今回はすくらむさんのブログ『すくらむ』からご寄稿いただきました。


谷査恵子氏(元昭恵氏付職員)の「昭恵氏の指示なかった」はノンキャリ国家公務員の仕事おとしめるもの(すくらむ)


3月28日に配信された朝日新聞デジタルの記事です。



昭恵氏付の職員だった谷氏、指示や関与を否定朝日新聞2018年3月28日09時24分*1


 学校法人・森友学園をめぐる国有地の取引問題で、安倍晋三首相の妻の昭恵氏付の職員だった谷査恵子・在イタリア日本大使館1等書記官が27日、同大使館が管轄するマルタで朝日新聞の取材に応じ、昭恵氏の指示や関与を否定した。


 谷氏は2015年秋、取引について財務省に問い合わせ、学園前理事長の籠池泰典被告=詐欺罪などで起訴=にファクスで回答していた。回答には「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」と記されていた。この表現について、谷氏は「(籠池前理事長が)夫人と直接やりとりされているような方だったのでそのように書いたのであり、意味はない」と説明。問い合わせが昭恵氏の指示によるかについて「いろいろ言われているが、そういうことはない」と述べた。


 こうした問い合わせが取引に影響したかについて、谷氏は「なかった」と否定。野党側が谷氏の証人喚問を求めていることに対しては「(国会に)出るかどうかは自分で決められることではない」と語った。


*1:「昭恵氏付の職員だった谷氏、指示や関与を否定」2018年03月28日 『朝日新聞デジタル』

https://www.asahi.com/articles/ASL3X20RPL3XUHBI004.html


 この報道について、経済産業省の仲間でつくる全経済産業労働組合副委員長の飯塚盛康さんが谷さんに宛てた手紙を書いてくれたので以下紹介します。


谷査恵子さんへ


 昨年3月23日、籠池泰典氏が証人喚問で安倍昭恵付職員の谷さんからFAXをいただいたと発言しましたが、その翌日、国会で菅官房長官は谷さん個人が行ったものだと答弁しました。


 私は3月25日のFacebookに、国家公務員が昭恵氏や上司の指示も受けずにこのようなことを行うはずはなく、昭恵氏も菅官房長官も谷さん個人に責任を負わせることに元経済産業省の職員として腸が煮えくり返る思いだと書いたところ、昭恵氏ご本人から「谷さんに責任を負わせようなどということは勿論思っていません。こんなことに巻き込むことになってしまい申し訳ないと思っています」というメッセージが来ました。


 しかし、その後昭恵氏はそのことについて何の説明もしていません。また、政府も質問趣意書に上司に相談もなかったと回答するなど、徹底的に谷さんが個人的に行ったことだとしてきました。


 国家公務員は入省すれば組織の一員として、上司などに判断を仰ぎ、決して個人の判断で業務を行ってはいけないと教えられてきました。少なくとも、あなたや私がいた経済産業省ではそう教えてきました。


 FAXの回答に「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」と書いたことに「(籠池前理事長が)夫人と直接やりとりされているような方だったのでそのように書いたのであり、意味はない」と言ったそうですが、あなたは相手に手渡す文書に意味がない文章を入れるのですか? この文書を受け取った籠池氏が昭恵氏もこの案件について承知していたと受け取ると考えなかったのですか? 文書を書くという重さを教えられなかったのですか?


 あなたは問い合わせについても昭恵氏の指示を否定していますが、あなたは20年近く仕事をしていて、上司が直接やりとりをしている人からの問い合わせについて、個人の判断で他省庁に問い合わせたことがあるのですか?


 あなたは直接の上司である昭恵氏にも、職責上の上司である室長にも相談せず、指示も受けないでやったということですか?


 3月27日の証人喚問で佐川宣寿氏(前財務省理財局長)はFAXの件は谷さんが田村国有財産審理室長に電話で問い合わせし、電話で回答をもらったと言いました。あの回答内容を見れば文書でやりとりしたのは明らかですが、これは財務省が文書を出さないための答弁です。しかし、これによってあなたは上司(昭恵氏)が親しい人(籠池氏)だからということだけで個人的な判断で自分勝手に財務省の室長に電話で問い合わせをする職員ということになったのですが、それでいいのですか?


 また、あなたが籠池氏に送ったFAXには、「引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。」とも書いてあります。あなたの説明では昭恵氏の指示もなく、個人の判断でやったことになりますが、「当方としても見守ってまいりたい」とあなた個人が勝手な判断でこの森友案件を見守るとはどういうことなんでしょうか? 民間企業に置き換えると、その企業の役員でもなんでもない社長夫人がいて、その社長夫人の親しい人に対して、ヒラ社員が個人の判断で勝手に企業が所用する土地を格安で売ることを進めたことになります。民間企業においても考えられないことですが、国家行政を担う国家公務員のルールとしてもあり得ません。


 もし、あなたが国家公務員として最低のルールを犯してまで業務を行ったというのであれば、多くのノンキャリは上司に相談もせず、指示も受けず、個人の判断で仕事をするというレッテルを貼られることになりますよ。


 あなたは佐川氏と口を揃えたように「昭恵氏の指示はなかった」と言いますが、佐川氏はキャリアであなたはノンキャリという違いがあります。ノンキャリのあなたがこんなことを個人の判断で勝手にできないことは、国家公務員なら誰にだってわかることです。あなたがこんなウソをつき続けることは、キャリア官僚の下で、黙々と国民のための仕事をしたいと日々奮闘している何万人というノンキャリ国家公務員の「全体の奉仕者」としての誇りを傷つけ、国家公務員の仕事そのものをおとしめる行為だということは肝に銘じてください。


 一方で、ノンキャリ職員のあなたに国会で証言させることになれば、その重さにあなたがつぶされかねないと心配もしています。昭恵氏が「谷さんに責任を負わせるつもりはない」と言うのなら、昭恵氏自らが国会で証言すべきだと私は考えています。(全経済産業労働組合副委員長・飯塚盛康)


執筆: この記事はすくらむさんのブログ『すくらむ』からご寄稿いただきました。


寄稿いただいた記事は2018年03月31日時点のものです。


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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 谷査恵子氏(元昭恵氏付職員)の「昭恵氏の指示なかった」はノンキャリ国家公務員の仕事おとしめるもの(すくらむ)