への愛情や思いやりの欠如、自己中心的である、道徳観念や倫理観、恐怖を感じることが少ないといったことが挙げられるそうです。
サイコパスの原因とは、先天的な脳障害と、幼少期に受けた影響を要因にした後天的なものなど、数多く考えられていますが、現状がはっきりとわかりません。全人口の男性3%と女性1%が該当するといわれ、日本全体では、その数は150万人にものぼるのです。
最近では、映像作品や小説などの影響で、≪サイコパス=猟奇殺人を起こす人≫というイメージがありますが、それはごく一部。経営者や医者などにも多く、仕事などで優秀な実績を残す人が多いといわれています。
ですから、あなたの近くにもサイコパスと呼ばれる人は実際にいるんですよね。
今回は、個性的な友人が多い僕の女友達である女優さん(もちろんサイコパスと診断を受けた方)に、本当のサイコパスの人は一体何を考え、どんな生活を送っているのかをお聞きすることにしてみました。さぁディープなサイコパスの世界、いろいろと教えてもらいましょう。
取材をさせていただいたのは、僕原作のWebドラマにも出演してくれた女優の吉田知永さん。
東映映画村の俳優養成所に38歳で入所。元々モデル業はやっていたので、女優になる道を選びました。養成所では舞台などで活躍されていたですが、バイク事故で生死の境をさまよい、重い後遺症が出てしまったのです。いい方なので、いろいろと作品にお誘いしている方です。
丸野「どうも、お呼びたてしてすいません」
吉田「いえいえ、最近はサイコパスについて誤解されている部分が多いので、全然説明しますよ」
丸野「では、実体験を交えてお願いします。そもそも、どういった家庭環境でお生まれになったのですか?」
吉田「芸能一家なんですよ。歌手とピアニストの間に生まれたんですけど、面白い親でしたよ」
丸野「サイコパスに気がついたキッカケを教えてください」
<写真:(c)Webドラマ『木屋町事件師稼業』第4話>
吉田「18歳~19歳の時にはサイコパスと気がついていたんですよ、なんか人と違うな、と。例えば、グロいものを観ても、心が動かない。怖くない、感情が湧かない。テレビで報道される凶悪犯罪者の心情がわかる、みたいな。テッドバンディー(※髪の毛がロングでセンター分けをした美女を連続殺害した事件の犯人)に興味があってですね」
丸野「気持ちがわかるということですね?」
吉田「ええ。それに、人が死ぬことへのショックという感情がない。小さなときにショックだったのは、人の死よりも火葬することでした。これが人生で最初で最後のショックだったことですかね。人が死ねば、そのままの姿で、安置されるものだと思っていましたから、幼いときは“焼かれる”と聞いただけでオイオイ泣いてました。なんか変だなぁ、と考えていて、」
丸野「ほほう。よくサイコパスの人は残酷な動物虐待をしたりするというイメージがありますが……」
吉田「それは、私はできません。タイプによってまちまちなんですよ。人に関してならできますけど、動物って弱々しくて可愛いものだからしませんね。特に、私は早く子供を産んだからサイコな事件を起こさないというタイプだと思います。もちろん起こす人もいますけど」
丸野「猟奇殺人者ではないんですね」
吉田「人なんかを殺すのはごく一部です。ただのイメージですよ。でも、人を殺すことって何が悪いのかわからない、という考え方はありますね。無感情なんで。道徳観が欠如しているというか」
丸野「サイコパスな人の特徴としてはどのようなものがありますか?」
吉田「サイコパスのほとんどがそうだと思いますが、子供のころから嘘つきですね。それで、妄想なのかウソなのか、本当なのかがわからなくなってくる。ここから虚言につながってくるんですよ。みんなそうだと思いますよ」
丸野「ほほう~、みんな嘘をつくのがうまいと」
吉田「サイコパスが多い職業として、判事、弁護士、経営者、政治家があります。嘘つきですから(笑)」
丸野「その他には?」
吉田「あとは攻撃的な刑事という職業、一番多いのは医者ですね。そんなねぇ、普通の感覚で人を平気でザクザク切ったり貼ったりできませんよ、普通は」
丸野「そりゃそうですよね。でも、比較的社会的に地位の高い人が多いんですね」
吉田「まちまちですけど、サイコパスって頭がいいんですよ。だから、いい職業に就くことができると」
丸野「昔、売れた書籍で『隣のサイコさん』というのがありましたが、その中では、盗聴されていると思い込む人や自殺未遂マニア、変人発明家、男性偏愛の女性、虚言癖、覚醒剤中毒、誇大妄想狂などが紹介されてました。全然違うじゃないですか」
吉田「それはサイコパスではないです。社会性ありきの頭がおかしい人ではないわけです。しかも、自分はサイコパスではないと、バレないように演じるのに重きを置いてます。サイコパスとどう向き合って生きていくか、を考えているサイコパスもいるほど冷静なんです。表の顔と裏の顔をうまく使い分ける自分の欠点までわかっています」
ここで、サイコパスの特徴をまとめてみました。
<写真:(c)Webドラマ『木屋町事件師稼業』第2話>
1. 口達者で表面的な魅力がある……人を引き寄せやすい
2. 誇大的な自己価値観
3. 刺激を求めやすい
4. 病的に虚言を繰り返す
5. 人を操作するために偽り騙す傾向がある
6. 良心や罪悪感が欠如している
7. 浅い感情
8. 冷淡で共感性がない
9. 行動のコントロールができない
10. 性行動が奔放
11. 幼少期の問題行動を起こす
12. 現実的・長期的な目標を立てるのが苦手
13. かなり衝動的
14. 数多くの婚姻関係
などがあります。
丸野「サイコパス、イメージが変わりました。でも、サイコパスよりも面倒なパーソナリティー障害があるそうですね」
吉田「ええ。それが“ソシオパス”です。ソシオパスは、後天性なパーソナリティー障害で、育った家庭環境が悪く、様々な虐待を受けていたトラウマなどがあったりします。ソシオパスは衝動的で行動に一貫性がなく、自分と同じ考えのコミュニティーをつくりたがります。サイコパスと違い、長期的な仕事に就くことやごく一般的な家庭生活を営むことができないんです」
吉田さんの話では、ソシオパスが犯罪を起こすとき、自らのリスクや成り行きを考慮せず、無計画で衝動的に実行する傾向があるという。すぐに興奮し、激怒したり、爆発的な暴力傾向が強く、犯罪がすぐにみつかり、逮捕される確率が高くなるといいます。これは薄っぺらい嘘をつくからと言えるでしょう。
さらにソシオパスは、自分の欠点がわからず、何の自覚もない、責任感もほぼない。皆さんの周りにもいるのではないでしょうか、口ばかりで仲間をすぐにつくりたがり、迷惑をかける人間が……。それはソシオパスである可能性が非常に高いのです。
丸野「今後、吉田さんはサイコパスというパーソナリティー障害を抱えながら、どのように生きていかれるのですか?」
吉田「そうですね、私はサイコパスと言っても、社会性が芽生えるのが早かったので、家族とごく普通の生活を営んでいます。だからこそ、どうしても刺激が欲しいという思いがあって、女優として自分とは違う人格と“非日常”を演じることを選んだんですよね。今後は、様々な表現の場で活躍していきたいと思っています」
丸野「こうやって話していても、全然普通ですけどね。サイコパスってやっぱり頭がいいという印象が強くなりましたね」
吉田「そうですか、そう言ってもらえるとうれしいです。それにこうやって大きく勘違いされているサイコパスについての論文でも書こうかな、とも思っています。みんな考え方が別なように、私も持って生まれてしまったものなので、サイコパスというものに向き合いながら頑張っていこうかなぁと思っています」
丸野「そうですか。頑張ってください。今日は本当にありがとうございました」
インタビュー協力/吉田知永
カメラマン/鶴丸和彦
撮影場所/株式会社クリエイターズバンク
(c)写真AC
―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 丸野裕行) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか