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※注意・インタビュー内に、本編のネタバレ要素が若干あります
少年マンガ『炎の転校生』がNetflixのオリジナルドラマ『炎の転校生REBORN』として2017年11月10日(金)の配信が決定しました。
『炎の転校生』は1983年から1985年まで『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載されていた作品です。島本先生のデビュー2作目にして、大人気となった代表作でもあります。原作は、主人公の滝沢昇が転校を繰り返し、行く先々で事件を解決するという熱血アクションコメディ。
2017年にNetflixで生まれ変わった『炎の転校生REBORN』は、ジャニーズWESTの主演による実写化となります。
……そう、実写化なのです。原作ファンからすると、“ジャニーズタレントによる実写化”と聞いて「えっ?!」と思うかもしれません。実写化に伴う「コレじゃない感」は筆者にも覚えがあるので、ファンの不安はものすごくよくわかりますが、ご安心あれ。
原作のテイストであるあの「熱血ベースのロジック」やテンポ、キャラクターの濃さといった演出は見事に継承されています。視聴開始から60秒で不安は安堵と笑いへと変わるでしょう。
本作の特筆すべき点は、ジャニーズWESTのメンバー全員が、主演として7人の「駆(かける)」を演じていること。本人たちの素の部分も少なからず含まれているという、それぞれの駆というキャラクターの“立ち”方が抜群です。
今回は『炎の転校生REBORN』完成を記念して、原作者である島本和彦先生にインタビューをいたしました。“常にテンションMAX”と噂の島本先生とのやり取り、お楽しみください。
(取材開始前、カメラバッグから一眼レフを取り出す筆者。それをじっと見ている島本先生)
島本和彦先生(以下、島本):カメラ撮影するの?
―― はい
島本: カメラの機種は何?
―― EOS 6Dですね。キヤノンの
島本: キヤノンかぁー(笑)
―― でも(ニコンの)D850この前、レビューで僕触りましたよ
島本: (身を乗り出して)おお!触った?どうだった??
―― すごく良いです。Nikonに乗り換えようかなって思うくらい。センサー自体が今までと根本的に違うんですよ
島本: 今、D810使ってるんだけど、迷ってるんだよなあ。そんなにいい? 新機種が出るとさ、色んな解説本が出るじゃない? 810買った時にはいろんな写真家が撮った写真の撮り方が、(解説本で)手に入るわけよ。
―― ああー! なるほど
編集担当:あの、本題の方を……
島本: あー、そうだそうだ!(笑) 今日はよろしくっ!
―― 『炎の転校生REBORN』拝見させていただきました
島本: ありがとうございます。
―― 原作のテイストを損なっていないな、という感想なんですが、先生からご覧になって、いかがでしょう。ドラマの感想からいただけますか?
島本: 今まで(の取材)と全然違うこと言おうかな(笑)。カメラ話で盛り上がったし(笑)……
あ、それでなんだっけ?
―― 最初ご覧になって、どんなふうに感じられました?
島本: 「画面作りが非常にいいなあ」というのが最初見たときの感想だね。あと、ジャニーズWESTのメンバーひとりひとりをキチっと使っているなぁ、と。それとリングの周りにたくさんガヤが居たんだけど、ガヤにたくさんお金かかってるのが良かったなあ、って思ったね。
ガヤにいるのが、みんな結構若い男の子女の子で、それ見てるだけでも若さのエネルギーがあっていい場面だったよ。
ただ、最初はあんなに若いガヤをたくさんつかってゾンビとかやらせてたのに、後半出てくるガヤってなんかくたびれたオヤジ多いんじゃねえの? とは思った。最初にカネ使い過ぎたのかとか、すごく色んな邪推をしましたね(笑)
―― 作り手としては裏方に目が行ってしまう
島本: いやあなんかね、後半になるにしたがって期待度は高まるの。けど、7話で……「どうしたおい」って(笑)。「どうしてこんなくたびれたオヤジをライバルに出してくる! 対決物のセオリーにかなってないぞ」とは思いました(笑)。
――でも、作品自体はキッチリ!
島本: そうですね。あと、原作者もどきが出てきますけどね。(一同笑)
私原作のドラマとかアニメとかで、私が声やったり本人が出てきたりすることがあるんだけど、それを楽しみにしている私のファンは、どんな気持ちであの瞬間を迎えるのかと思うと、それを知りたいね! (一同爆笑)
―― SNSは良くチェックされるんですか
島本: それはすごいチェックする。いろんなところからの“風の流れ”を知らないと。やっぱりね、コミケもそうだけどね、表紙を上げたときにババババッ! とリツイートされるか、全然リツイートされないかで変わってくる。もう本の内容じゃなくて、「あ、これなんだな」っていうことを最近勉強した。
だから、そこまで持っていくためには、世の中の空気の流れを知らなきゃいけないし乗らなきゃいけない。Twitterってそれを知ったり作ったりする上ではすごく重要だなと思ってる。
今回も『炎の転校生REBORN』のNetflixさんの告知があったんですけど、私は今一切それについての情報とか感想とかは(制作上の都合で)つぶやいてないんです(※取材実施日9月時点での話)。けど、ほかの人のつぶやきとか見ながら「ああ、こういう考えの人が居るんだな」っていうのを見ています。非常に楽しみですよね。
―― みんなのつぶやきは先生にきちんと届いている、ってことですよね
島本: あんまりそんなこと言って、(みんなが)つぶやかなくなったら困るなー。
―― どんどん気兼ねなく言ってほしい!?
島本: いやいやいや、気兼ねて! 気兼ねてつぶやいてほしいです!(笑)
気兼ねないのは傷つくからダメ!(笑)
―― やさしさと一緒に
島本: そうそうそう。
―― ジャニーズWESTのみなさんはいかがでしたか
島本: ひとりずつが自分の得意技って言うか持ち味を発揮しているから、全然違和感がないし、自然に楽しめましたね。
―― “作られた感じ”が全く無くて、もともとあったキャラクターであるという印象すら受けました。すごかったです
島本: そうですね! それは脚本の人が上手なのか、ジャニーズWESTさんが頑張ったのか、すごくね……よかったですね、自然で。最初のその重岡君の「かわいいー!」とかって言うところのあたりからは「ああ、なんかつかんでるね」って思いました。
―― 皆さん、元の作品のリスペクトがあって、今へ引っ張ってきてるんだな、って
島本: 小瀧君なんか絶対ああいうヤンキーじゃないんだろうけど、すっごくはまっててカッコいい。このドラマが終わったあと、この“ヤンキー小瀧君”が見れなくなるのはさびしいね、っていうぐらい。
―― キャラ立ってましたねえ。楽しんでやっているというか、あの世界観にはまることを自ら望んでいるっていう印象がありました
―― 先生が原作を描かれたとき目指したこととか、当時の思い出とかお聞かせください
島本: (炎の転校生は)本格的な週刊連載初めてだったんです。終わらせられたら困るから、とにかく毎回面白くしなきゃいけないと思ってたんですよね。でも絵が下手だったし、話の作り方もよくわからないんで、悪口書いたハガキとかどんどん送られてくるんですよね。(笑)
―― そうなんですか??
島本: 「もうこの連載はやめさせてください」とか。
―― 辛辣ですね
島本: うん。なんとか彼らの上を行かなきゃいけない、……それが間違ってたのかもしれないけど、とにかく上を行かなきゃいけないと思って。必ず一回の18ページの中には、3つは心に突き刺さるギャグを入れないとオレの負けだ、と思ってました。基本1ページに1個ギャグ、そして、1作品に3つはすごいギャグっていうのを考えて、作ってたんですよね。
―― 相当ですね……体にもこたえそうですけど
島本: 担当編集者が朝の4時とかに打ち合わせに来るんでそっちで体壊しそうでした。
(担当さんが)「24時に行く」って言って、4時間遅れてくるんですよ。もちろん、有名な先生のところに行った帰りなんで責められないんですけどね。
「ネームのアイデア会議しよう」ったってこっちは眠たさを通り越している中で喫茶店に呼び出されてね。「ココはおかしいから」とか、「アイデア出るまで帰らない」とか言い始めるの。
―― うわあ。怖い!
島本: 今回も水泳の話あるけど、マンガではゆかりちゃんが水泳の戦いやるんです。だけど「なんで水泳で潜って戦うのか、理屈が通ってない」と言い出す。「そこをはっきりさせない限りこれはOK出せない」って言って夜中の4時とか5時から始めるんですよね。日が昇ったくらいで、私が「水泳は潜りに始まり、潜りに終わる」でどうでしょうか? って言ったら「よし!これでOK!」(机をたたく)(笑) っていうような、そういうことをやってましたね。
あと、大陸学園が来て、伊吹三郎が突っ込んでって敵の一番偉いやつと戦いに行くんだけど「なんで一番偉いやつのところに戦いに行くの?」って。「その理由がわからない。それができるまで帰さない」って言うんです。その時は担当編集者もデートの最中で、彼女を別の椅子に座らせてこっち来てて「早く君が考えないと、オレはデートができないんだ」って言われる(一同爆笑)。
僕もなぜか「すいません!」って。
―― それ謝るところじゃない気がしますけどね
島本: (笑)なんでこいつが戦うの? って、30分か1時間くらい腕組んでる。すると「伊吹三郎って言うからには、二郎はいるの?」と言われたんですね。すかさず僕も「そうです! お兄さんが居るんすよー(バーンと机をたたく)、それが首領なんですよー!」って言ったら「よし!! 終わった!(バーン)」って(笑)。
―― デート行かれたんですね
島本: そうそうそうそう。覚えてるねえ、それはねえ。
―― すごいですね
島本: 頭の働かない時間に頭を働かすんだよね。
―― それ聞いちゃうと二の句が継げないですね。質問で「先生の独特の熱いストーリーはどうやって作られてきたのか」って考えてきたんですけど、これ、愚問ですね、今の話聞くと
島本: 敵がいて、それにどうやって勝つかっていうのが基本なんですけど、『炎の転校生』のときは「うぉーー」って叫ばせて走れば勝てるようになってた感じがありました。でも実は勝てなくて負けるっていうギャグマンガだからそういう風にしてたんだけど、そのうち「勝て」って言われて(笑) 。
「勝つってなんだ」と。いや、その相手に点数的にマンガで勝つことは簡単じゃないですか。そうじゃなくて、本当の勝ちはなんだろうっていったら、「うん、これは自分を乗り越えることだ!」みたいな。自分を乗り越えるってことは、乗り越えられない自分があったんだよね。じゃあ「乗り越えられない自分をまず描こう!」って言って、乗り越える自分を描いていく。その辺が熱く見えるところなんじゃないですかね。一応叫ばせるしね。
でも『アオイホノオ』は叫ばせないようにしようって言ってたんです。最初の方はとにかく“ギザギザ”のセリフは無し。だって、現実問題って叫ばないから。実際にやった以上の事は描かない。(アオイホノオでは)そうやってるんだけど、「うるさい」とか、「血管切れそう」とか言われるのが良くわからない。(一同笑)
―― コマの間からにじみ出ちゃってるんですかね
―― 島本先生、今回ジャニーズWESTのライブを見に行かれたと
スタッフ:ライブの後は重岡君の話ばっかりしましたけどね
島本: そう。ライブ中にちょうど重岡くんと目が合って。(サムスアップしながら)こうやったら、向こうも親指立てて返してくれてね。知らないオヤジなんだけれども(一同笑)
その瞬間「えらいなー!」って、もう。ファンになっちゃおう、って。
スタッフ:ライブ後にあいさつに行くことにはなってたんですが、メンバーの子たちも島本さんがそこに居る、ってのは知らなかったはずです
―― じゃ、一般のファンとしてファンサービスを返してくれた
スタッフ:なんか妙なオヤジがいるな、っていう(笑)。
島本: まあ、男は珍しいんでしょうね。でも、(親指立てて)コレやったらコレ返してくれたから。えらいなー。
スタッフ:たまたまファンサ(ファンサービス)返したら、島本さんだったっていう。
島本: その後、ちょっと顔合わせしようってことで楽屋に行ったんです。いや、一応ね、役者やる彼らに「島本和彦」(というキャラクター)を見せなきゃと思ってたんだけど、最初は私もどうしていいかわからなくて立ってたの。ハイテンションで行きたかったけどきっかけがみつからないとアタマおかしいオヤジになるから「困ったなあー」と思っていた(笑)。
そうしたら、みんな一列に並んでて「どうもー」って言ってたんだけど、桐山君だったかな「(すごく勢いのある感じで)今日のライブはどうでしたかーっ!!?!」ってポーンと出てきちゃってね。
―― おお
島本: ポーン! って出てきたから「(ものすごく勢いのある感じで)いやあー! 良かったよー!」って僕が言って、波長がビューンと合ったよね! あれね (一同爆笑)
いやー、助かった、ありがとう桐山君!(笑) もうそこから堰を切ったように全員と握手して! (笑) そういう波長の合い方って重要ですよね。
―― そうですね。でもそのお話聞いたら、既にその時から作品作りが始まってたというか、成功が約束されていた
島本: (向こうからハイテンションで来てくれたので)「ありがとう~~!」っていう。
―― コミケにちょくちょく参加されているそうで
島本: しょっちゅう参加してます(笑)
―― 昨年も参加されてましたが、反響とかはいかがですか
島本: そんなんでもないときと大きいときがあります。『シン・ゴジラ』のときは大きかったです。あんなに大きくなるとは私も思いませんでした。
―― 今後やってみたいこと、ってありますか?今回踏まえてでも
島本: 今回の『炎の転校生REBORN』が大ヒットして、こんなにおいしいアイテムなら続編作ろう、ってなったら、「ちょっとオレに監督やらせてくれない? 」って言ってみたい(一同爆笑)。ね、全部は無理だとしても。
『シン・ゴジラ』のときだって、東宝さんが「いやー、ありがとう島本君、君、映画一本くらい作ってみないかい?」って言ってくれてもいいのに(笑)
僕らもNetflixさんからね「一本くらい担当してもどうですか?」って来てもいいくらいにバカ売れしてほしいですね(笑)。
―― 次の監督を楽しみにしております(笑)。最後にガジェット通信をはじめとするファンの皆さんにメッセージをいただければ
島本: 『炎の転校生REBORN』は、観ていただいたら、繰り返し観たくなる作品に仕上がっていると思います。
自分が所持したくなる作品っていうのが私にとってはすごく良い作品だと思っているので、自分もそういうものを作ろうと思っています。何回も観たいし持っていると幸せになるっていうやつ。そういった意味では今回備わってるんじゃないかなー、って思いますね。
是非楽しんでください!
―― ありがとうございました
張りのある言葉で滑舌良くしゃべる島本先生、本当に好きな事や思ったことをストレートに投げかけてくれました。常に相手を楽しませようとする心遣いや、話すだけでもバイタリティを分け与えてくれるような先生の人柄は、作品と全く一緒でした。
Netflix『炎の転校生REBORN』もまぎれのない先生の分身です。ぜひぜひご覧ください。
『炎の転校生REBORN』
舞台は謎のエリート校〈種火学園〉。ある日、偶然にも〈駆〉という同じ名を持つ7人が転校生としてやってきて、学園の校長から特殊な任務を与えられることになる。それは、全国各地の学校に転校生として潜入し、問題を解決して学校を改善するという極秘ミッションーーその名も〈炎の転校生〉だった! 個性あふれる7人の駆たちが、プロレス、ゾンビ、時代劇、ラブストーリー、ホストクラブ、7人のニセ駆たちとの大運動会など、ジャンル的にはなんでもありの設定のなか、協力しあい、ときにはケンカをしながら、各校にはびこる悪や強敵に立ち向かい、成長していく。そして、ストーリーが進むにつれてひとつの謎が深まっていく。〈種火学園〉の校長・滝沢昇が駆たちを集めた本当の狙いとはいったい何なのか……?作品 : Netflixオリジナルドラマ「炎の転校生REBORN」(英題:Blazing Transfer Students)
配信: 2017年11月10日(金)、Netflixにて全世界配信
主演:ジャニーズWEST
重岡大毅、桐山照史、中間淳太、神山智洋、藤井流星、濵田崇裕、小瀧望
エピソード:全8話
原作:島本和彦「炎の転校生」(小学館「少年サンデーコミックス」刊)
監督:李闘士男 脚本:川邊優子ほか 音楽:佐橋俊彦
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