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夢の続きか、新しい人生か? ピクサー史上最大の衝撃的な展開が待ち受ける映画『カーズ/クロスロード』が7月15日より公開となります。
本作で日本版エンドソング『エンジン』を手がけたのが、ミュージシャンの奥田民生さん。奥田さんとピクサー映画というのはちょっと意外な組み合わせに感じますが、車好きの奥田さんはもともと『カーズ』ファンだったのだそう。
インタビューでは楽曲作りについて、男の人生や決断について、色々お話を伺ってきました。
―映画大変楽しく、奥田民生さんの日本版エンドソングも素晴らしかったです。映画をご覧になった率直な感想はいかがですか?
奥田:主人公のマックィーンを観ていて、なんていうのかな、まあ大人になったというか。言ってみれば老けたというかね(笑)。そういう点でちょっと共感できる部分がありますね。
―奥田さんはこれまでピクサーの映画はよくご覧になっていたんですか?
奥田:映画をあまりたくさん観る方ではないんですが、『カーズ』は車がしゃべるという事で車好きとしては観ねばと。もちろん前作も観ていますし、『カーズ』ファンだったのでお話が来た時は嬉しかったですね。僕は昔のアニメを観ていた世代なので、最近のアニメーションはすごいなあと思います。一方で、技術は進化していても昔のアニメにも車がしゃべるやつがあったりして、そういう懐かしさも感じたり。
―『カーズ』の中で好きなキャラクターは?
奥田:車のタイヤ交換する人ですね、グイド。職人で自分の仕事に徹していて。メーターも好きですけど、吹替版だとぐっさん(山口智充)の顔が浮かんできちゃうんで(笑)。
―今回の楽曲『エンジン』はどういったことをイメージして作られましたか?
奥田:『カーズ/クロスロード』のストーリーに沿って作っているので、自分の曲が流れた瞬間(映画と)違うものになっていなくて良かったなと。曲調もそんな軽いタッチでもなく、今回のストーリーにはあってるのかなって思いながら聴いていました。
―このシーンを思い浮かべながら、とかあったのでしょうか?
奥田:やっぱり走るシーンですよね。レース場で走っているのもそうですけど、普通の道だったり、トラックが走っているとことか。まるで実写の様な“引き”のシーンがあったと思うのですが、ああいう瞬間がイメージにあって。マックィーンはレーサーですけど、レースをしているシーンはイメージしていないんです。広大な道を走っている所が良いなあと。
―『エンジン』は製作総指揮のジョン・ラセターさんが絶賛したと伺っていますが、楽曲製作へのリクエストはありましたか?
奥田:特に無かったんですけど、映画のストーリーあってのものなのでそこを意識することですかね。あと打ち合わせの時に「曲の最初はアコースティックで始まるのはどうですかね」っておっしゃった方がいて、じゃあそうしますって決めたんです。そういう事を言ってもらえて作りやすかったですね。完成した映画を観て、良い曲たくさん使われていたんで多少自分の曲がダメでも良いだろうと(笑)。もちろんOKいただくまでは緊張というか気になってはいたので、割とすぐOKが出て良かったなと思いました。
―歌詞についてもお聞きしたいのですけど、マックィーンの人生や気持ちを投影して書かれたのでしょうか?
奥田:まあそうですね。でも主人公に限った話では無いと思っています。本人が「行く/行かない」に限らず道は続いていくというね。色々考えていても、進んでいくんだよという気持ちで。
―奥田さんの楽曲は車の中で聴く人も多いと思うのですが、『エンジン』もぴったりですよね。
奥田:良いと思います。スピードを出しすぎない曲調でね、安全運転にぴったり(笑)。
―そもそも奥田さんが車好きになったきっかけというのはあったのでしょうか?
奥田:子供の頃親戚の家が車の整備工場をやっていて。絵本代わりに車のカタログなんかをずっと眺めていて。当然全部日本車なんですけど、そこから車が好きになった感じですね。だから『カーズ』は車好きとしても色々な車が出てきて面白いんですよ。
―『エンジン』は奥田さんの自主レーベル「ラーメンカレーミュージックレコード(RCMR)」のソロ第1弾となりましたね。
奥田:そうですね、ソロとしては。レーベルを立ち上げたのは、最近はCDだけ売ってれば良い時代じゃ当然なくなってきて、配信が中心になってきたり、YouTubeを使うことが増えてきたりとか。そんな時代の流れの中で、なるべく楽に自由にやりたいなって思って。
―最高すぎるレーベル名ですよね。
奥田:これは単純にラーメンとカレー好きで、昔からTシャツとか売ってたりしたんですけど、ついに会社名にしちゃいました。「ミュージック」の「M」は本当は「めんたいこ」だったんですけど、一応音楽業界ということでミュージックに変えさせていただきました。音楽も好きだって、一応アピールしておこうと。
―『カーズ/クロスロード』は、“メンター=師匠”がテーマの1つにもなっていると思うのですが、奥田さんには師匠的な存在っていらっしゃるんでしょうか?
奥田:師匠はいないです。特には。先輩ミュージシャンは当然いますし、先輩も親もいますしね。色々な事を僕より先にやってる人ってのはもちろんいますので、そういう長い流れで教わってきたという感じでしょうか。
―逆に今度奥田さんが若い世代の師匠的存在になっていくことは?
奥田:そうですね、もちろん聞かれたら教えてみたい部分もあるっちゃあります。まあ、でもまだそんな余裕がないすね。僕らミュージシャンの場合は引退して、指導者にまわるみたいな話にはなりませんから。下から出てくる人の邪魔者でしかないし、僕からしたら出てくる人が邪魔ですし(笑)。
―マックィーンの“人生の決断”というストーリーが大人にもしみる作品になっていますが、奥田さんの人生の決断ってどんなことがあったのでしょうか。
奥田:音楽活動ってなかなかゆるいもんで、「ここが決断」って出しづらいんですよね。最初にバンドを解散した時くらいですかね。「今までみたいには出来ないから、色々考えないとな」と思ったのは。でも、やることは変わらないんでね。レーベル立ち上げたことも、自分はまだ実感が無いんですよ。でも普通の人にとったら大きな決断ですよね。
―奥田さんの様な大人の男性も絶対楽しめる作品だと私も思います。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
(撮影:オサダコウジ)
『カーズ/クロスロード』公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/cars-crossroad.html
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